コストパフォーマンスと利便性を兼備するmoconaviを6,000アカウント導入。職員が誰でもテレワークできる環境を確立
飛騨高山や世界遺産の白川郷、下呂温泉などを有し、豊かな自然や歴史が息づく岐阜県。
その行政事務を担う岐阜県庁は、職員のテレワーク環境の整備を全国の自治体のなかでも先駆的に推進してきており、今回BYODを活用してmoconaviを採用しました。
moconaviを導入するまでの経緯や、以前抱えていた課題、moconaviを選んだ理由や導入後の効果について、
同庁のデジタル推進局 副局長 阿部 修二さまにお話を伺いました。
── はじめに、御庁がmoconaviを導入した「目的」を教えてください。
阿部さま:目的は「職員のテレワーク環境の整備」です。テレワークの位置づけは2022年3月に策定した「岐阜県デジタル・トランスフォーメーション推進計画(以降、DX計画)」にある「職員の働き方改革」となります。
職員の働き方改革はDX計画の3本柱の一つである「行政のデジタル化」に位置し、行政手続のオンライン化・業務最適化、県職員デジタル人材の育成・確保などと並び内部事務に位置するものです。
岐阜県は内部事務の効率化が県民へのサービス向上に繋がっていくと考え、行政のデジタル化も着実に進めているところです。
最近では、2023年1月には新庁舎開庁にあわせて、庁内ネットワーク環境の最適化や認証プリントソリューション導入によるペーパーレス推進などを行っています。
岐阜県のテレワーク環境の特長は、職員がテレワークの利用シーンに応じて3種類を使い分けている点です。2019年から使い勝手などの要件拡大にあわせて導入しました。
・テレワーク(VDI):仮想デスクトップ方式として、県側が共用パソコン1200台を準備しています。テレワークの標準的な使い方をしています。
・テレワーク(RDS):リモートデスクトップ方式として、900アカウントを導入。個人所有のデバイス機器(以降、BYOD)利用が前提となっています。VDIと比較して拡張ディスプレイが利用でき、BYODから職員用パソコンのローカルファイルも使用でき、共用パソコンの貸出返却の手間がないのは良いのですが、ビデオ会議を行えない、テレワーク利用時は職員用パソコンを起動しておく必要があるなどのデメリットがあります。
・テレワーク(モバイル):ネイティブアプリ方式として、今回、導入させていただいた「moconavi」です。
令和5年1月に開庁した5代目となる岐阜県庁舎
── moconaviの導入以前に抱えていた業務上の課題はありましたか?
阿部さま:まず、テレワーク(VDI、RDS)は、出張など外出先で携帯性に欠ける場合があり利便性に課題意識をもっていました。
移動中の隙間時間や災害発生などの緊急時において、職員はその場で迅速に庁内情報を確認したくなりますが、パソコンは起動や接続に時間がかかるため、モバイル端末としてスマートフォン(以下、スマホ)を活用したいと考えておりました。
つぎに、コロナ禍において国からの要請により職員の登庁率を抑えたり、急遽、登庁できない場合を想定することとなり、全職員がテレワーク環境を利用できるようにすること(BCP対策)が求められました。しかしながらテレワーク(VDI)はシステム導入・維持費が膨らむため検討を中断した経緯があります。そのような状況下においても、全ての職員がテレワーク時に迅速にメールやスケジュールを確認したり、共有ファイルを閲覧したりできる環境を整えたいと思っておりました。
── 御庁の課題を解決するためのツールとしてmoconaviを選んだ理由を教えてください。
阿部さま: 岐阜県が求める情報セキュリティの確保ができること、携帯性、導入・維持コストを条件として競争入札を行い、コスト面で高く評価されたツールがmoconaviとなります。
── BYODツールの導入に向けて、どのような検討を行ったのでしょうか。
阿部さま:調達に向けて使い勝手の検証や情報セキュリティ対策の検証、及びネットワーク設計など約3ケ月を要しました。
BYOD導入に向けて、情報セキュリティ対策の検証内容は以下となります。
・アクセスできる範囲は、導入するツールが提供するアクセスポイントまでで、その先は限定されたシステムへの通信のみに許可されていること
・情報の閲覧のみとし、データのダウンロードができないこと
・ツール利用中はスクリーンショットが抑止できること
・ツール利用は事前登録制とし、端末識別番号(スマホの個体番号)で利用者を限定できること
・スマホ紛失時の緊急利用停止など管理(モバイルデバイス管理(MDM))が容易であること
こうして岐阜県が求める条件を満たしたツールの競争入札を行い、テレワーク(モバイル)としてmoconaviを導入しました。
サービスの導入に合わせて岐阜県のセキュリティポリシーは、職員が個人所有するスマホやパソコンを業務で利用することを禁止していたため、条件付きで許可するという見直しも同時に行っています。
moconavi ネットワーク利用構成図
── 現在のmoconaviの運用状況について教えてください。
阿部さま:moconaviを6,000アカウント契約し、これで、全職員がテレワークできる環境が整いました。
現在、テレワーク(モバイル)のトップメニューは以下の画面であり、提供している機能は次のとおりです。
利用画面
── moconaviの導入による効果はいかがでしたか。
阿部さま:定量的な効果を示すことは難しいですが、職員が簡単に迅速に安全に情報共有できるサービスであることから次のような多様で柔軟な働き方につながっているようです。
・休日の定時連絡など、単純なメールを発信するだけのために登庁しなくてすむようになった
・休暇中の緊急事案に対して旅行先などからメールや資料の確認が可能となり、業務状況が把握できることで休暇を継続する判断がしやすくなった
・出張先の現場へ必ずしも重いパソコンを持ち歩かなくてすむようになった
・出張先から個人スマホの個人メールを利用して部下の業務メールへ指示を行うことがあったがスマホから直接行えるようになったことで情報セキュリティ事故の防止ができた
・出張先から庁内へ戻る移動中においてもメールチェックや上長のスケジュール確認が可能になることで庁内に戻って直ぐに行う仕事の整理など段取りの付け方が楽になった
── 最後に、moconaviへのご要望や、行政DXに関する今後の展望をお聞かせください。
阿部さま:短期的な取り組みとして、職員にツールの便利さを広く伝え、BYOD利用に理解いただくとともに、効果を実感してもらいたいと考えます。次にさらに普及を拡大することを目指して公用スマホの効率的な利用として個人の携帯電話に050番号を付与できる moconavi 050 サービスについて情報収集しています。現在、公用スマホを持っている職員は多くいます。新たにサービスを導入することで、スマホの2台持ちが不要になり、携帯電話料金も圧縮できる可能性があるからです。レコモットさんにはさらなる提案や、長期的なサポートを期待しています。
一方、長期的には次期テレワーク環境の構想を組み立てていく必要があります。日進月歩のテクノロジーの発展や、ゼロトラストなど民間クラウドサービスが今以上に当たり前に使われるような状況や、国からのセキュリティガイドラインの見直し等が予見される中で、より最適なテレワーク環境を目指していく必要があります。今後も引き続き行政のデジタル化は着実に推進していくことでDX計画の理念にある豊か・安心・便利な地域を常に追求していきたいと思っています。
デジタル推進局 副局長 阿部 修二さま
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