日本最大の基礎自治体がmoconaviを採用。職員専用問い合わせ窓口や動画マニュアルなど手厚いサポートで16,000IDのBYOD普及を推進

横浜市役所
業種
地方自治体
従業員規模
10000人以上
連携サービス
社内システム
課題・目的
BYOD導入, セキュリティ強化

神奈川県の県庁所在地として、約370万人を超える人々が暮らす日本最大の基礎自治体、横浜市。

その執行機関として行政事務を担う横浜市役所は、DX戦略の一環として、職員の業務における利便性向上や多様なワークスタイルへの対応を推進するためにmoconaviを採用しました。

moconaviを導入するまでの経緯や、以前抱えていた課題、moconaviを選んだ理由や導入後の効果について、同市、デジタル統括本部長 古石 正史さま・企画調整部 DX基盤課担当課長 高梨 智治さま・課長補佐 髙橋 耕次郎さま・企画調整部 DX基盤課専任職 藤田 義明さま・企画調整部 DX基盤課 髙山 優人さまにお話を伺いました。

リモート環境から庁内ネットワークにアクセスできず職員の“繋がり”の壁に
高度情報化社会において、大規模な自治体だからこそ、情報共有のタイムラグは行政サービスの品質低下も招き兼ねない課題だった
セキュリティと操作性の高さがmoconavi採用の決め手に
動画マニュアルで導入サポートの負荷も軽減
6,000アカウント(2024年8月現在)が稼働し、リモートでも職員が安心して繋がれる環境を実現
職員専用問い合わせ窓口を設置し、毎月の定例会でレポート報告。サポートの手厚さは国産クラウドならでは
職員同士の繋がりを広めるためにmoconaviのさらなるPR活動を進める
「顧客の要望を吸収し、変わり続けることを恐れない」レコモットのマインドに今後も期待
導入前の課題
リモート環境から庁内ネットワークにアクセスできない。いかなるときも職員が繋がり、安心して働ける環境を目指して

 

── はじめに、御庁がmoconaviを導入した「目的」を教えてください。

                 デジタル統括本部長 古石 正史さま

古石さま:横浜市は、デジタル化による社会生活の急激な変化や、少子高齢化、多発する自然災害など、さまざまな課題への対応策として2022年9月に「横浜DX戦略」を策定しました。

これは「デジタル×デザイン」をキーワードに、“デジタルの恩恵をすべての市民、地域にいきわたらせ、魅力あふれる都市をつくる”ことを基本目的とする戦略ですが、同時に職員の新たなワークスタイルの実現を目指して打ち出したのが「Link-Up! YOKOHAMA」というコンセプトです。

全ての職員が、場所を選ばず組織を越えて連携できる理想的な業務環境の整備を目的として、各種クラウドツールとともに重要な役割を担ったのがmoconaviです。
 
 

── moconaviの導入以前に抱えていた業務上の課題はありましたか?

          デジタル統括本部企画調整部 DX基盤課担当課長 高梨 智治さま

高梨さま:「Link-Up! YOKOHAMA」では大規模基礎自治体が直面する「災害時」「日常業務」「現場・移動時」「子育て・介護」という4つの場面を想定し、いかなるときも区局を越えた連携によってチーム力が発揮できる「4つの“ツナガル“」を目指して取り組んでいます。

災害が発生した場合、発災直後から情報の共有や初動対応ができることが重要ですが、多くの職員は役所に参集するまで庁内の情報にアクセスする手段がありません。また、基礎自治体である横浜市では、広い市域に多くの現場を抱えています。道路、河川、工事などの現場や、訪問福祉や立入検査などの現場へ出かける際は、必要な書類をプリントアウトしたり、持ち出し専用のタブレットにデータをコピーしたりして持ち歩かなければならず、手間がかかるのと同時に紛失のリスクもありました。
さらに、子育てや介護などの事情により、突発的な休暇取得を余儀なくされる職員からは、自宅から業務スケジュールやメールをチェックする術がないため、出勤している職員との業務の調整や引継ぎが難しいとの声が寄せられていました。
 
横浜市には、18の区役所、350の事務所事業所、500を超える学校が存在し、約27,000名の職員が働く大規模な基礎自治体です。だからこそ、情報共有のタイムラグは行政サービスの品質低下も招き兼ねない課題だったのです。

導入ポイント
セキュリティと操作性の高さがmoconavi採用の決め手。動画マニュアルで導入サポートの負荷も軽減

 
 

── 御庁の課題を解決するために、BYODを検討した理由を教えてください。

高梨さま:庁内で使用している業務用PCには大量のデータが入っているため、持ち出しを禁止しています。他の自治体ではデータをクラウドに移行してシンクライアント化した端末でリモートワークに対応しているケースもあると聞きますが、我々のPCはリッチクライアントのため、それができません。リモートワークへの要望が高まるなかで、27,000人の職員に対して幅広く迅速に、かつ柔軟に実現させるには、BYODという選択肢が最適であると考えました。

 

── BYODを実現するためのサービスとして、moconaviを採用した決め手とは?

高梨さま:プロポーザルの評価項目で最も重視したのがセキュリティです。外部から庁内のネットワークに安全にアクセスし、データが確実に保護される仕組みが求められます。moconaviなら端末にデータを残さず、データの持ち出しもできないので安心です。

また、庁内で使用しているファイルサーバに接続できることもmoconaviの優位性でした。そして、直感的に使える操作性の高さもmoconaviの魅力です。他の製品のなかには、利用する際に電子証明書をインストールしなければならないものがありました。多様な職員がさまざまなデバイスを使っていることを考えると、最初の段階でハードルが高くなってしまうことが懸念されました。moconaviはストアからアプリをインストールするだけで、あとはかなり直感的に使えます。2022年にトライアルで複数の製品で動作検証を行った後、2023年8月にプロポーザルで選定したmoconaviを契約しました。
 
 

── moconaviの導入とともに運用面の整備はどのようにされましたか?

高梨さま:BYODで安全にデータを取り扱うためには、当然運用面も考える必要があります。
まずはmoconaviを利用したBYODについて、要綱を作成しました。そのうえで、要綱の内容を噛み砕いて解説したマニュアルも用意しました。そもそもモバイルアクセスとは? という説明から始まり、BYODで「できること」と「できないこと」もわかりやすく解説しています。
              moconaviを活用して、4つのツナガルを推進
 

高梨さま:レコモットのカスタマーサポートの方には、moconaviの全庁展開に向けた説明動画を作成していただき、大変助かりました。moconaviの基本的な説明から、アプリのインストール方法、イントラネットやファイルサーバなど主要サービスの使い方まで、Android・iOS・WindowsとOSごとに作っていただけました。横浜市の運用ルールをヒアリングしたうえで、それぞれ短い動画にまとめてもらえたので、集合研修などは特に行わずにリリースでき、我々のサポートの負荷が軽減されたことにも感謝しています。

導入後の効果
6,000アカウントが稼働し、リモートでも職員が安心して繋がれる環境を実現。サポートの手厚さは国産クラウドならでは

 
 

── 現在のmoconaviの運用状況について教えてください。

高梨さま:2023年から試験運用を開始し、当初は1,000アカウントでしたが、能登半島地震で+150アカウント。その後、追加購入で+150アカウント。2024.3月末時点では計1,300アカウントで試験運用をしていました。そして、現在は全16,000アカウントを契約しており、実際の利用数は6,000アカウントまで増えました。ほとんどの職員がスマートフォンで使用していますが、なかにはスマートフォンとノートPCの両方(※1)からmoconaviを使っている人もいます。
※1.moconaviは1ユーザーにつき5台まで端末の利用が可能。横浜市は2台までに制限

端末からmoconaviのクラウドサーバを経由して庁内ネットワークにアクセスすることで、グループウェアのスケジュール確認やイントラネットで庁内情報のチェック、ファイルサーバで各種データの閲覧、メールの送受信ができます。
               moconaviネットワーク接続の構成図
 
 

── moconaviの活用で業務はどのように変わりましたか?

高梨さま:試験運用の段階で早くもその有用性を実感する機会がありました。今年(令和6年)の元日に発生した能登半島地震の被災地支援で職員を現地に派遣した際、派遣メンバー全員に急遽moconaviのライセンスを割り当てました。派遣チームは一週間ごとに交代制で現地のホテルに宿泊し、支援活動を行うなか、日々の状況や課題、不足している物資などをファイルサーバ上の日報に記録することで、市の対策本部や後発隊にスムーズに伝えることができました。派遣職員が毎週交代で入れ替わるなか、電話やメールによる報告だけではなく、ファイルサーバを利用しチームの新旧メンバー全員で情報共有を行うことで、一丸となって支援に当たることができたと思います。
また、普段から活用している業務システムが、緊急時にもそのまま使える事は業務を止めることなく対応できるため、住民サービスの向上にもつながると感じました。

         【現場・移動時にもツナガル】出張先等からファイルサーバーの資料を閲覧
 

藤田さま:moconaviは本導入後も現場で有効利用されていて、好評の声が多数聞こえてきています。例を挙げると「子どもの急な体調不良などで休まざるを得ないとき、スマホで予定を確認して職場に適切な引き継ぎができる」「ファイルサーバにアクセスできるので急に資料を見たくなったときにも役立つ」「フレックス勤務で他の職員と共有できる時間は少ないものの、moconaviを通じて職場の状況を確認でき、安心感が生まれた」といった内容です。
 
 

── 導入後のサポートについてはいかがでしょうか?

高梨さま:レコモットのカスタマーサポートの方と毎月の定例会を行っています。ライセンスの利用状況や、曜日別・時間帯別の利用状況、サービス別のパケット利用量など、こちらのニーズに合わせて詳細なレポートを提出していただけるので、状況を把握して今後の計画を立てるうえで大変参考になります。

改善要望にも柔軟に対応していただき、27,000人の職員のデータベースとして使っているLDAPサーバとの連携も追加開発で実現していただいたことで運用負荷も軽減できています。

特に助かっているのが、職員専用のヘルプデスクをご用意いただけたことです。使い方に関する質問やパスワードを忘れてしまった場合など、職員から直接メールや電話でヘルプデスクに問い合わせできます。さらに質問の状況も定例会でフィードバックいただけるというサポートの手厚さは、国産のクラウドサービスならではだと思います。
          【子育て・介護でもツナガル】自宅等からスケジュールやメールを確認

 

高山さま:私はより多くの職員にmoconaviを有意義に使ってもらうために、庁内のポータルサイトでmoconaviコラムを作成し、発信しています。その際、参考になるのが定例会でフィードバックいただくヘルプデスクへの問い合わせ状況です。問い合わせの多い内容に対して、Q&Aのような掛け合い形式で、親しみやすいキャラクターを交えてコラム化することで、職員の疑問に応え、利用を促進しています。

 

古石さま:利用促進のためにレコモットのカスタマーサポートの方やデジタル統括本部のメンバーが尽力してくれている一方、スマートフォンを使い慣れている人であればほとんど迷わず使いこなせるところもmoconaviの魅力だと思います。マニュアル類も非常に充実していますが、私はほとんど読んだことがありません(笑)。最初は抵抗感があったとしても、使い始めればあとは簡単という手離れの良さがあるので、毎月1,000単位で利用アカウント数が増えています。

私自身、先月新型コロナウイルスに罹患し、急遽3日間出勤できなくなってしまいました。そんなときでも、庁内ネットワークにアクセスして気になっていることを確認でき、心の安定を保つことができました。

今後の展望
moconaviで場所や区局を越えた“ツナガリ”をさらに推進したい

 
 

── 最後に、moconaviへのご要望や今後の展望をお聞かせください。

高梨さま:「Link-Up! YOKOHAMA」の重要なキーワードは“ツナガル”です。場所や区局を越えて職員同士が繋がることはチーム力の発揮はもちろん、多様なワークスタイルの実現や業務効率化、働きやすさなど、さまざまな意義があります。

今後、その精度をさらに高めていくうえで、moconaviがますます重要なツールになっていくことは言うまでもありません。庁内では引き続きmoconaviの有用性をPRし、利用者を増やしていきたいです。

古石さま:我々のさまざまな要望に柔軟に対応してくださるカスタマーサポートの方と密にやりとりをしながら「顧客の要望を受けてmoconaviをより良いサービスに磨きあげよう」という姿勢を感じてきました。それはすなわち、レコモットさんの企業としてのマインドだと思います。

これからもレコモットさんには「変わり続けることを恐れない姿勢」をそのまま変えることなく、柔軟なサポートをお願いしたいです。

また、moconaviのようなBYODツールは、セキュリティと利便性のバランスが非常に重要です。セキュリティを保ちながら使いやすさを追求する皆さんを、我々はユーザーとして末永く応援していきたいです。

moconaviをさらに詳しく知りたい方へ

導入にあたって気になるポイントを詳しく解説します