IP電話の仕組みとは?050番号や0ABJの違い、メリット・デメリットを解説
- 投稿日:2020 - 4 - 16
- 更新日:2023 - 2 - 1

電話サービスの一つである「IP電話」。一般的なアナログの固定電話とどのように違うのか、ご存知でしょうか?
IP電話を利用することで、固定電話よりも簡単かつ低コストで通話環境の整備が可能です。一方でIP電話には“弱点”もあるため、ビジネスでの利用を考える場合は注意が必要です。
今回の記事では、IP電話の導入を検討するうえで知っておきたい、IP電話の仕組みや種類、メリット・デメリットについて解説します。
IP電話とは?
IP電話とは、「IP(インターネットプロトコル)」と呼ばれる通信方式を利用して通話を行う電話サービスの総称です。
はじめに、IP電話の歴史や仕組み、固定電話との違いについて解説します。
IP電話の歴史
日本では、2003年にインターネットサービスプロバイダが回線契約時のオプションとしてIP電話の提供を開始しました。そして、2005年頃からは大手企業が問い合わせ窓口の電話番号にIP電話を導入するといったケースが登場し、徐々に利用が拡大していきました。
近年ではパソコンやスマートフォンでIP電話を利用できるサービスが登場していて、テレワーク導入企業でも広く利用されています。
IP電話の仕組み
IP電話は、IP(インターネットプロトコル)を利用した「VOIP(Voice over Internet Protocol)」と呼ばれる通信技術により、音声をデジタル化して相手に届けます。パケット化した音声データを分割して伝送し、着信先で再度音声データに復元して人間が聞き取れる音声として再生されます。
IP電話と固定電話(アナログ電話)の違い
固定電話はアナログ回線を利用する仕組みで、アナログ電話ともいわれます。アナログ電話の場合、回線の途中で交換局という施設を経由します。通話相手との距離が遠いほど通過する交換局が多くなり、同時に通話料金が高くなるのが特徴です。
これに対し、IP電話はインターネット上で音声データをやりとりする仕組みで、交換局は経由しません。そのため、距離による通話料金の違いがなく、全国一律の料金となります。
IP電話の種類
IP電話は、「0AB-J型」「050番号型」「電話番号不要型」の3つのタイプに分かれます。
ここでは、それぞれのタイプについて詳しく紹介します。
ひかり電話などの0AB-J型
0AB-J型は、従来の固定電話で使われている「03」などで始まる全10桁の電話番号の形式です。0AB-J型の電話番号は、総務省の「電気通信番号制度」において、利用者設備識別番号のうち「固定電話番号」に位置しているので、「市外局番 – 市内局番 – 加入者番号」の並びになっています。東京23区であれば「03」、大阪の場合は「06」から始まります。必ず0で始まり、「0A – BCDE – FGHJ」といったアルファベット部分の2桁目から6桁目(A~E)までは、総務省が電気通信事業者に指定した番号、F~Jの下4桁は電気通信事業者が番号を割り振っています。なお、アルファベット「H」の次は「I」ですが、数字の「1」と紛らわしいため「J」を採用しています。
あらかじめ電話加入権で取得した番号を持っていれば引き続き使えるのも0AB-J型の特徴です。新たに番号を取得する際にも、これまでのような市外局番から始まる10桁の電話番号が割り当てられます。
0AB-J番号をIP電話で使うためには、総務省の定める通話品質の基準を満たさなければなりません。通話品質の評価基準は「接続品質」「総合品質」「安定品質」「ネットワーク品質」の4項目で定められています。IP電話の一つであるひかり電話はこの基準を満たしているので0AB-J番号を割り当てることができます。
これにより、従来のアナログ電話と変わらない機能や通話品質の実現を可能としており、遅延が発生するなどトラブルの心配もありません。
050番号型
050番号型は、「050」から始まる11桁の電話番号の形式。ハイフンごとに「050(IP回線) – 事業者の識別番号 – 加入者番号」という情報を示し、電話番号を見ると通信機能を提供する電話事業者を判別することができます。
050番号は0AB-J番号と異なり、市外局番や市内局番といった地域情報が含まれません。そのため、携帯電話やスマートフォンなどの通信端末でも用いることが可能です。
050型は0AB-J型のように厳しい規定を設けているわけではなく、通話環境で音声品質が変わりやすいのが難点です。また、プロバイダを変更するたびに新たな番号を取得する必要があるのも特徴といえます。
電話番号不要型
電話番号不要型は特定の電話番号を必要としない電話サービスのことで、例をあげるとLINEやFacebookメッセンジャーなどが該当します。他には、Skypeや050plusなども電話番号不要型と呼ばれるサービスです。
電話番号不要型で音声通話の手段として用いられているのはVoIP(Voice over IP)技術で、サーバーを通して音声のデータ変換を行い、双方向で音声を送信します。これまでは同じアプリのユーザー同士であってもアカウントIDの交換をしない限り通話はできませんでしたが、近年はアカウントIDすら必要としないサービスも増えてきています。
IP電話のメリット
IP電話には大きく3つのメリットがあります。
通話料が安い
IP電話は固定電話に比べ、基本料金や通話料金が安いことがメリットのひとつ。一例を挙げると、県外へ3分間電話をかけた場合の料金は、IP電話が8円程度であるのに対して固定電話では20円程度かかります。また、基本料金もIP電話は相場価格が500円程度と割安な価格です。
IP電話は音声自体をデータ化するため、交換局などの設備が不要です。これにより費用を安価に抑えることができるのです。さらに、IP電話を提供するプロバイダによっては、回線契約と同時に申し込むことでさらに通話料が安くなるプランもあります。
また、同じプロバイダでIP電話を契約している相手となら、通話料が無料になるのもメリットです。そのため、電話の頻度が多かったり、長時間電話することがあったりする相手と相互にIP電話を導入すると通話料を大きく節約できます。
全国で複数の事務所や支店を展開している企業の場合は特に有効で例えば、旅行会社はIP電話の活用が浸透している業界のひとつです。
電話回線不要で手軽な運用ができる
これまで、電話を利用するには電話専用の回線を引くのが常識となっていました。電話専用のモジュラージャックが近くにない場合には、わざわざ配線を伸ばしたり新たにモジュラージャックを設置したりという手間もかかります。しかし、IP電話ならそういった工事が一切不要です。
また、電話回線が不要になることで通信インフラをデータ通信用のネットワークに統合でき、通信網の運用管理の一元化が可能です。
さらに、IP電話は回線の追加と削除も簡単に行えるため、社員の増減にも柔軟に対応できます。人数が増えたら新しい回線を追加し、退職者が使っていた回線は削除するという簡単な運用になります。
システムの汎用性が高い
IP電話は汎用性が高く、他のさまざまなアプリケーションと統合しやすいのも大きなメリットです。これは、インターネットをベースにしているからこそ可能な機能といえるでしょう。
例えば、電子メールアカウントを利用してコールを発信し、そこからボイスメールにアクセスすることが可能です。もしくは、ボイスメールをテキストに変換して電子メールとしての送信もできます。個人での連絡手段としてはもちろん、ビジネスでも便利に活用できる機能の一つです。
また、IP電話は従業員一人ひとりに個別の電話番号を割り当てることができます。部署異動やオフィス拡張などが発生してもWebサイト上でシステムを簡単に設定変更ができるので、柔軟でスピーディーな対応が可能です。これは、固定電話では難しい機能なのでIP電話ならではの特徴といえるでしょう。
IP電話のデメリット
IP電話にはメリットだけでなくデメリットもあるため、導入する際は注意しましょう。
緊急通報電話が使えない
050番号型や電話番号不要型のIP電話から、110番や119番といった緊急通報電話にかけることはできません。緊急通報電話はNTTがつくった仕組みであるため、IP電話をNTTの固定電話と同じように利用することができないのです。「0AB-J型」であれば緊急通報電話の利用が可能ですが、契約するプロバイダなどによって条件が変わる場合もあるので確認が必要です。
ただし、この仕様はIP電話が普及してきた現代にはそぐわないため、総務省が改善のための働きかけをしています。そのため、近い将来IP電話でも緊急通報電話が使えるようになることも考えられます。
フリーダイヤルが使えない
緊急通報電話と同様、フリーダイヤルに電話をかけられないこともIP電話を導入するうえで知っておきたいデメリットです。IP電話は携帯電話と同じように、フリーダイヤルには接続されない仕組みになっています。フリーダイヤルが使えないため、有料の専用番号にかける必要があります。
しかし、企業で電話を使用する際、フリーダイヤルに電話をかける頻度はそれほど多くないでしょう。また、IP電話の通常利用時の通話料が安いことも考えると、それほど心配しなくて良いかもしれません。
音声品質が低いものがある
IP電話の通話品質は、固定電話と同等レベルの「クラスA」、携帯電話レベルの「クラスB」、クラスB以下の品質の「クラスC」の3段階に分かれています。前述のとおり、0AB-J型の場合は総務省の定める通話品質の基準を満たす必要があり、具体的にはクラスAの品質を満たすことが必須条件です。そのため、0AB-J型のIP電話は音声品質が高いという特徴があります。
一方、050番号はクラスCでも取得可能です。そのため、050番号型のIP電話はサービスによっては音声品質が低い可能性があり、サービス選定の際には注意しなければなりません。
携帯回線を使った高品質通話なら「moconavi 050」がおすすめ!
050番号型によくあるVoIP電話(IP電話)は、音声品質が不安定なこともあります。企業が導入するなら、音声品質は気になるポイントでしょう。高品質なIP電話をお探しなら、「moconavi 050」がおすすめです。
法人向けの050番号サービス「moconavi 050」は携帯電話回線を使用しているため、ネット環境に依存せず、鮮明な音声を実現しています。携帯電話回線のキャリア携帯と比較し通話料も2分の1程度と利用しやすい料金設定です。
また、個人の端末をビジネスで使用するBYOD(Bring Your Own Device)にも最適です。個人の携帯電話にビジネス専用の050番号を付与して番号を使い分けることで、全社員の050番号の通話料を会社へ一括自動請求でき手間がかかりません。また、クラウド電話帳でアドレス情報を一元管理できるほか、発着信履歴を端末に残さずセキュリティも万全です。
会社支給での端末が不要になることでコストも抑えられます。
ビジネス電話の切り替えをお考えの際は、選択肢の一つとしてmoconavi 050を検討してみてはいかがでしょうか?