全職員のPC端末にクラウドゲートウェイサービスを導入し、職員の自律的な業務改善を促進

越生町役場
業種
地方自治体
従業員規模
101~300人
連携サービス
LGWAN対応
課題・目的
業務効率

埼玉県のほぼ中央に位置し、豊かな自然に恵まれた埼玉県越生町。人口約1万1千人のこの町で、行政を担う越生町役場は、長年の課題であったインターネット利用環境の改善とDX推進のため、moconaviを導入しました。2024年5月の本格稼働以降、全職員が自席からセキュアにインターネットへアクセスできるようになり、業務効率の向上だけでなく、職員の自律的な業務改善意識の醸成にも繋がっています。

 

今回は、越生町役場 企画財政課 情報システム担当の清水慧介さまに、moconavi導入の背景、選定理由、導入後の効果、そして今後の展望について伺いました。

物理的な三層分離により“調べ物ひとつ”にも時間がかかる非効率な環境だった
少人数で多様な業務を担う小規模自治体だからこそ、全職員が同じレベルで使える仕組みを求めていた
DX推進を追い風に「目に見える便利さ」を感じられる仕組みを優先
小規模自治体にフィットするライセンス形態とコスト感で、moconaviを選択
全員が自席からインターネットにアクセス可能となり、業務スピードが飛躍的に向上
生成AIやクラウド活用が広がり、職員の“自律的な改善意識”が芽生えた
インターネットを介した外部サービスとの連携で、さらに幅広い業務改善を目指す
庁外からの安全な利用も視野に、DXによる新しい働き方を継続的に追求
導入前の課題
長年の物理的ネットワーク分離によるインターネット利用の制約。DX推進への課題を抱えていた

 

── はじめに、moconavi導入以前、ネットワーク環境はどのような状況でしたか?

清水さま:越生町役場では、総務省が三層分離を提唱し始めた2016年以前から、物理的なネットワーク分離(αモデル)の環境で業務をしていました。
セキュリティを考慮して整えた環境でしたが、その一方でLGWAN端末から直接インターネットにアクセスすることはできませんでした。職員が必要に応じて使えるように、各課に1〜2台のインターネット専用端末を設置して、これを複数人で共有する方式でした。
 

── その環境ではどんな課題がありましたか?

清水さま:インターネット専用端末を使うための順番待ちが発生し、調べ物やメール送信がスムーズにできない状況でした。必要なときにすぐ調べられないため、後回しになるケースも多くありました。小さな非効率が積み重なり、業務全体のスピードを下げていたと言えます。
 
特に小規模自治体である越生町では、職員一人ひとりが複数の業務を兼務しており、限られた時間で多様なタスクを処理する必要があります。そのため、一部の職員だけがインターネットにアクセスできる環境ではなく、全職員が等しく効率的に働ける仕組みが不可欠でした。だからこそ、全PC端末にmoconavi LGWAN クラウドゲートウェイサービスを導入し、業務環境そのものをアップデートすることが重要だったのです。
 

── 当時、解決策を検討されたことはありましたか?

清水さま:実は以前から仮想ブラウザの導入を検討したこともありました。しかし当時はライセンス料や初期費用が非常に高く、小規模自治体にとって現実的ではありませんでした。
 
そのため「仕方ない」と見送らざるを得なかったのです。LGWAN環境では自治体間や県、国とのメールは支障なく行えましたが、地域の事業者や住民とのやり取りにはインターネットメールが必須でした。つまり住民サービスの観点からも不便が生じており、役場としては長年の課題意識を持ち続けていました。

導入ポイント
国のDX推進を契機に仮想ブラウザを再検討。越生町の規模とニーズに合致したmoconaviを採用

 

── moconaviの導入を検討された背景を教えてください。

清水さま:国が「自治体DX推進計画」を強く打ち出したことを契機に、越生町でも2022年にDXの基本方針を策定しました。

町の職員数は減少傾向にあるものの、行政サービスの需要は減りません。限られた人員で住民サービスの質を維持・向上させるためには、まず内部業務を効率化しなければならないと判断しました。住民向けシステムもアップデートする必要がありましたが、それに対応するために職員の業務改善に直結する仕組みの導入が急務だったのです。
 

── 当初はどのような改善方法を検討されましたか?

清水さま:DX推進委員会を立ち上げ、業務改善の可能性を洗い出しました。
 
DXの一般的な手法である手作業の簡略化やフローの見直しも行いました。しかし、当町のような小規模自治体では、一つ一つの業務に対する量は多くありませんが、少ない職員で多様な業務をしているため、個々の業務を改善していくだけでは全体の効率化に結びつきにくく、モチベーションを保ちにくいことから、そこから始めてもうまく進まないのではと感じていました。そこでまずは、「目に見える便利さ」を感じられる仕組みを導入し、DXは自分達にとって必要なものという意識改善やモチベーションの向上を図る施策が必要だと考え、以前断念した仮想ブラウザの再検討が浮上したのです。
 

── 数ある製品のなかで、moconaviを選んだ理由を教えてください。

清水さま:moconaviとの出会いは営業担当の方からの提案でした。moconaviとともに複数の仮想ブラウザ製品を比較しましたが、他社製品はオンプレミス型で導入コストが高く、操作も「もっさりして使いにくい」という評価が聞かれました。また、別のクラウド系サービスは最低ライセンス数が大きく、小規模自治体の当町には割高でした。さらにそれらのサービスでは庁内のLGWAN環境とインターネット環境との接続にセキュリティを考慮した追加費用がかかるなど、導入障壁が高かったのです。
 
その点、moconaviはユーザー数に応じたライセンスで費用感が明確で、将来の予算計画も立てやすいと感じました。LGWAN-ASPであるため大規模な庁内ネットワーク改修も不要。UIもシンプルで直感的に操作でき、ICTに慣れていない職員でもすぐに使えます。こうした点を総合的に判断してmoconaviが最も適していました。
 

── 実際の導入プロセスはどのように進みましたか?

清水さま:2023年8月から半年間の無償トライアルを実施しました。DX推進委員会と企画財政課の職員約20名が利用し、アンケートで操作性や利便性を検証しました。
 
いくつか改善要望も出したところ、レコモットさんは非常にスピーディーに対応してくださいました。正式導入時にはwindowsの管理者権限等の問題から一括インストールが課題でしたが、専用のサイレントインストーラーを開発いただき、業務を妨げることなく全庁展開が実現しました。

導入後の効果
全職員が自席からインターネットにアクセス可能に。生成AI活用など、職員の自律的な業務改善意識が向上

 

── moconaviの本格稼働後、どのような効果がありましたか?

清水さま:2024年5月に114IDで本格稼働を開始し、ほぼ全職員が利用しています。最も大きな効果は、自席から直接インターネットにアクセスできるようになった点です。従来はわざわざ専用端末まで移動していた作業が不要になり、業務がやりやすい環境が整いました。
 

── 職員の働き方や意識には変化がありましたか?

清水さま:業務スピードは明らかに向上しています。特に最近では生成AIのような便利なクラウドサービスが多く出てきており、それらを簡単に利用できるようになったことで、議会答弁の草案作成や会議録の要点整理、挨拶文の下書きなど、これまで時間がかかっていた作業が効率化できています。
 
単なる利便性の向上にとどまらず、職員一人ひとりが「自分の業務を改善できる」と実感し、前向きにDXに取り組む姿勢が広がっているのを感じます。
 

── 職員の利用状況はいかがですか?

清水さま:ほぼ毎日利用している職員が大多数です。さらに全職員にモニターを配備したことで、片方の画面でインターネットを参照しながら、もう片方でLGWAN業務を進める「ながら作業」が可能になりました。これにより業務効率は一段と向上し、moconaviの効果をより実感しています。
 

── レコモットのサポートについてはどのように感じていますか?

清水さま:レコモットさんのサポートは導入前から大変手厚く、打ち合わせや質問にも迅速に対応いただきました。サポートサイトも予測変換で答えが出るなど非常に使いやすく、現場からも好評です。
 
問い合わせ窓口も詳しい担当者が最後まで丁寧にフォローしてくださるため安心感があります。さらに改善要望がバージョンアップに反映されることも多く、サービスが進化していく実感を持ちながら利用できています。

今後の展望
WebメールやGoogle Workspace連携を視野に。レコモットとの協業で更なるDXと新たな働き方を追求

  

── 今後のmoconavi活用の方向性を教えてください。

清水さま:現状はブラウザ機能が中心ですが、今後はWebメールや業務管理ツールなど外部クラウドサービスとの連携を視野に入れています。
 
Googleアカウント連携を通じてタスク管理アプリやプロジェクト管理ツールを利用できるようになれば、より幅広い業務改善が実現できると考えています。クラウドサービスはユーザー単位の料金体系が多いため、小規模自治体にも導入しやすい点も魅力です。
 

── リモートワークや庁外利用についてはどうお考えですか?

清水さま:現在はLGWANメールを庁外から直接確認することはできませんが、中継アプライアンスを設置することで外部からの確認を可能にできるかトライアルを通して検証したいと考えています。
 
完全なリモートワーク環境とまではいかなくても、スマートフォンから庁外でメールを確認できるようになれば、業務の柔軟性は格段に高まるはずです。
 

── ありがとうございました。最後に、越生町としての今後の取り組みをお聞かせください。

清水さま:越生町としては「行政DXを通じて新しい価値を創出する働き方改革」を継続的に進めていきます。そのためには制度の見直しやシステム検証を絶え間なく行う必要があります。今後もmoconaviの可能性を探りながら、レコモットさんと協力し、職員に合った最適な運用を追求していきたいと考えています。

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