BYODとは?導入するメリットや注意点、BYODの成功事例を紹介!

  • 投稿日:2019 - 12 - 2
  • 更新日:2022 - 11 - 22
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働き方改革や新型コロナウイルスの影響によるテレワークの浸透など、ワークスタイルの多様化が進むなか、注目されているのが「BYOD」です。BYODとは従業員の私物端末を業務で使用することで、企業側にも従業員側にもメリットのある仕組みです。

この記事では、業務効率化を模索する企業の担当者が知っておくべきBYODの概要や、メリット・デメリット、成功事例などを詳しく解説します。

BYODとは?

BYODは「Bring Your Own Device」の略称で、「自分(従業員)のデバイスを持ち込む」ということ。つまりBYODとは、企業で働く社員が私物のパソコンやスマートフォンなどの情報端末を持ち込み、それを業務に利用する働き方のことです。

私物の端末から社内のサーバやシステムへアクセスし、業務に必要な情報やデータを閲覧・編集できるようにすることで、働く場所を選ばないフレキシブルな働き方が実現できます。

BYODで使用する端末

BYODで使用するデバイスは、インターネットを通して企業の情報にアクセスできる端末全般を指します。

代表的なものとしては、パソコンやタブレット、スマートフォンなどが挙げられます。また、SDカードやハードディスク、USBメモリなどのデータ機器もBYODのデバイスに含まれます。衣服や首、腕などに装着できIoTデバイスがBYODのデバイスとして活用できるようになるかもしれません。今回は、主に業務で使用される、パソコンやタブレットスマートフォンなどの情報機器にフォーカスして話を進めます。

BYODと会社支給の端末とのコスト比較

企業としては、BYODを導入した場合、コストにどのように影響するのかも気になるポイントです。

社内や取引先との連絡に欠かせない「通話」を例に、BYODと企業側で支給した業務用端末で比較してみましょう。

企業側で業務用端末を支給する場合、社員に通話用のスマートフォンを貸与するためには、初期費用・端末購入費・月額固定費・通話料などが必要です。通信キャリアや契約プランにもよりますが、毎月トータルで1万円以上かかる可能性もあります。

一方、BYODでは、社員がすでに契約しているスマートフォンを利用するため、企業は業務に利用した通話料を負担するだけで、新たにコストをかけて端末を準備する必要がありません。

実際に通話に関するBYODサービスを導入した「株式会社NTTデータCCS」では、支給していた業務用端末をBYODに切り替えたところコストを3分の1にまで削減できたと公表しています。

業務用端末のBYOD切り替えで、コストを3分の1にまで削減 株式会社NTTデータCCSの導入事例はこちら

BYODのメリット

BYODは企業と従業員の双方にメリットがあります。ここではBYODのメリットについて、企業側と従業員側のそれぞれの視点で紹介します。

企業側のメリット

まず、企業側のメリットについてチェックしていきましょう。BYODを導入すると、企業には以下のようなメリットがあります。

・端末代などコスト削減ができる

・デバイス管理等の運用コストの削減ができる

端末代などコスト削減ができる

先ほど紹介したとおり、BYODは企業側で端末を用意する必要がないためコスト削減につながるのが大きなメリットです。企業によっては端末の購入代を補助するケースもありますが、この場合も全額ではなく一部の負担で済みます。従業員としても会社に端末代を一部負担してもらえるため自己負担額が減り、双方にとってメリットです。

また、従業員それぞれが自分の使いやすい端末を選べるため、企業側が操作方法などをレクチャーする必要がなく、教育にかかる手間やコストも抑えられます。

デバイス管理等の運用コストの削減になる

BYODは、端末の調達コストだけでなく、初期のキッティングや端末管理のための情報収集などの運用管理の省力化にも効果的です。さまざまなツールや業務専用アプリ、ビジネス領域のみ管理すれば済むBYODでは、24時間365日などの監視、管理体制維持の必要性も大きく下がり、管理運用コストの大幅な削減に貢献します。

 

従業員側のメリット

BYODを導入する従業員側のメリットとしては、以下が挙げられます。

・業務効率化につながる

・モバイル端末の2台持ちが不要になる

業務効率化につながる

BYODを導入することで、従業員は効率的に業務を行うことができます。

企業側で業務用端末を支給する場合、従業員は業務用端末の使い方を新たに覚えなければなりません。端末や利用するシステムによってはトレーニングを受けたりマニュアルを読み込んだりする必要があり、場合によっては社内のヘルプデスクに問い合わせしなければならないケースもあるでしょう。

一方、私物の端末なら操作方法を把握しているため、新たに操作方法を学ぶ必要はありません。また、私物のスマートフォンを業務に用いる場合、常に持ち歩いているので移動中や外出先でも仕事への対応が可能になり、業務効率化が実現できます。

モバイル端末の2台持ちが不要になる

企業によっては、業務用のモバイル端末を支給しているケースもあるでしょう。この場合、従業員は業務用端末と私物端末の2台を持ち歩かなくてはなりません。BYODを導入すれば私物の端末1台で業務とプライベートの両方に対応できるため、モバイル端末の2台持ちが不要になるのもメリットです。

端末の複数持ちは持ち歩きの負担になるだけでなく、OSのアップデートや充電の手間が増えたり、紛失のリスクが上がったり、デメリットは少なくありません。使用する端末を1台にまとめると、これらのデメリットを解消できます。

BYODのデメリットと注意点

BYODは業務上のメリットが多いですが、一方でデメリットと注意点もいくつかあります。ここでは、企業側と従業員側がそれぞれ注意すべきポイントを紹介します。

企業側が注意すべきポイント

BYODを導入するにあたって、企業側は以下の3点に注意が必要です。

・制度やルールが複雑化する

・従業員のプライバシーが守られにくくなる

・従業員のランニングコストがかかる

制度やルールが複雑化する

BYODは私物端末を業務で使用することになるため、公私混同やセキュリティリスクといった問題を解消するために制度やルールを整えたうえで導入しなければなりません。

このような制度やルールの整備には手間がかかり、内容が複雑になりがちなので注意しましょう。制度やルールが複雑になると従業員が理解しづらく、BYODが浸透していきません。BYODを導入する際は、まず従業員の同意を得たうえで定期的に教育や研修を行い、ルールに則った運用を定着させていくことが大切です。

従業員のプライバシーが守られにくくなる

BYODを導入すると私物端末を企業側でも管理することになり、従業員のプライバシーが守られにくくなる点にも注意してください。

また、私物端末を業務で利用できるようになると、時間や場所を問わず仕事ができてしまうところも懸念点です。

従業員のランニングコストがかかる

私物端末を業務に用いると、通話料や通信料などのランニングコストの業務利用と個人利用との切り分けが難しく、線引きが曖昧になってしまいます。そのため、「業務利用分も費用を負担させられている」と従業員の不満につながる可能性がある点にも注意が必要です。

自宅でも仕事をする場合は、自宅のインターネット環境にかかる費用も従業員の自己負担となります。このような費用をどのように取り扱うかということも、ルールを決めて周知しておかなければなりません。

従業員側が気をつけなければいけないポイント

BYODの導入で従業員側が気をつける必要があるのは、以下の2点です。

・公私混同をしやすくなる

・セキュリティリスクがある

公私混同をしやすくなる

私物端末を業務で扱うBYODは、仕事とプライベートの境目が曖昧になるケースがあります。仕事で使っている端末が常に身近にあると、プライベートの時間も仕事のことを意識せざるを得ません。顧客から連絡が入ったときに個人のスマートフォンに通知が届くように設定していると、休日や業務時間外でも対応しなければならなくなり、精神的な負担になる恐れがあります。

セキュリティリスクがある

BYODを導入すると業務に関する情報の入った端末をプライベートでも持ち歩くようになるため、紛失や盗難が起きたときのセキュリティリスクが高まります。そのため、従業員はこれまで以上に慎重に端末を取り扱わなければなりません。企業側は、従業員のセキュリティに対する意識を高めるよう啓蒙していく必要があります。

紛失や盗難だけでなく、シャドーITによる情報漏えいやプライベートで利用したサイトやアプリ経由でウイルスに感染し、業務データが流出してしまうというリスクも考慮しておきましょう。ウイルス対策ソフトなどのインストールを従業員に徹底させるなどの対策も求められます。

※シャドーITとは、企業側が把握していない端末やクラウドサービスを従業員が勝手に業務に使用することで、セキュリティインシデントにつながる恐れがあるとして禁止している企業も多いです。例えば、SNSやチャットなどの個人アカウントで取引先と連絡をとることや、個人で利用しているクラウドストレージに業務データを保存することなどが該当します。

BYODを導入する際のセキュリティ対策のポイント

ここまで紹介してきたようにBYODはメリットも多い反面、セキュリティリスクへの対策が必要不可欠です。ここでは、BYODを導入する際に押さえておくべきセキュリティ対策のポイントを紹介します。

運用ルールを決める

BYODの導入にあたって、運用ルールを決めて従業員に周知する必要があります。まずは、個人の端末をどこまで業務に使用するのか範囲を明確にしておきましょう。「メッセージの受信のみ」「タスクの閲覧のみ」など、従業員にヒアリングしたうえで具体的に使用範囲を設定するのがおすすめです。併せて、社内システムへの接続可否なども決めておきましょう。

「顧客情報は端末に保存しない」など、情報の取り扱い方に関する細かいルールも必要です。セキュリティの観点からは、パスワードの入力などの管理を徹底させることも大切です。よりセキュリティを高めるために、ワンタイムパスワードやデバイス証明書、多要素認証などによるアクセス制御の仕組みの導入も検討してみてください。

BYODでは1つの端末のなかに公私の情報が混在することになるため、従業員に対しては業務中だけでなくプライベートでも端末の管理を徹底するよう教育することも重要です。

セキュリティ対策

セキュリティ対策の具体的な対応としては、以下の2点が有効です。

・情報セキュリティ対策のガイドラインを作成する

・セキュリティ対策ツールを導入する

情報セキュリティ対策のガイドラインを作成する

情報セキュリティ対策のガイドラインを作成して従業員に遵守させることで、情報の流出といったトラブルを未然に防いだり、トラブル発生時の被害を最小限に食い止めたりすることが可能です。

ガイドラインに記載すべき具体的な内容としては、以下のようなものが挙げられます。

・USBメモリやSDカードなど外部ストレージに業務データを保存しない

・端末を公共Wi-Fiや不審なアクセスポイントに接続しない

・紛失や盗難が起きた際の対処方法(遠隔でのデバイスロックやデータ消去など)

このように、発生しうるトラブルを事前に想定し、「トラブルを防ぐために守るべきルール」と「トラブル発生時の具体的な対処方法」について記載したガイドラインを作成しておきましょう。

セキュリティ対策ツールを導入する

より高度なセキュリティ対策として、運用ルールやガイドラインの設定に加えてセキュリティ対策ツールの導入も求められます。モバイル端末のセキュリティ対策としては、MDM(Mobile Device Management)やMAM(Mobile Application Management)があります。

MDMは企業などで使うモバイル端末を一元的に管理・監視するためのツールです。事前に会社と従業員間で取り決めたルールを破ったり、不正な操作をしたりすると、機能を利用できないように制限をかけることができます。各端末の状況を自動的に収集する機能もあるため、紛失時に従業員以外の人が操作している場合でも状況を把握できます。

MAMは、モバイル端末にインストールしたアプリケーションを管理する仕組みです。アプリごとにデータの制御や暗号化などが設定でき、業務用アプリのみを対象に管理できます。MDMとは異なり端末本体を管理するわけではないため、導入しやすいセキュリティ対策です。

セキュリティトラブルの発生に備えて、このようなツールの導入も検討しておきましょう。

BYODの成功事例

ここからは、セキュリティ対策を取り入れてBYODを適切に運用している成功事例を6つ紹介します。

九州大学

九州大学では、2013年からBYODを導入し、学生のパソコン必携化を採用しています。導入以前は学生が利用できるパソコンルームを活用していましたが、予算の都合上、学生に合わせてパソコンを増やせなくなったためBYODを利用し始めました。

パソコンルームを廃止したことで新規のパソコンを購入するコストを削減し、代わりにBYODのためのネットワークシステムを導入しています。BYODを学内に取り入れた結果、学生自ら積極的に学びたいと思えるような教育環境を整えることに成功しました。

また、BYODによりWeb学習システムを活用することで、学生の学習履歴を蓄積・記録できるようになりました。データ分析により、学習状況の把握や、デジタル教科書の内容の改善、成績の予測を行い、より良い教育環境を実現しています。

導入にあたってはセキュリティリスクを考慮して、ファイアウォールを設置。大学生の多くはスマートフォンやパソコンを自分で持っており、ネットリテラシーも高いため、大切なデータや情報をセキュアに管理できています。

和歌山県

和歌山県ではICTの活用を積極的に進めていて、全職員のパソコン約4000台にシンクライアントシステムを導入しています。しかし、県外からシンクライアントを使用できるのは東京事務所に限られているのが課題でした。

そこで、リモートアクセスサービス「moconavi」を活用して、スマートフォンなどのモバイル端末から安全にシンクライアントに接続できる環境を構築し、BYODを実現しました。これによって東京事務所以外からも、いつでもどこでも業務が行えるようになり、庁外で働く職員の利便性が大きく向上しています。

BYODによって生産性が向上して残業時間の削減に成功しただけでなく、ワーケーションの推進に取り組んでいるのも特徴です。和歌山県の一部の職員は「仕事をしながら海外旅行をする」という体験をしていて、観光の合間にスマートフォンで業務をこなすなど、柔軟な働き方を実現しました。

BYODの課題であるセキュリティ対策に関しては、「moconavi」による通信の暗号化や端末側に一切のデータを残さない仕組み、強固なアクセス認証やウイルス対策といった機能でクリアしています。

JRTT

独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)は、交通ネットワークの整備を目的に設立された団体です。業務上、鉄道事業者や自治体など外部の関係者との連携が重要になります。

予算内で支給できる業務用携帯電話の台数に限りがあるため、所長クラスの職員には携帯電話を支給し、ほかの職員は共用で利用する運用をしていましたが、複数端末の持ち歩きや端末の共有によるセキュリティリスクなどが課題でした。 

そこで、2017年から限定的に開始していたBYODの対象範囲を外勤社員にも拡大し、私物のスマートフォンで外部関係者と連絡が取れるよう「moconavi 050」を導入しています。私物端末でも法人用の050番号を使用でき、従業員が通話料を負担する必要もありません。

「moconavi 050」は基本料金がゼロ円で、端末の用意が不要のため、管理の手間やコストを大幅に削減できています。

セゾン投信株式会社

2020年時点で資産総額3,000億円のファンドを運用する「セゾン投信株式会社」は、社員が社外で活動することが増えてきたことを契機に、2018年からテレワークに向けたBYOD導入の検討を始めました。

そして、2020年にリモートアクセスサービス「moconavi」を採用。Microsoft 365(Office 365)と連携し、スマートフォンを軸にしたBYOD環境を実現しています。

さらに、パソコンを遠隔操作できるリモートデスクトップサービス「moconavi RDS by Splashtop」とも連携することで、テレワークでも社内パソコンにセキュアにアクセス可能。コロナ禍で緊急事態宣言が出た際、外販活動を自粛するとともに、4割の社員を在宅勤務に移行するなど、スムーズなテレワーク化を実現しました。

北國銀行

北國銀行ではIT活用に積極的に取り組んでいて、全社員にモバイルパソコンとiPhoneを配布していましたが、私物端末との2台持ちで荷物が増えることや端末管理の煩雑さからBYODへのニーズが高まっていました。

BYODを導入するにあたり、セキュリティ対策にMAMのなかでトップシェアを誇る「moconavi」を採用しています。業務に使用するMicrosoft365にはmoconavi経由でのみログインできるように設定し、端末にデータを残しません。アプリのみを管理する仕組みのため、業務と個人の領域を明確に分けて管理できています。

BYODによるコスト削減効果も期待でき、通信料金と端末購入費の一部を補助する「BYOD手当」の支給を計算にいれても、ランニングコストが約20%削減できることがわかっています。

株式会社サーラビジネスソリューションズ

株式会社サーラビジネスソリューションズでは、事業運営に関わる人材は5000人を超えていますが、物流ドライバーや厨房スタッフなど日常的にパソコンを使わない職種もあり、業務用パソコンの数は約4000台にとどまっていました。

「いずれは全員にパソコンやスマートフォンの支給を」と考えていた矢先、リモートワークが不可能なことで退職せざるを得ない女性社員が出てきたことで、課題解決に向けた取り組みを開始。予算の問題などから、個人所有のスマートフォンを活用するBYODを採用しました。

私物端末から社内ポータルやワークフローが使えるようになり、外出の多い職種の従業員の業務処理も滞りなく行われています。そのほか、050電話サービスを契約して業務で使用した通話料金が従業員負担にならないよう配慮しています。

セキュリティ対策をしてBYODを活用しよう

BYODは、働き方改革という背景のもと、従業員の柔軟な働き方を実現するために非常に重要。業務効率化やコスト削減、シャドーIT対策といった多くのメリットがあります。

一方で、私物の情報端末を使用するため、情報漏えいやウイルス感染といったセキュリティリスクもあり、充分な対策が必要です。各社からさまざまなセキュリティ対策ツールが提供されていますが、なかでもおすすめなのが前述した「MAM」。

リモートアクセスサービスのmoconaviは、MAMのなかでトップシェアを誇ります。

moconaviは、端末にデータを残さずウイルス感染もしないため、万が一の紛失時にもデータ消去の心配をする必要がありません。悪意のある第三者による情報漏えいだけでなく、セキュリティリスクのあるユーザの行動も未然に防ぎます。

各種クラウドサービスや社内ネットワークへセキュアに接続できるので快適なリモートアクセス環境を提供します。BYODを推進される際はぜひご検討ください。

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