仮想デスクトップ(VDI)とは?種類や導入メリットを解説
- 投稿日:2021 - 11 - 10
- 更新日:2024 - 4 - 30
セキュリティ対策やテレワーク導入、BPC対策などで導入を検討する企業が増えている仮想デスクトップ(VDI)。
この記事では、仮想デスクトップとはどういったものなのか、また、そのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
仮想デスクトップとは?
仮想デスクトップとは、サーバー側にOSやアプリケーションをインストールしたデスクトップ環境を構築し、それをクライアント端末からネットワーク経由で利用する仕組みです。
使用感は通常のパソコンとほぼ変わりませんが、OSやアプリケーション、データなどはサーバー側に集約されているので、セキュリティの向上や管理負荷の軽減などが期待できるとして注目されています。
従来型の物理デスクトップ・シンクライアント・リモートデスクトップとの違い
仮想デスクトップと混同されやすい言葉として、「シンクライアント」や「リモートデスクトップ」が挙げられます。
ここでは、仮想デスクトップとシンクライアント、リモートデスクトップ、そして従来の物理デスクトップとの違いについて、それぞれ解説します。
物理デスクトップと仮想デスクトップの違い
物理デスクトップは、クライアント端末内のデスクトップ環境を利用する方式です。OSやアプリケーション、データなどはすべて端末に保存されます。ネットワークに接続していなくても利用でき、基本的に端末内で処理が完了するので操作にタイムラグが発生しません。
一方、仮想デスクトップはサーバー側のデスクトップ環境を利用する方式で、端末側に保存される情報がほとんどないのが特徴です。端末を紛失しても情報流出のリスクが低いことや、端末が変わっても同じデスクトップ環境を利用できることなど、物理デスクトップにはないメリットが多くあります。
シンクライアントと仮想デスクトップとの違い
シンクライアントとは、クライアント端末ではほとんど処理を行わず、機能をサーバー側に集約する仕組みのことをいいます。仮想デスクトップは、シンクライアントを実現するための方法のひとつです。
シンクライアントは、「ネットワークブート型」と「画面転送型」という大きく2種類の方式があります。
「ネットワークブート型」は、ネットワーク経由でOSやアプリケーションなどのイメージファイルをその都度クライアント端末にダウンロード、起動(ブート)して利用します。
一方で、「画面転送型」は、サーバー側のデスクトップ環境の画面情報をクライアント端末に転送する方式を指し、仮想デスクトップ(VDI)はこれに当たります。
リモートデスクトップと仮想デスクトップの違い
リモートデスクトップと仮想デスクトップは、サーバー側のデスクトップ環境の使い方が異なります。
リモートデスクトップの場合、ひとつのデスクトップ環境をユーザー全体で共有します。ユーザーごとに個別のデスクトップ環境は用意しません。一方、仮想デスクトップはユーザーごとにデスクトップ環境を用意します。
リモートデスクトップはサーバーのリソースを節約できるのがメリットですが、他のユーザーと共有する分、自由度は下がります。仮想デスクトップはユーザー数が多いほどサーバーのリソースやコストが必要な反面、ユーザーごとに適した環境を構築できるのがメリットです。
仮想デスクトップの種類
仮想デスクトップには、次の4つの方式があります。
- VDI方式
- SBC方式
- HDI方式
- DaaS方式
ここでは、それぞれの方式について解説します。
VDI(Virtual Desktop Infrastructure)方式
VDI方式は、物理サーバーの中にユーザー分の仮想デスクトップ環境を構築し、クライアント端末からそれぞれのデスクトップ環境を利用する方式です。仮想デスクトップ=VDIという意味で使われることもあります。
ユーザーごとに独立した環境を利用できるので、使用感は物理デスクトップ使用時とほとんど変わりません。
SBC(Server Based Computing)方式
SBC方式は複数のユーザーで共有のデスクトップ環境を使用する方式で、サーバーデスクトップ共有方式ともいわれます。複数人が同時に使用することになるため、サーバーOSやマルチユーザー対応のアプリケーションなどが必要です。
HDI(Hosted Desktop Infrastructure)方式
HDI方式は、ユーザーごとに物理サーバーを用意し、そこにそれぞれのデスクトップ環境を構築する方式です。サーバーのリソースを他のユーザーと共有することがないので、同時利用人数が多くても快適に操作ができます。
DaaS(Desktop as a Service)方式
DaaSとは、デスクトップ環境を提供するクラウドサービスです。パブリッククラウド上のサーバーに構築されたデスクトップ環境を、クライアント端末から利用する方式です。物理サーバーを自社で用意する必要がないので、導入にかかるコストや手間を抑えられます。
仮想デスクトップのメリット
仮想デスクトップには、さまざまなメリットがあります。主なメリットを4つ紹介します。
セキュリティ対策に効果的
仮想デスクトップはクライアント端末にデータを残さないため、万が一端末を紛失したり盗難にあったりした場合でも情報漏えいのリスクを減らせます。また、OSやアプリケーションをサーバー側で一元管理できるので、すべてのデスクトップ環境に対して適切なタイミングでアップデートなどが実施でき、セキュリティ対策に効果的です。
コスト削減
デスクトップ環境をサーバー側に集約させることは、コストの削減にもつながります。物理デスクトップの場合は端末ごとに初期設定やメンテナンスが必要で、そのための時間や人件費もかかっていました。仮想デスクトップならひとつの雛形からデスクトップ環境を作成でき、更新作業などもまとめて行えるので、管理者の負担も軽減します。
テレワークに有効
ネットワーク環境とクライアント端末があればどこからでも仮想デスクトップにアクセスできるので、テレワークにも適しています。データはすべてサーバー側に保存され、通信も暗号化されるので、自宅のパソコンを使って仕事をしても高いセキュリティが維持できます。
BCP対策
仮想デスクトップは、BCP対策にも有効です。災害などの有事の際に出社が困難でも、自宅から業務が行えます。また、クライアント端末が破損するようなことがあってもサーバー側にすべての情報が残っているので、他の端末があればすぐに業務が継続できます。
仮想デスクトップのデメリット(注意点)
仮想デスクトップにはデメリットもあるので、導入を検討する際には把握しておく必要があります。ここでは、仮想デスクトップのデメリットを紹介します。
ネットワーク環境に操作性が依存する
サーバー側のデスクトップ環境に接続する必要があるので、安定したネットワーク環境が必須です。サーバーとクライアント間で常に画面情報を通信するため、ネットワークが不安定だったり遅延があったりすると、スムーズに操作できません。
サーバー側にも十分なスペックが求められる
すべての処理がサーバー側で行われるため、十分なスペックのサーバーを用意しなければなりません。ユーザー数が多い場合や負荷の高い処理が発生する場合などは、サーバー側のスペックが十分でなければパフォーマンスが悪くなり、業務に支障をきたす恐れがあります。
チューニングやバージョン管理が必要になる
仮想デスクトップ導入時には、自社の用途に合わせたチューニングが必要です。デフォルト設定のまま使用すると、パフォーマンスが低下する恐れがあります。また、端末を1台ずつ管理する必要はないものの、部署やユーザーごとに異なるOSやアプリケーションを導入する場合は、バージョン管理など細かい対応も必要です。
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仮想デスクトップはシンクライアントの一種で、従来の物理デスクトップにはないメリットが多くあります。仮想デスクトップにはVDIなどの方式がいくつかあり、それぞれ特徴が異なるので、自社の用途に合わせたサービスを選びましょう。
一方、仮想デスクトップにはネットワーク環境で操作性が変わることや、サーバー側のスペックが求められること、バージョン管理が必要になることなど、さまざまな課題もあるため、導入には注意も必要です。
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