目指すのは人に優しい「良い会社」そのための仕組みをmoconaviで構築

サーラグループ 豊橋駅前上空
株式会社サーラビジネスソリューションズ
業種
インフラ
従業員規模
2000~10000人
連携サービス
グループウェア, ワークフロー, 社内システム
課題・目的
BYOD導入

1909年に豊橋瓦斯・浜松瓦斯として創業。1961年から都市ガス供給事業を中心に事業領域を拡大し続けてきた。現在では46社のグループ企業によって、エネルギー&ソリューションズ、エンジニアリング&メンテナンス、ハウジング、カーライフサポート、アニマルヘルスケアなどの事業を展開。プロスポーツ支援や教育支援、文化・芸術支援などの活動にも積極的に取り組んでいる。

全員に社給端末が行き渡らず情報格差が生じていた
リモートワーク環境が整っておらず、家庭の事情で退社する社員もいた
BYODも検討していたがセキュリティ確保が課題だった
個人の領域と業務の領域を完全に分離可能
端末側に一切データが残らない
費用面や利便性の面でも申し分がないと評価
ポータルやワークフロー、社内システムに個人スマホからアクセス可能
メール確認がいままで以上に手軽に
出向社員や外注業者との情報共有も容易に
050電話との連携で個人端末での業務通話の問題も解決
導入前の課題
全員に社給端末が配布されず情報に取り残されるスタッフも

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、急速な勢いで広がっていったリモートワークの導入。この取り組みは大都市中心で進んだ観がありますが、リモートワークに取り組むべきなのは都市部の企業だけではありません。都市部以外でビジネスを展開する企業にとっても、働き方改革や生産性向上、多様な人々の雇用、出社困難な状況でもビジネスを継続するためのBCPを実現する上で、避けて通れない課題だと言えます。

この課題に積極的に取り組み、そのための仕組みとしてmoconaviを多面的に活用しているのがサーラグループです。同グループは、愛知県東部と静岡県西部地区を中心に、都市ガス供給事業を母体として成長してきた企業グループ。

創業110年を超える歴史があり、現在では都市ガス以外にも、プロパンガス供給、電力事業、不動産、住宅、物流、建設設備など、幅広い事業を展開しています。2020年度の売上高は約2,120億円。全国300拠点以上で約4,600名に上る従業員が「SALA(Space Art Living Amenity:生活空間をより美しく快適に)」というグループの想いを胸に、ビジネスや地域貢献に取り組んでいます。

「サーラグループは多岐にわたるビジネスを広域で展開する企業の集合体であり、自社以外のグループ会社はもちろんのこと、自社の他事業所でも今何が起きているのか、わかりにくい状況になっていました」と語るのは、サーラグループのIT子会社である株式会社サーラビジネスソリューションズで、IT企画全般を担当している小出 輝雄 氏。

グループの広報部門は社内ポータルサイトで情報を発信してはいるものの、その情報が隅々にまで行き渡っていなかったのだと言います。

企画チーム リーダー 小出 輝雄 氏
企画チーム リーダー 小出 輝雄 氏

その最大の理由として小出氏が挙げるのが、ITインフラ整備の問題です。前述のように社員数は約4,600人ですが、サーラの事業運営に関わる他の人々方々を含めれば、その数は5,000人を超えています。しかし業務用PCの数は約4,000台にとどまっており、物流ドライバーやホテル厨房スタッフのように、そもそも日常的にPCを使わない職種の方も少なくないのです。

「いずれは会社から全員にPCかスマホが支給されればいいな、と考えていた矢先に、ショックな出来事に遭遇しました。派遣スタッフから当社の正社員になった1人の女性社員がいたのですが、待機児童の問題に直面した際、退社を選択せざるを得ない状況なったのです。もしリモートワークが可能な仕組みとルールがあれば、彼女は仕事を続けられたのにと思うと、ほんとうに残念でなりませんでした」。

導入ポイント
個人と業務の領域を分離でき端末にデータが残らない点を評価

「こんな誰もハッピーにならない状況はもういやだ」「誰も置き去りにしたくない」という思いから、小出氏は課題解決に向けた取り組みを開始。そこで出会ったのがmoconaviでした。

「社員やスタッフ全員に会社支給の端末を配布できればいいのですが、社内に残っている旧い常識や予算の壁があり、それは難しいと感じていました。それならばスタッフの手元にある個人所有のスマホで業務ができないか、またこれによって今後のクラウド活用も加速できるのではないかと考え、BYODの可能性を探っていきました」。

BYODであれば、会社支給に比べてコストを1/3~1/4に抑制できると小出氏。しかし当然ながらBYODを推進するには、どのようにして情報セキュリティを確保するのかが、大きな課題になります。個人所有のスマホからSNSなどに会社の重要情報が漏えいすれば、大問題になってしまうからです。この解決手段としてmoconaviに着目した理由を次のように語ります。

「最も優れていると感じたのが、個人の領域と業務の領域を完全に分離でき、端末にデータが一切残らない、という特長です。この機能だけでも採用理由としては十分だと判断しました」。

またこのようなセキュリティ面での特長に加え、moconaviは費用面や利便性の面でも申し分がないと評価。採用について上申したところ、即座に社長からの了解も得られます。まずは2020年初頭からサーラビジネスソリューションズで利用を開始。その後、グループ内の他の企業にも展開していき、サーラグループ全体の情報基盤整備において重要な役割を果たす存在になっていくのです。

導入後の効果
社内でも社外からでもmoconaviで安全にアクセス、利便性も向上

 

【社内での活用方法】
グループウェアや社内システムに個人スマホからアクセス可能に

それでは具体的に、moconaviはどのような形で利用されているのでしょうか。まず社内・グループ内における利用方法は、大きく4パターンあると小出氏は説明します。

 

●活用パターン1 社内ポータル&ワークフロー

第1は、社内ポータルやワークフローシステムを、社外からでも利用できるようにしていることです。

「当社ではクラウドファーストへの取り組みの第一弾として、2018年にポータルやワークフロー機能などを提供するグループウェアのクラウド化を実施しています」と小出氏。これらはグループ全ての社員に使ってほしい最大のシステムであるため、クラウド化と併せてスマホでの利用促進も狙っていたと語ります。

「そのセキュリティ確保のため、会社支給のスマホにはデバイス証明書をインストールし、データセンター内に設置した認証サーバーで認証を行うことで、社外からも利用できる仕組みを構築していました。しかしBYOD端末にはデバイス証明書をインストールできません。その解決策として活用しているのがmoconaviです」。

その使い方は、個人所有のスマホでmoconaviのアイコンをタップし、moconaviクラウドに接続することでリモートアクセス環境が起動、その中からグループウェアにアクセスするというものです。ユーザー認証は、moconaviと連携可能なIDプロバイダ* 「HENNGE」を利用。これはグループウェアのクラウド化と同時に準備していたものだと言います。

「これによって日々更新されるポータルの閲覧や、申請ワークフローで届く承認依頼の確認・審査・承認が、個人所有のスマホでもできるようになりました。その結果、お客様対応のため外出することが多い事業現場でも、業務処理が滞りなく回るようになっています。個人のスマホで問題なく会社のグループウェアが使えるのは、本当に画期的なことだと感じています」。

*IDプロバイダ、またはIdP ( Identity Provider )。ユーザー認証を提供するサービス。

 

個人スマホから社内ポータル、ワークフローが利用可能に

 

●活用パターン2 手軽にメール確認

第2の使い方は、社外でのメール確認です。moconaviの導入によってメール確認も、以前に比べてはるかに手軽になりました。

「これまではメールを確認するため、いちいちグループウェアを立ち上げる必要がありました。この面倒さを解消するため、moconaviメーラーでメールを直接閲覧できる仕組みを構築しています。moconaviメーラーは画面がとても見やすく、モダンで抜群に使いやすい操作感も実現されています。グループ内のリフォーム会社では、社長がこのmoconaviメーラーを大変気に入り、社給スマホを全廃してしまったほどです」。

 

●活用パターン3 社内Web業務システム/ファイルサーバー参照

そして第3の使い方が、社内で稼働しているWeb業務システムや、ファイルサーバーの参照です。データセンター内にmoconaviの中継サーバーを設置し、そこを経由して社内システムへのアクセスを可能にしています。

「moconavi中継サーバーの利便性はトライアル中から高く評価していました」と小出氏。これを利用することでクラウド化されたグループウェアだけではなく、日々の業務遂行に不可欠な社内システムも、BYOD端末から利用可能にしたいと考えていたと言います。「しかも社内に設置されたファイルサーバーにもアクセスできます。これを事業会社の担当者に見せると『こんなこともできるのか』と毎回驚かれます」。

 

●活用パターン4 050電話での利用

第4の使い方は、個人スマホによる業務通話でのmoconaviの活用です。

個人スマホを業務用通話に使用する場合、止むを得ず個人の携帯電話番号を相手に教える必要があり、このことに強い抵抗感を感じる社員もいます。しかし会社で050電話サービスを契約し、これとmoconaviを連携させることで、この問題を解決できます。

また050電話の通話料金は個人通話とは完全に切り離されて会社に請求されるため、煩わしい分計作業も必要ありません。サーラビジネスソリューションズではmoconaviユーザー全員に、050電話番号を付与していると小出氏は語ります。

 

【社外連携での活用方法】
出向社員との情報共有や外注先との連携でも威力を発揮

このようにグループ内で多面的に活用されている一方で、出向社員や外注業者による利用も行われています。小出氏はその具体的な使い方として、大きく2つのパターンを紹介します。

 

●活用パターン5 出向社員との情報共有

その1つが出向社員との情報共有です。

「以前は原籍会社のPCと通信カードをもたせてVPNでつなげる、といった方法などを試行していましたが、そもそも他の会社のネットワークからサーラグループのネットワークにアクセスすること自体、認めるわけにはいかないといった抵抗感がありました。しかしmoconaviなら個人所有のスマホにmoconaviをインストールし、クラウド上のmoconavi経由でのアクセスが可能です。これは出向先のネットワークを利用しないため、社内利用と同じ形となります。出向先の管理者にもこの仕組を説明しているのですが、皆様が『これなら大丈夫ですね』と、快く承諾くださっています」。

このパターンでアクセスできる情報は、原籍会社・グループの異動情報やイベント情報に限定されており、それ以外の個別システムやファイルサーバーにはアクセスできないようになっています。このようなアクセスコントロールも、moconaviの機能で実現しています。

向先から社内ネットワークへアクセス可能

 

 

●活用パターン6 外注業者によるガス工事管理システムの利用

もう1つは外注業者によるサーラグループ内システムへのアクセスです。ガス事業を営む親会社にはガス工事管理保安システムがありますが、そこでは顧客の個人情報も取り扱っているため、無闇にインターネット経由でアクセス可能にするわけにはいきません。

そのためガス機器の設置や保守、保安点検を行う外注先は、このシステムに直接アクセスできない状況でした。外注業者は必要な情報をサーラグループ内の工事会社とやり取りする必要があり、情報伝達の不都合が生じていたのです。

「この問題を解決する手段としてmoconaviを提案したところ、即採用となりました」と小出氏。サーラグループによる管理が行われていないPCからのアクセスも、moconavi経由なら安全性に問題がないと判断されたのです。

「ここでも効果を発揮しているのが、先程も触れたmoconaviのアクセスコントロール機能です。また社内のActive Directoryとは異なるユーザーグループを作成する機能もあり、社外ユーザーの認証も簡単に実現できます。グループの工事管理/保安部署からも『moconaviがなければこのような仕組みは実現できなかった』と喜ばれています」。

外注業者でもガス工事管理システムを利用可能に

今後の展望
これからも「誰も置いてきぼりにしないという姿勢」でインフラを整備

「moconaviはそれ自体がセキュアなだけではなく、HENNGEなどのIDプロバイダとの連携でシングルサインオンが可能な点や、社外ユーザーを別グループとして扱えるなど、様々な優位性があります」と小出氏。

また管理が容易でITに詳しくない人でも運用が行える点も、優れていると語ります。利用拡大に際しては、セキュリティツールとしての側面を訴求するのではなく、利便性を前面に説明するのが効果的だとも指摘します。

「当社では社長がmoconaviを気に入り、自ら率先して事業側担当者に画面を見せて回るエバンジェリスト的な役割を担っていますが、そこでは管理・禁止を前面に押し出すのではなく、簡単で便利、様々なシーンで役立つ、といった話をしています。重要なことはデジタル化そのものではなく、これまでの常識を今一度見直すことで、企業風土や企業文化を変革していくことです。そのためには先程も申し上げた『誰も置き去りにしない』という姿勢が重要ですが、その推進はやはり若い方、好奇心旺盛なスタッフがいいですね。これからもこのような考え方のもと、自由な働く場所を実現するためのITインフラを整備すると共に、これまで当たり前だと思っていた常識を変革し続けていきたいと考えています」。

moconaviをさらに詳しく知りたい方へ

導入にあたって気になるポイントを詳しく解説します