全職員の4分の1がkintoneを活用!LGWANの制約を克服し職員主導のDXを加速
青森県は本州最北端に位置する県で、世界文化遺産「三内丸山遺跡」をはじめ「ねぶた祭」「弘前の桜」「大間のマグロ」「リンゴ」など観光や食に関する話題豊富な県です。 青森県庁は、2023年に「青森新時代」と称して今後の県政運営の基盤として「AX (Aomori Transformation) ~青森大変革~」を掲げ、DXを推進しています。
ローコード・ノーコードツールであるkintoneの全庁的な活用を進めるなかで、LGWAN環境特有の課題を乗り越えるため、moconaviのLGWAN クラウドゲートウェイサービスを導入しました。 青森県の総務部行政経営課の川村裕久さま、小栗弥知幸さまに、moconavi導入の背景や選定理由、導入後の効果、今後の展望などについて伺いました。
── はじめに青森県庁がDX推進を始めた背景と、kintoneを導入した目的を教えてください。

川村さま:青森県は、高齢化や過疎化といった課題に対応するため、「挑戦」「対話」「DX」を基盤とする「AX(Aomori Transformation)~青森大変革~」を推進しています。限られた予算や人員で複雑化する行政課題に対応するうえで、業務効率化が急務だったのです。
kintoneは、業務の脱エクセル化や電子申請による受付処理の効率化をノーコードで実現できる手段として2022年に実証試験を開始しました。
── kintoneの導入当初に直面した具体的な課題とは?
川村さま:kintoneの実証試験を始めた当初から、LGWAN(総合行政ネットワーク)という特殊な環境の制約が障壁となりました。 最も大きな課題は、kintoneの拡張性の中核であるプラグインサービスが動作しない場合があったことです。
LGWAN内ではセキュリティ確保の目的でファイルの無害化処理が行われます。そのため、JavaScriptが動いたりZIPファイルが組み込まれたりするプラグインが弾かれてしまい、kintoneの真価を発揮できない状況でした。
── プラグインが動かないことで業務にどのような影響がありましたか?
川村さま:kintoneの本来の拡張性が活かせず、職員からは「どのように業務改善に活用できるか分からない」という声が上がり、現場に浸透しませんでした。その一方で、開発スキルのある職員からは、例えば「地図上で情報を管理する」といったより高度な機能が求められるようになり「使えるプラグイン」の導入が不可欠となりました。
── moconavi LGWAN クラウドゲートウェイサービスを導入した決め手は何ですか?

小栗さま:LGWAN環境下で、kintoneのプラグインの動作を実現し、拡張性を確保することが最大の目的でした。 moconaviは、LGWAN-ASPに登録されたクラウドゲートウェイサービスであり、LGWANからkintoneのようなインターネットのクラウドサービスへ接続するための数少ないサービスでした。これにより、kintone活用の可能性が大きく広がりました。
── moconaviを使ってどのようにセキュリティを担保しているのですか?
小栗さま:moconaviは、LGWANとインターネットの通信を分離・無害化することでセキュリティを確保しています。 また、moconaviの独自アプリはサンドボックス化された環境で動作するため、仮に端末がマルウェアに感染してもアプリ内(庁内)への侵入を防ぎます。画面キャプチャやコピー&ペーストといったデータの外部持ち出しを抑制する機能も備えているため、安全にクラウドサービスを利用できます。
── 導入プロセスでレコモット社の対応について評価した点はありますか?
小栗さま:導入初期には、職員の古い端末環境でのインストールの不具合など、手探りの状況が続きました。これに対し、レコモット社はスピーディーに対応し、バージョンアップやカスタマイズ、インストールツールの提供など、手厚くフォローしてくれました。これにより、導入が滞ることなく、技術的な課題を一つひとつ解決することができたのです。
── moconavi導入後、kintoneの活用はどれくらい拡大しましたか?

川村さま:2023年度に120ライセンスだったものが、2025年度には700ライセンスまで大幅に拡大しました。これは全職員の約4分の1にあたる人数です。現在、職員が自ら作成した業務アプリは900以上に上り、職員主導のDXが加速しています。
── 現場業務での具体的な成功事例を教えてください。
川村さま:まず、鳥インフルエンザなどの防疫対応計画のデジタル化が代表的な事例です。
農林水産部では、過去に家畜の大規模殺処分を経験した教訓から、防疫体制の強化が喫緊の課題でした。鳥インフルエンザが発生した場合、発生農場の管理はもちろんのこと、作業員が着替えなどを行う「集合施設」、車両消毒を行う「消毒ポイント」、殺処分した鶏を埋却する「埋却地」など、複数の防疫拠点を迅速に確保し、その情報を関係者間で共有する必要があります。
従来の運用では、防疫計画の作成や更新は職場のPCでしか作業できず、現地確認後に職場に戻ってから計画に反映させる必要がありました。また、最新情報が共有されていなかった事や、現場の地理的イメージが掴めないことによる連携不足が大きな問題となっていました。
この課題に対し、moconavi経由で動作可能となったkintoneの地図連携プラグイン「カンタンマップ」を活用した「防疫計画統合情報アプリ」を構築したのです。この仕組みにより、これまでパワーポイントなどで作成されていた防疫計画の情報粒度を統一し、防疫スキーム全体を地図上で可視化できました。
【防疫計画統合情報アプリの利用イメージ図】

もう一つ、食品衛生監視業務のデジタル化という事例もあります。健康医療福祉部の出先機関である三戸保健所では、食品衛生監視業務における長年の課題であった紙ベースの非効率性を、kintoneと職員の内製化によって解決しました。
この業務では、監視員が現場で紙の監視票に手書きで記録し、写しをファイリング保管していましたが、この手法では過去の指導事項の検索が困難でした。また、監視結果の手集計による採点は監視員の負担となっていたうえ、計算ミスや転記ミスといったヒューマンエラーのリスクも抱えていたのです。
職員は、プログラミング知識が全くないながらもkintoneアプリを作成し、監視業務のデジタル化を実現。監視員は、現場でタブレットを用いて監視結果と指導内容をkintoneアプリに直接入力できるようになり、モバイルプリンターで出力またはメールで送付できるようにしました。また、監視項目ごとに結果を選択入力すると自動採点が行われる仕組みを導入し、手作業による負担や計算ミスが軽減されました。
── セキュリティ制限と利便性の両立に関して、どのような工夫をされていますか?

小栗さま:moconaviのセキュリティ機能により、LGWANからインターネット側の情報を、庁外メールなどへコピー&ペーストすることが制限されています。 このため、職員は、一旦kintone内にURLを貼り付けるためのアプリを作成し、そこからグループウェアのメールに飛ばすといった策を講じ、業務を遂行しています。これにより、セキュリティ要件を保ちつつ、業務を円滑に進めています。
── 管理者として、moconaviの運用面での評価をお聞かせください。
小栗さま:人事異動が多い自治体では、毎年ライセンスの付け替え作業が発生しますが、moconaviは管理画面からユーザーアカウントの一括登録および一括削除が可能で、管理作業が容易になりました。 また、アカウント登録後、一度もログインしていない仮登録状態のユーザーを特定できるため、利用されていないライセンスを速やかに回収し、利用希望者に再配布するなど、限られたライセンスを最大限に活用できています。
── 最後に、今後のDX推進の展望を教えてください。

川村さま:今後はkintoneのライセンス数を拡大することを視野に入れています。防災、土木、観光分野など、さらに多くの部署で業務を可視化し、職員のスキル向上とシステムの内製化を促進します。最も重要なのは、職員にとってデジタルツールを「使って当たり前」という身近な存在に変革していくこと。そのためにも、職員の意欲をサポートし、成功事例を重ねていきたいです。
※導入取材時期:2025年11月
青森県観光案内:https://aomori-tourism.com/
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