moconaviひとつでセキュアなBYOD環境を構築。10ヶ月で20IDから1,200IDヘ、利用者数急拡大の秘訣とは
本州の西端に位置し、日本の近代化の礎となる偉人を多く輩出し、約129万人が暮らす山口県。
その行政主体である山口県庁は、行政DXの一手としてmoconaviを採用し、個人所有のデバイスを活用した業務環境(以降は“BYOD”と記載)を構築しました。
moconaviを導入した背景や、以前抱えていた課題、moconaviを選んだ理由や導入後の効果について、山口県 総合企画部デジタル推進局 デジタル・ガバメント推進課 田中清弘さま、安永忠弘さまに伺いました。
── はじめに、御庁がmoconaviを導入した「目的」を教えてください。
総合企画部デジタル推進局 デジタル・ガバメント推進課 田中清弘さま
田中さま:山口県では「行政DX・新たな価値を創出する働き方改革」を掲げ、多様な働き方に対応した環境整備を進めております。そのなかで、コロナ禍からは働き方に応じて職員にノートPCを貸与し、閉域SIMによって庁内ネットワークへリモートアクセスできる環境を整えていました。今回はよりフレキシブルなワークスタイルに対応できるよう、セキュアなBYOD環境の構築を目的として、その基盤にmoconaviを採用しました。
── moconaviの導入以前に抱えていた業務上の課題は何かありましたでしょうか?
総合企画部デジタル推進局 デジタル・ガバメント推進課 安永忠弘さま
安永さま:危機管理上、有事の際に職員同士がコミュニケーションをとる手段がありませんでした。
ノートPCを導入したことで、リモート環境でも庁内ネットワークへのアクセスが可能になりましたが、当然ながらPCは開いて電源を入れなければ使えません。それに、ノートPCはセキュリティの観点で持ち出す際は申請が必要です。
災害はいつ起こるかわかりません。また、業務でも緊急の対応を要する場合があります。個人スマホのアプリで業務の連絡をすることは好ましくありませんので、モバイルでセキュアにコミュニケーションを促進できるBYODの仕組みを求めていました。
── 御庁の課題を解決するために、BYODツールとしてmoconaviを採用した理由を教えてください。
安永さま:BYOD環境を構築するうえで重要視したのがセキュリティ対策です。行政機関として県民のみなさまの機微情報を取り扱っているため、庁内のシステムを安全に利用できる環境にすることが絶対条件でした。万全なセキュリティ対策を検討するうえで、システム管理者としては利用アプリケーションの制限や端末の管理。通信面では、VPNによる脆弱性への対応。さらに利用者においては、端末側にデータが残らない仕組みなど、さまざまな観点を考慮する必要があるなか、moconaviはオールインワンでそれらを満たす理想的なソリューションでした。
田中さま:moconaviは山口県がコミュニケーション基盤として2022年に導入したTeamsが使えることも選定の決め手です。また、他県での導入事例がすでに豊富にあったので、安心して採用を決断できました。検討の際は和歌山県のシステム担当者さまに連絡を取り、使用感や運用方法など具体的にお聞きできたので、さらに導入後のイメージが明確になりました。
加えて低予算で導入できることも、moconaviの採用判断を後押ししました。
── moconavi導入のプロセスについて教えてください。
田中さま:2023年の7月から無償トライアルをスタートし、まずは本庁の管理職や急を有する危機管理業務を行う職員を対象に20IDを使い始めました。その後、9月から有償トライアルとして希望制で育児休業者や能登半島地震への災害派遣者などにアカウント付与を進め、230IDまで利用を拡大。実証終了時の職員アンケートでは、9割が「利用してよかった」、6割が「継続利用したい」との声があり、2024年4月から全庁展開を進めました。また、私は実際に能登半島地震の時に災害派遣で現地入りしましたが、ライフラインで一番初めに回復したのは携帯通信でした。そのおかげで情報とコミュニケーションがスムーズになり支援を進め易くなったことを実感しました。
── 検討からmoconaviの選定までは非常にスピーディーに進め、その後のトライアルでは現場への浸透に力を入れられていたのですね。
田中さま:そうですね。我々管理者の視点では検討段階でmoconaviのセキュリティの高さを理解していたので、あとは現場の運用にマッチさせていくためにトライアルで多くの職員に利用してもらい、その声を拾っていく必要がありました。
実際にトライアルでの反応を受けて、moconaviが生体認証で簡単にログインできる方法を周知したり、グループウェアとして使っているデスクネッツについてはモバイル版の画面を閲覧できるように設定を変更したりと、細やかな改善をしました。
また、当初はmoconaviアプリを立ち上げていないとスマホにTeamsのプッシュ通知が届きませんでしたが、職員の要望を踏まえてmoconaviアプリを起動していないときでもプッシュ通知が届くよう、レコモットさんに相談しながら設定を変更しました。
── トライアルで職員の方のニーズに合わせてさまざまなカスタマイズを加えたことが、アンケートでの高い満足度につながったのですね。
── 現在のmoconaviの運用状況について教えてください。
安永さま:2024年4月から800IDを準備し、全庁運用を始めましたが、予想以上に職員からの利用希望が多く、すぐに1,200IDまで増やしました。
職員はスマホからmoconaviアプリでTeamsのチャットを利用したり、moconaviのクラウドサーバを経由して庁内ネットワークにアクセスすることで、職員用ポータルからメールを送受信したり、共有フォルダのデータを閲覧できます。
moconaviネットワーク接続イメージ図
── 全庁運用を開始してからすぐに400ID追加とは、かなりのニーズがあるのですね。
安永さま:トライアルの段階で230IDを割り当てており、ほとんどの部署でその有用性を実感している職員がいたことが普及に繋がったのだと思います。新たにIDを与えられた職員は、すでに使用している近くの職員に聞けばマニュアルを見なくても使い始めることができ「ログイン方法がわからない」といった問い合わせもほとんどありませんでした。
── moconaviの導入後、業務はどのように変わりましたか?
田中さま:長期休暇者や出張者がPCを開く必要なく、メールの確認を行ったり、teamsのチャットでやりとりができるたりするようになりました。
特に緊急案件の指示やメール処理などが場所を問わずシームレスに行えるようになったことは劇的な変化で、業務品質の向上に繋がっていると思います。また、PCを開かずにTeamsで資料共有ができることは職員から大変好評です。
── アカウント管理の利便性についてはいかがでしょうか?
田中さま:moconaviの「ユーザー管理機能」「端末管理機能」「利用状況確認機能」「部署管理機能」を有効活用しています。これらの機能を使い、ユーザーを部署ごとに割り当てることで、アカウントの管理がしやすく、棚卸しも簡単に行えます。
── 導入時や導入後のレコモットのサポートについてはいかがでしょうか?
田中さま:レコモットの担当者さんとは導入前から密に打ち合わせをし、質問にも迅速に回答していただけました。驚いたのはサポートが大変充実していることです。ユーザーマニュアルが細かく用意されているので、そこからポイントを抜粋して庁内に展開しています。また、サポートサイトがかなり作り込んであって、少し質問を入力すると予測変換でその回答が表示され、すぐに解決できます。問い合わせ窓口に質問すると専任の担当者がクローズするまで丁寧に対応してくださりますし、DXで他にもさまざまなソリューションを使っていますが、それらと比較してもレコモットのサポートはトップクラスで手厚く、使いやすいです。
── 最後に、moconaviへのご要望や今後の展望をお聞かせください。
安永さま:現在、山口県庁ではセキュリティ対策として三層分離モデル「αモデル」を採用していますが、今後は、職員の業務効率と利便性を高めるべく、「βモデル」に移行も検討してきたいと考えています。moconaviなら「βモデル」の場合でも、あらゆるクラウドサービスと連携できるため、問題なく対応できるでしょう。これからもmoconaviを活用し、さらに使いやすくセキュアなBYOD環境を実現していきたいです。
田中さま:今後も引き続き「行政DX・新たな価値を創出する働き方改革」を進めていきます。そのためには、職員のニーズを把握するとともに制度の見直しやシステムの追加・構成の見直しを絶え間なく行っていく必要があるでしょう。引き続きmoconaviの可能性を探っていきたい。レコモットさんには今後も、moconaviの更なる機能向上や、より良い運用のご提案を期待しています。
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