将来のIT基盤のベースとして、スマートフォンと併せてmoconaviを全行展開
旧秋田銀行、第四十八銀行、湯沢銀行が合併し、1941年に誕生。秋田県秋田市に本店を置く地方銀行として、秋田県を中心とする東北地方、北海道、新潟市、東京都に支店を展開。「地域共栄」を経営理念に掲げ、お客さまのニーズに応える質の高い金融・非金融サービスの提供を通じて、地域から必要とされる金融グループとなることを目指している。
「地域共栄」を経営理念に掲げ、地域の金融ニーズに応える総合金融サービス企業として、地域社会の活性化に貢献し続けている秋田銀行。「秋田銀行グループ サステナビリティ経営方針」のもと、サステナブルファイナンスへの積極的な取り組みのほか、カーボンニュートラル実現に向けた対応など、持続可能な成長への取り組みを推進しています。
その一環として行内で進められているのが、業務のペーパーレス化・リモートワーク化による業務効率化への取り組みです。秋田銀行 経営企画部で副主査を務める瀧川 純矢 氏は、次のように語ります。
「これまでも業務効率化に取り組んでおりましたが、2020年の新型コロナウイルス感染症拡大を背景に、お客様とのWeb面談が浸透するなど、業務の進め方が大きく変化してきました。また、以前は、モバイル端末がフィーチャーフォン(ガラケー)だったこともあり、行内における情報伝達や情報共有についても、課題が顕在化してきました。このような状況下で、さらなる業務効率化も求められていました」。
これらの課題に対応するために秋田銀行が踏み切ったのが、スマートフォンの導入です。さらにコロナ禍の中、本部業務における決裁の電子フロー化も同時並行で推進。スマートフォンでも決裁できる環境が整い、行内の意思決定スピードを高めることが可能になっていったのです。
ここでスマートフォンと一緒に導入されることになったのがmoconaviです。その理由について、秋田銀行 システム部で副長を務める小松 徹 氏は次のように説明します。
「スマートフォンを導入するのであれば、行内ポータルサイトに対してセキュアにアクセスできる環境を、ぜひとも実現したいと考えていました。そのためにはスマートフォンにセキュアブラウザを導入する必要がありました」。
そこで、システム部では複数のセキュアブラウザ製品に関する情報を収集。行内ポータルサイトとの連携に加え、インターネットの安全な閲覧や、スマートフォン内蔵のカメラ機能との連携も含め、総合的な検討が進められます。
「実は情報収集の段階で、スマートフォンの調達先のキャリアやベンダーからもmoconaviの紹介を受けていました。最終的に採用を決定したのは、当行のシステム構築・運用に携わってきたベンダーからの推薦があったことです。当行のシステムを熟知しているベンダーからの推薦であれば、信頼性や安定性にも問題がないはずだと考えました」。
2021年4月にはmoconaviの採用を正式決定。行内にmoconaviサーバーを構築し、2021年12月に全行員へのリリースが行われています。
現在、moconaviで提供されている機能は以下の通りです。
・行内ポータルサイトへのアクセス
・他行と共同運用しているシステムに含まれるメールサーバーへのアクセス
・電子決裁システムへのアクセス
・行内グループウェア「POWER EGG」へのアクセス
・Google検索とGoogleマップへのアクセス
・オンライン研修サービス「e-JINZAI」へのアクセス
・スマートフォンで撮影した写真のサーバー保存
「スマーフォンとmoconaviを組み合わせたことで、どこからでも安全に行内情報が見られるようになりました」と瀧川氏。またメールに関しても、以前はネットワーク分離のために他行と共同運用しているシステム専用のPCを使う必要がありましたが、今では全行員が持つスマートフォンから利用できるようになったと言います。「共同運用システム用のPCは各部室店に1~2台しか配備されていないため待ち時間が発生していましたが、その待ち時間も不要になり、業務効率が改善されました」。
moconaviのカメラ機能も業務効率化に大きな貢献を果たしていると指摘するのは、秋田銀行 システム部の渡部 凌 氏です。
「住宅ローンの審査では物件の写真を撮影して審査書類に添付しなければなりませんが、以前はデジタルカメラで撮影して行外のサービスでプリントアウトし、それを書類に貼り付ける必要がありました。今ではスマートフォンで写真を撮影すると、自動的にmoconaviのサーバーに保存されます。その写真をExcelで作成した書類にデジタルデータのまま貼り付けられるので、プリントアウトのための経費と時間を大幅に削減できるようになりました」。
そしてもちろん、スマートフォン導入と並行して進められた本部業務における決裁の電子フロー化も、大きな効果をもたらしています。
「紙で行っていた頃は関連部門への回覧も含め、決裁完了まで1週間かかることも珍しくありませんでした」と瀧川氏。これを電子フロー化したことで、現在では以前の半分程度の時間で完了できるようになったと言います。「スマートフォンでどこにいても決裁ができるので、決裁者が外出していても問題はありません。このようなことが可能になったのも、スマートフォンで安全に行える業務を拡大できたからです」。
「これらの業務改善は、行員の働き方改革にも繋がっています」と小松氏。情報アクセスに対する行員の意識も変化しつつあり、今後もスマートフォンでできる業務を増やしていく計画だと言います。
そのひとつとして挙げられるのが、行内ポータルサイトの機能拡充です。例えば、すでに利用されているCRMと行内ポータルサイトとの連携が検討されています。またこの他にも、オンラインでの本人確認を可能にする「eKYC」へのアクセスや、窓口業務における受付票のペーパーレス化なども視野に入っていると小松氏は語ります。
「ペーパーレス化をさらに推し進め、紙が必要な業務を減らしていくことは、カーボンニュートラルの実現に向けた重要な取り組みだと言えます」と瀧川氏。またそれだけではなくDXによる業務効率化にも、大きな貢献を果たすことになるだろうと指摘します。
「moconaviとスマートフォンの組み合わせは今後間違いなく、IT基盤を構成する重要な要素の1つになっていくでしょう。これをさらに積極的に活用することで、DXを加速していきたいと考えています」。
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