ワーク・ライフ・バランスとは?企業ができる取り組みとメリットを解説

投稿日:2019 - 11 - 21

国が働き方改革を推進していることにともなって、社員のワーク・ライフ・バランスを実現するための取り組みを行う企業が増えてきました。ただ、この取り組みを企業が行うことのメリットや具体的な内容などについては、あまり知られていません。この記事では、ワーク・ライフ・バランスとは何かに触れ、企業ができる取り組みやポイントなどについて詳しく解説していきます。

ワーク・ライフ・バランスとは

ワーク・ライフ・バランスとは、仕事と生活が調和した状態を指したものです。ここでは、ワーク・ライフ・バランスが実現した社会とはどのようなものであるかについて触るとともに、現状についても見ていきます。

ワーク・ライフ・バランスが実現した社会

ワーク・ライフ・バランスが実現した場合、多くの人が人生をより充実させることができます。仕事は生活を営んでいく上でなくてはならないものです。人は仕事をすることによって、生きがいや人生の目標を見つけることができるようになります。一方で、生活は仕事以外の部分を指しているものであり、生活も人生においては重視されるべき部分です。生活にあたる事柄としては、具体的に、育児や介護をはじめとして、学習、趣味、休養などが挙げられます。このことからもわかるように、生活の部分が安定していれば、人生をさらに楽しむことができるといえるでしょう。

ただ、仕事と生活の調和がとれていない社会においては、これらは対極にあるものと捉えられる傾向にあります。加えて、仕事・生活のどちらか一方に偏った考え方を持つのも問題です。経営者は特に、「仕事と生活は相反するものではなく、本来なら調和すべきもの」という認識を持っておかなければなりません。たとえば、生活の時間が充実すれば学習などに時間をあてることができるため、スキルアップする余裕が生まれます。個人の能力が上がることで仕事の生産性も向上します。そして、生活の部分がまた充実するというサイクルが生じるのです。

さらに、経済的な自立も望めます。そのため、充実した生活の時間が持てるとともに、多様で柔軟な働き方や生き方の実現により近づくという点もメリットの一つです。

ワーク・ライフ・バランスにまつわる現状

ワーク・ライフ・バランスは、多様な生き方をしていくうえでは欠かせないものです。しかし、現実では仕事と生活を両立させることは難しく、どちらか一方に偏っている人が多く見られます。その背景として、働き方の二極化が進んでいることが挙げられます。たとえば、「長時間労働者が減らない」という問題の背景には、長時間労働をしているがために生活の部分に時間が使えず、これが心身の疲労になっているケースが見られます。加えて、「家族の団らんを持てない」という問題も生み出しています。さらに、状況を改善しようにも、それに費やす時間がないのも問題の一つです。

また、日本では非正規社員なども大幅に増加しています。子育てや介護などには、多くの時間を費やす必要があります。子育て・介護は生活にあたるものであるため、時間比率の関係などから、仕事の部分では非正規社員を選ぶしかない状況なのです。このことは、日本が長年抱えている大きな課題といえるでしょう。さらに、経済的に自立できないケースも多く見られます。

日本では共働き世帯が増加しているにもかかわらず、男女の固定的な役割分担意識がいまだに残っているのが現状です。男女の性別が足かせとなって能力を発揮するための均等な機会が与えられていない、不平等な状況を生み出しています。少子化にともない、社会として労働力を確保するということは、企業が優先すべき課題の一つです。ゆえに、それぞれの企業が経営戦略を練る上で、従業員のスキルアップや生産性の向上などは切っても切れないものです。従業員のスキルアップを目指すためにも、ワーク・ライフ・バランスにまつわる取り組みを進めていくことは、中小企業にとっても大きな意義があるといえます。

ワーク・ライフ・バランス実現のために企業ができる取り組み

日本の企業にとって、ワーク・ライフ・バランスの実現は重要な課題です。企業ができる取り組みはさまざまなものがあります。

生活の充実を支援する取り組み

従業員の生活の充実のために、企業として必要な支援を行うことは欠かせません。まず、育児休暇についてです。企業が出産や育児に関する適切な支援を行うことは、女性の離職率低下にもつながります。働き方改革への取り組みとして育児休暇を導入する企業も多く見られます。男女ともに育児休暇が取得できる企業文化があれば、仕事と生活を両立させることにも役立ちます。また、日本では介護を理由に離職せざるを得ない人も少なくありません。そのため、企業では、介護休暇の上限や取得単位の柔軟化をはかることも検討していく必要があります。日本では高齢化が急速に進んでいることから、企業においては介護を支援するための取り組みは急務といえるでしょう。

企業が従業員の生活を支援する取り組みを行う場合は、出産・育児、また介護をする人に対してのマタハラやパワハラの防止、残業の免除など、職場全体で事情を理解し、適切にサポートしていくことが欠かせません。福利厚生サービスの充実・導入は、従業員の生活を充実させ、モチベーションをアップさせてくれるものです。さらに、福利厚生を充実させると企業のイメージアップにもつながり、優秀な人材を継続して確保するためにも効果的です。

柔軟な働き方を支援する取り組み

従業員の柔軟な働き方を支援することは、生産性の向上や離職を防ぐことにも一定の効果が見られます。まず、フレックスタイム制度は、働き方改革の一環としてすでに導入している企業も多く見られる制度です。コアタイムや1カ月の総労働時間の見直しを行う企業も増加しています。特に、産休明けや介護をする人に対しては、支援できる内容を企業側が意識しておくことがポイントです。さらに、育児や介護を理由とした離職を防ぐためには、従業員の事情を考慮したうえで、柔軟な働き方ができる環境を用意する必要があるといえるでしょう。

ただし、制度内容を企業側が吟味することは欠かせません。たとえば、在宅勤務などのテレワークは、毎日オフィスなどへの出勤が難しい人でも働くことができる仕組みです。ワーク・ライフ・バランスの実現にも効果的な働き方の一つで、企業側には優秀な人材の確保やオフィスコストの削減などのメリットがあります。働き方改革への取り組みとしても注目されており、導入する企業が増加する傾向にあります。

多様な人材の活躍を支援する取り組み

働き方改革関連法案によって、同一の価値を生む労働に対しては同一の賃金を支払わなければいけない「同一労働同一賃金推進法」という法律ができました。これは、雇用形態に関わらず行う必要があるものです。大企業では2020年4月、中小企業でも2021年4月から適用されます。処遇を平等にすることは、多様な人材が社会で活躍するうえでの第一歩といえるでしょう。

また、1985年に策定された男女雇用機会均等法を遵守することも、「同一労働・同一賃金」を実現するためには必要です。性別を理由に採用や昇進などで差別をすることは、企業の取り組みとしてあってはならないことです。加えて、フルタイムで働くことが難しい人にも活躍してもらうために、企業側には短時間勤務制度の導入が望まれています。多様な働き方を実現するためには、柔軟な働き方ができる環境が必要です。

健康的な働き方を支援する取り組み

ワーク・ライフ・バランスの実現のためには、従業員の健康的な働き方を支援する必要があります。そのために、長時間労働の是正は必要不可欠です。特に、常に長時間労働を行っている従業員に対しては、心身の疲労が軽減できるような支援が欠かせません。心身の疲労を軽減することで、病気で従業員が休職・離職するリスクを避けることにもつながります。

ただし、ただ単に残業を禁止するだけでは不十分です。残業を禁止したとしても、従業員が仕事を持ち帰ってしまっては、長時間労働が改善されたとはいえません。既存の業務内容が適切なものかどうかを見直し、業務を効率化することが必要です。また、残業の事前申請化も有効な手段の一つといえます。長時間労働の改善はもちろん、企業にとってはコストの削減が実現する可能性もあるのです。

ワーク・ライフ・バランスの実現による企業のメリット

ワーク・ライフ・バランスに取り組むことは、企業にとってもさまざまなメリットがあります。従業員の支援に役立つメリットについて紹介します

優秀な人材が確保できる

ワーク・ライフ・バランスが実現すると、企業側は優秀な人材を継続的に確保できます。従業員が育児や介護を行う場合、労働時間や条件などによっては離職しなければならないケースも多くあります。しかし、適切な取り組みが行われており、処遇が平等な場合は、育児・介護に携わる従業員や非正規社員の場合でも離職せずに働き続けられます。

また、企業が従業員に対して柔軟な働き方を提供すると、「優れた会社である」というイメージにもつながります。さらに、制度を柔軟化させることにより、優秀な人材やフルタイム勤務などが難しい人材でも採用しやすくなります。このように、ワーク・ライフ・バランスに取り組むこと自体が、企業の評価を向上させる可能性を秘めていると理解しておきましょう。

従業員のモチベーションがアップする

企業がワーク・ライフ・バランスに取り組むことは、従業員のモチベーションアップにつながります。従業員一人一人の仕事と生活が調和すれば、仕事に対する意欲が高まり、個人が持つ能力を最大限に発揮できるはずです。その結果、従業員の満足度も上がり、職場の雰囲気も良くなっていくのです。加えて、心身の健康保持、増進も期待できます。したがって、企業側はメンタル面などを理由に休職者や離職者が出るリスクも避けられるといえます。

生産性の向上とコスト削減ができる

従業員に長時間労働をさせず、企業がワーク・ライフ・バランスを実現するためには、短時間で効率的に働くための工夫が必要です。短時間の労働時間で生産性を向上させたいなら、従業員の時間管理能力の向上が見込まれます。また、仕事と生活を調和させようと企業全体が考えれば、従業員が生活者としての視点を業務に活かしやすくなることから、より創造性を発揮しやすい環境をつくることができます。

その結果、生産性や売上の向上につながっていくという効果が見られます。業務の効率化が進めば、残業代などのコスト削減にもなります。これは、企業においても大きなメリットといえるでしょう。

ワーク・ライフ・バランスを実現するためのポイント

企業がワーク・ライフ・バランス実現に取り組むときには重要なポイントを把握しておき、従業員の働き方を見直してみましょう。

経営層がイニシアティブを!

ワーク・ライフ・バランスを実現するために、まずは企業のトップから意識改革を進めていくことが重要です。従業員に対して必要な支援をするためには、職場全体の理解と協力が必要になります。ゆえに、経営層がリーダーシップを発揮できるかどうかが重要なポイントといえるでしょう。
経営者が率先して行うためには、取り組みと経営戦略とを結びつけて推進していくことが欠かせません。そのためには、経営者が推進役を指名して具体的な方針や内容を決め、それを社内外に示していくとよいでしょう。

具体的な数値目標の設定を!

具体的な数値目標を設定しておくと、企業はワーク・ライフ・バランスを実現しやすくなります。数値目標を設定するときには働き方の実態や問題点を正確に把握することが欠かせません。そこから、改善点をピックアップしていく作業を行うことが重要です。ただし、実態とかけ離れた数値目標を設けても、あまり意味はありません。
実態を正しく把握し、具体的な改善策を挙げながら設定することがポイントです。育休取得率や生産性の伸び率、離職率などを指標の一つとして考えてみましょう。

まずはモバイルワーク環境の整備から!

ワーク・ライフ・バランスを実現するために、まず企業はモバイルワーク環境を整備するところから始めてみるとよいでしょう。今や外出の多い営業職に限らず、ほぼ全ての従業員が通勤途中や出先で、チャットやメール、スケジュール調整など様々な業務をモバイル端末で行っています。
こうした業務をセキュリティを担保しつつ効率化させていくことは、ワーク・ライフ・バランス実現への足がかりとなるのです。

モバイルワーク環境を整備するにあたっては、MDMの導入など、ある程度のコストが必要となります。しかし、「BYOD(Bring Your Own Device)」で対応すれば、企業側もコストを抑えることが可能です。
BYODとは私物端末の業務利用を指しており、従業員が個人所有しているノートパソコンやスマートフォンなどを持ち込んで業務に活用することで、企業側のコストは最小限で済むというメリットがあります。ただし、業務に個人所有の端末を持ち込む場合には、情報の流出を防ぐために、セキュリティ対策や事前の社内教育などが必要です。

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