社用携帯でスマホを2台持ちさせるメリットとデメリット。導入時の注意点とは?

  • 投稿日:2023 - 2 - 3
  • 更新日:2023 - 12 - 25
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テレワークをはじめとする多様な働き方が広がるなか、自宅や移動先からでも業務に対応できるように、社用携帯の支給を検討している企業担当者もいるのではないでしょうか。

総務省の『平成30年度 デジタル化による生活・働き方への影響に関する調査研究 成果報告書』によると、56.4%の企業が全従業員もしくは特定の職務を行う従業員に対してスマートフォンを支給している結果が報告されています。

ただし、社用携帯を支給して従業員がスマートフォンを2台持ちすることになると、セキュリティ上のさまざまなリスクにつながる可能性があります。社用携帯を支給する際は、安全に使用するための対策が必要です。

この記事では、企業が社用携帯を支給してスマートフォンを2台持ちにさせるメリット・デメリットや注意点、セキュリティ対策について解説します。

 

出典:『平成30年度 デジタル化による生活・働き方への影響に関する調査研究 成果報告書』

 

社用携帯を支給してスマホを2台持ちさせるメリット

社用携帯は、社内の関係者や取引先などとの連絡手段のほか、情報共有、タスク管理、スケジュール管理などのさまざまな目的で使用されます。スマートフォンを2台持ちにさせることで、次のメリットがあります。

従業員のプライバシーを守れる

社用携帯を支給すると、仕事とプライベートの連絡手段を分けられるようになり、従業員のプライバシーを守れるメリットがあります。

従業員のなかには、個人の携帯番号を取引先や顧客に教えることに抵抗がある人もいると考えられます。社用携帯を支給すれば、取引先や顧客に会社用の番号を伝えればよく、業務で個人の携帯番号を使う必要がありません。

業務以外の要件で個人の携帯に電話がかかってくることがないため、休日に電話がかかってきたり、個人的な連絡が来るようになったりするトラブルの防止にもつながります。

情報共有がしやすく業務効率化につながる

円滑な情報共有によって業務効率化を図れることも、社用携帯を支給するメリットの一つです。

社用携帯を支給すると、取引先や顧客からの電話が直接社用携帯にかかってくるようになり、社内で電話を取り次ぐ頻度を減らせます。

また、移動中のような隙間時間にメールやスケジュールをチェックしやすくなるため、情報共有をスムーズに行えるようになります。緊急の用件がある場合でも、社用携帯ですぐに連絡を取ることが可能です。

セキュリティ対策がしやすい

社用携帯を支給してスマートフォンを2台持ちにさせると、端末のセキュリティ対策がしやすくなります。

従業員の私用端末を業務に使用する場合、プライベートでさまざまなアプリケーションやWebサイトが利用されるため、ウイルス感染、サイバー攻撃などにつながるリスクがあります。また、会社が許可していない端末やアプリケーションが使用される“シャドーIT”が行われる可能性も考えられます。

私用端末のルールを定めて運用する場合でも、従業員のプライバシーを考慮するとなると、企業側で行える利用制限・監視の範囲は限られてしまいます。

私用端末を切り分けて使用できる社用携帯を支給すれば、端末へのセキュリティ対策ソフトウェアのインストールをはじめ、端末管理システムを活用した遠隔操作によるロック、アプリケーションの制限などを行えます。

業務に使用する端末を一元管理できるようになることで、シャドーITによる情報漏えいのリスクも防ぎやすくなります。

なお、シャドーITについてはこちらの記事で解説しています。

社用携帯を支給してスマホを2台持ちさせるデメリット

社用携帯を支給してスマートフォンを2台持ちにさせることによって、端末の運用管理に労力・コストがかかるほか、紛失や盗難のリスクが懸念されます。導入する際は、デメリットについても理解しておくことが重要です。

新規購入や機種変更のコストがかかる

社用携帯を支給する場合、携帯キャリアとの契約やスマートフォン本体の購入、機種変更などにコストがかかります。

一度購入して終わりではなく、契約期間中は基本料や通話料などの支払いが継続的に発生します。また、端末が古くなるとOSやアプリケーションのアップデートに対応できなかったり、バッテリーの持ちが悪くなったり、操作性が落ちたりするため、一定期間が経過したら機種変更も必要になります。

支給する端末の台数が多くなるほど、新規購入や機種変更のためのコストがかかることから、運用の負担につながる可能性があります。

セットアップの手間がかかる

社用携帯を従業員に支給する際には、業務に使用するアプリケーションのインストールやセキュリティ設定などのセットアップを行う必要があります。

新規入社や異動のタイミングでは、一度に複数台の端末へのセットアップが必要になるケースもあるため、情報システム部門または管理部門の担当者へ負担がかかりやすくなります。

2台持ちによる紛失・盗難のリスクがある

従業員がスマートフォンを2台持ちすることになると、通勤や移動の際に端末を持ち歩くことによって紛失したり、盗難に遭ったりするリスクがあります。特に外出が多い従業員の場合には、電車やタクシーへの置き忘れに注意が必要です。

端末の紛失・盗難によって、取引先や顧客の個人情報、業務データなどが漏えいすると大きな損害につながる可能性もあります。

社用携帯で2台目のスマホを導入する際の注意点

社用携帯としてスマートフォンを支給する際には、以下の注意点があります。

▼社用携帯でスマートフォンを支給する際の注意点

  • 業務に関係のないアプリケーションを無断でダウンロードされる
  • 許可していないネットワークに接続される
  • 端末の紛失・盗難によって第三者の手に渡る

従業員がプライベートで使用するアプリケーションを社用携帯にインストールしたり、許可していないネットワークに接続したりすると、サイバー攻撃やウイルス感染のリスクにつながります。

また、社用端末を紛失したり盗難されたりすると、端末内に保存している取引先や顧客の個人情報、機密データなどが漏えいして大きな損害につながる可能性があります。

このようなリスクを防ぐために、社用携帯のルールを規定して使用制限を設けるとともに、スマートフォンへのセキュリティ対策を行うことが必要です。

 

社用携帯のスマホを安全に使用するためのセキュリティ対策

社用携帯を支給してスマートフォンを2台持ちさせる場合には、端末の私的利用や紛失・盗難などのセキュリティリスクがあります。安全に使用するには、端末へのセキュリティ対策を講じることが重要です。

① 社用携帯の使用ルールを定める

社用携帯を支給する際は、使用ルールを明確に定めておく必要があります。

ダウンロードするアプリケーションや接続するネットワークなどのルールを決めておくことで、端末を踏み台にしたサイバー攻撃、情報の窃取などのインシデント防止につながります。

▼社用携帯の使用ルール例

  • 端末に自動ロックとパスワードを設定する
  • 端末のパスワードはほかのサービスと使い回さない
  • 従業員によるアプリケーションのダウンロードを制限する
  • フリーのWi-Fiスポットに接続しない
  • 端末を紛失または盗難された場合はフローに沿って報告・対応する

② 紛失・盗難への対策を行う

持ち歩く端末の台数が増えると、紛失や盗難のリスクが懸念されます。スマートフォンを2台持ちさせる場合には、紛失・盗難に備えて管理者側で端末のセキュリティ対策を講じることが重要です。

▼管理者側で実施する紛失・盗難への対策例

  • MDMを導入して、遠隔制御でデータ・アカウントの初期化や位置情報の検知、リモートロックができるようにする
  • MAMを導入して、端末内のアプリケーションの使用やデータ移行を制限する

MDM(Mobile Device Management)は、モバイル端末を一元管理するシステムです。管理者が端末の設定やネットワークなどを一元管理できるほか、遠隔制御、ポリシーの一括適用などによってセキュリティ統制をとりやすくなります。

また、MAM(Mobile Application Management)は、モバイル端末にインストールされたアプリケーションのみを管理するシステムです。業務に使用するアプリケーションを区別して使用制限を設定できるため、社用携帯だけでなく従業員の私用携帯を用いる場合の対策にも適しています。

MDMとMAMについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。


 

③ サイバー攻撃やウイルス感染を防御する

社用携帯を支給する際は、端末本体やネットワークに対するセキュリティ対策も欠かせません。社用携帯で社内外のネットワークにアクセスしたり、業務に必要なアプリケーションを使用したりする際に、サイバー攻撃やウイルス感染が起こるリスクがあります。

▼サイバー攻撃やウイルス感染への対策例

  • ウイルス対策ソフトウェアを導入する
  • 接続IPアドレスの制限や不要ポートの閉鎖を行い、インターネットへの露出を最小限に制限する
  • 社内ネットワークやクラウドサービスへのログイン時にログを取得して、アクセス状況を監視する
  • データの通信時に暗号化を行う

プライベートの携帯を業務で利用する“BYOD”という方法もある

社用携帯は従業員のプライバシーを守りやすく、管理者側でセキュリティ対策がしやすいなどのメリットがあります。しかし、端末の購入や運用などにコストがかかるほか、セキュリティ対策を行ってもリスクがゼロになるわけではありません。

社用携帯を支給するかどうか検討されている方には、“BYOD(Bring Your Own Device)”という選択肢もあります。BYODとは、従業員の私用端末を業務に使用することです。

BYODであれば、企業側が社用携帯の端末を購入したり、セットアップを行ったりする必要がなく、コストを抑えやすくなります。また、「仕事とプライベートとの区別がしにくい」「管理者側で端末のセキュリティ対策を一元的に行うのが難しい」という問題については、システムやサービスの活用で解決できます。

▼BYODを安全かつ快適に行うためのシステム・サービスの例

  • 1台のスマートフォンで2つの電話番号を使い分けられるアプリケーション
  • 端末内のアプリケーションのみを管理するMAM
  • 通話料の公私分計サービス
  • 端末内にデータを残さないクラウドストレージサービス

なお、社用携帯の支給とBYODの比較については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。


 

社用携帯のセキュリティの不安は『moconavi』で解消!

社用携帯を支給すると、従業員のプライバシーを守りながら自宅や外出先から円滑にやり取りが行える環境を整備できます。

ただし、私的なアプリケーションやWebサイトが使用されたり、紛失・盗難が発生したりして、セキュリティのリスクが残ります。安全かつ快適に社用携帯を使用するには、ルールを定めて利用を制限するとともに、システムやサービスを活用してセキュリティ対策を講じることが重要です。

社用携帯やBYODのセキュリティ対策には、『moconavi(モコナビ)』の活用がおすすめです。moconaviは、スマートフォンやタブレットなどの業務を安全に行うためのリモートアクセスサービスです。

▼moconaviの特徴

  • moconavi050』との連携により、050番号を1台のスマートフォンで使用できるほか、通話料の公私分計に対応している
  • 端末・通信経路にデータを残さない仕組みによって、盗難や紛失による情報漏えいのリスクを防止できる
  • アプリケーションをインストールすると、クラウドやオンプレミスのサービスに安全にアクセスできる

1台のスマートフォンで業務とプライベートを分けて管理できるため、社用携帯はもちろん、BYODの運用にも適しています。

なお、社用端末とBYODのコストについてはこちらの資料で解説していますので併せてご覧ください。

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