モバイルデバイスを活用して働き方改革を実現、moconaviでセキュリティと利便性を向上する

株式会社 東急百貨店
業種
流通小売業
従業員規模
1000~2000人
連携サービス
メール, 社内システム
課題・目的
社内の業務支援

東京都渋谷区道玄坂に本店を置く、東急グループにおいてリテール事業の中核として、本店、東横店、渋谷ヒカリエ ShinQs、吉祥寺店、たまプラーザ店、札幌店などの店舗を展開し、2016年3月にオープンしたHINKA RINKA 銀座を昨秋と今春にリニューアルしている。

バイヤーや法人向けの営業など外出する職種でモバイルデバイスを活用したい
顧客の個人情報を扱うことが多いため、端末管理には注意
本部・取引先・売場でコミュニケーションできる仕組みが必要
端末にデータが残らず、安全に顧客情報を扱える
全社で使っているActive Directoryと連携できる
必要な機能が網羅されていて、新しい機能も次々と増えている
売り場や展示会の写真をリアルタイムで共有できるようになった
店舗の従業員がスマホから公式SNSを更新しやすくなった
外出先でメールや資料の確認、プレゼンも可能になった
導入前の課題
デスクトップのシンクライアントから、モバイルの活用に大きくシフトしていく

「東急百貨店は、百貨店という業態から個人情報の取扱いに厳しくITを運用してきた」と株式会社東急百貨店 情報システム部 システム基盤・デジタル化推進 担当部長の光山 明男氏は説明する。

「お客様の情報を扱うことが多いため、3年くらい前まではデスクトップ端末をシンクライアントとして使っており、基本的に情報を扱う端末は動かしてはいけないというルールで運用していました。また、百貨店はお客様に来店していただくというビジネススタイルであったため、これまではなかなか社員が外に出向くというケースが見えにくかったという風土もあります。しかし、実際にはバイヤーや法人向けの営業は外出する必要があり、スマートデバイスの普及や働き方改革などで、モバイルデバイスを活用できないかという要望が出てくるようになりました」。

また、百貨店業界は自主運営売場が基本だが、消費者ニーズの変化に対応すべく昨今は取引先と協業する業務委託 売場が増えつつあり、社員だけでなく取引先や販売員とコミュニケーションする仕組みが必要となってきたと株式会社東急百貨店 情報システム部 システム基盤・デジタル化推進 マネジャーの宇都木 良太氏は話す。

「3年前の2016年から東急プラザ銀座に出店しているHINKA RINKA銀座で社員とお取引先の方にiPadを提供して、同じツールを使ってコミュニケーションするようにしたのが我々の最初のモバイル活用ですね」。

一方で、東急百貨店では、各店舗に置かれていたPBXが老朽化して交換する時期に来ていたという課題も抱えていた。電話は総務部門が管轄し、データ通信は情報システム部が管轄している中で、別々にやっても効率的ではないと判断した東急百貨店では、総務部門と情報システム部が手を取り合って電話の課題を解決していったという。

「PBXを各店舗に置くのはコストや手間が非常に大きいため、キャリアのFMC(Fixed Mobile Convergence)を利用し、PBXを1つにまとめることにしました。電話は専門外だったので、成功事例などの情報収集や勉強をして、業界の垣根を越えてさまざまな方の話を聞きましたね」。

「情報システム部主導でやってしまうと、IP電話のみを使ったほうがコストも抑えられるという話になりがちですが、我々はお客様やお取引先と会話することが多いため、音声品質が重要だと気づかされ、総務部門と齟齬なくプロジェクトを進められたと思います。BYODも検討しましたが、管理やセキュリティも考慮して、iPhoneを会社から支給することにしました」と光山氏は話す。

導入ポイント
利便性を大きく向上させて、セキュリティを担保できるmoconaviを採用

電話の課題をiPhoneで解決する以外にも、従来のシンクライアントだけでなくモバイルでもメールや資料をチェックできる必要があると考えた東急百貨店では、モバイル活用ツールの導入も検討し始める。

「どの製品を選択するかについては、非常に悩みました。利便性を犠牲にせず、しっかりとしたセキュリティを担保できる製品として、端末にデータを残さないmoconaviが最適だと考えるようになりました。HINKA RINKA銀座の一部の端末でmoconaviを使っていた実績もあり、全社で使っているActive Directoryと連携できることも採用の理由の1つですね」。

「また、メール、チャット、ストレージ、イントラネット、インターネットアクセスなどの機能を提供しようと考えていたのですが、moconaviは1つのツールでそのすべてを実現できる点や、新たな機能も提供されてどんどん進化していることも魅力的でした」と光山氏は話す。

moconavi以外の製品の場合は、複数の製品を組み合わせなければ必要な機能を満たすことができず、コスト面や管理の手間の面でもmoconaviのほうが優位だったのだという。

2017年頃からデバイスの検討をしていった東急百貨店では、1年がかりでコンペを行いながら、キャリアや端末、モバイル活用ツールを検討し、本社社員やバイヤーを中心に250IDから始め、2019年5月時点で441IDとなり、2020年度末までに主要店舗のすべてにiPhoneとmoconaviを展開しようと考えている。

「PBXを廃止する店舗から順に、moconaviを導入しています。最終的には800ID以上を使う予定ですが、お取引先や販売員の方々にも利用していただくことを検討していますので、さらに導入する可能性もあります」と光山氏は説明している。

東急百貨店様のmoconavi利用構成図
導入後の効果
2020年3月までに主要店舗にmoconaviを展開していく

実際にmoconaviの利用を開始しているユーザーの声を、宇都木氏は次のように話してくれた。「外回りしているときにもメールや資料確認ができる、と喜ばれていますね。各店舗では、公式SNSの投稿が便利になったと聞いています。これまでは、スマートフォンやカメラを別途用意して共有PCに画像を移し、メールで送るといった作業が必要でしたが、今はiPhoneで写真を撮れば、moconavi経由で自動的に写真がアップされて投稿作業が行えますから」。

「また、販売員が担当売場の装飾展示の写真をチャットにアップして本部と共有したり、バイヤーが展示会での新商品の写真や海外出張先での商談の写真を撮ってリアルタイムで共有するといったことも行えます。PCで作ったPowerPoint資料をmoconaviで開けば、ノートPCを持っていなくても会議やお取引先で簡単なプレゼンテーションも行えます」。

デスクトップ型のシンクライアントからモバイル活用に大きく改革してきた東急百貨店だが、光山氏はこれからが本当の活用だと話す。

「今回は、音声とモバイル活用のベースができた段階です。今後は活用をもっと進めて、利便性向上、業務効率化、従業員満足度向上をさらに進める必要があると考えています。まだ導入するかは決めていませんが、moconaviには名刺管理ツールのSansanと連携できるので、その機能を使わせてほしいという要望も出てきています」。

総務部門とともに協力し合うことで電話改革とモバイル活用を成し遂げた光山氏だが、働き方改革が注目されている中、情報システム部門だけでなく、人事や総務、経理などと連携していく必要がある。どのようなことを心がけて、光山氏はプロジェクトを進めていったのだろうか。

「なるべく早く関係部署を巻き込み、情報共有していくことが重要だと思いました。総務部門と密にコミュニケーションを取ることで、これまでわかっていなかったこともわかるようになり、見えてくるようになると感じました。たとえば、就業管理との整合性を考える必要があるため、IT部門だけで考えていても齟齬が出てくることになり、プロジェクトが頓挫してしまいます。組織的に難しいところも出てくるかもしれませんが、各部署間のコミュニケーションや社内ルールを重視してプロジェクトを進めてきました」。

2020年には、全店舗や全部署でモバイルを活用する東急百貨店では、今後も利便性を高めつつセキュリティを担保し、接客や販売サービスの向上につなげていく。

moconaviをさらに詳しく知りたい方へ

導入にあたって気になるポイントを詳しく解説します