セキュアブラウザとは? BYODを安全に使うための基本と失敗しない選び方

  • 投稿日:2020 - 1 - 28
  • 更新日:2026 - 1 - 5
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働き方改革の推進や、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴って、テレワークの普及が進みました。これまでとは違ったフレキシブルなワークスタイルが求められるなか、スマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスを業務に活用する場面が増えています。

スマートデバイスの業務活用においては、業務の効率化が期待できる一方で、セキュリティ面が課題となります。そこで、利便性を損わずにセキュリティリスクを解消する方法として注目されているのがセキュアブラウザです。

情報システム部門や総務部門の担当者のなかには、「セキュアブラウザで何ができるのか」「セキュアブラウザの導入事例が知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、セキュアブラウザの概要や仕組み、できること、メリット、デメリット、選定ポイント、事例について解説します。

セキュアブラウザとは

セキュアブラウザとは、一般的なWebブラウザと同じようにWeb閲覧ができる一方で、不正アクセスや情報漏えいを防ぐ高度なセキュリティ機能を備えたブラウザです。近年はマルウェア感染やフィッシング詐欺など、多くのサイバー攻撃がWeb経由で発生していることから、企業での導入が急速に増えています。

特に、BYOD(Bring Your Own Device)のように私用端末を業務で使う場合、セキュアブラウザは非常に有効です。業務データを端末に残さず処理できるため、情報漏えいリスクを最小限に抑えながら柔軟な働き方を実現できます。

また、セキュアブラウザは無料で提供される一般ブラウザとは異なり、ビジネス利用を前提としたセキュリティツール として設計されている点も特徴です。今後は、生体認証やAIによる挙動解析など、より高度な機能を備えた製品の普及も期待されています。

セキュアブラウザの仕組み

セキュアブラウザは、端末内において構築・隔離された安全なエリアでデータやファイルの操作を行います。

▼セキュアブラウザの基本構成

画像引用元:総務省『テレワークセキュリティガイドライン第5版

セキュアブラウザでは、閲覧や操作を隔離された環境で行うため、利用後にキャッシュやセッション情報が消去され、端末側にデータが残りにくい設計になっています。これにより、端末紛失やマルウェア感染時の情報漏えいリスクを低減できます。

出典:総務省『テレワークセキュリティガイドライン第5版

一般ブラウザ/プライバシーブラウザとの違い

セキュアブラウザは、Google ChromeやMicrosoft Edge、Safariなどの一般的なWebブラウザや、Tor Browserといったプライバシー保護型ブラウザとは目的も設計思想も大きく異なります。

一般ブラウザが「快適な閲覧」、プライバシーブラウザが「個人の匿名性」を重視するのに対して、セキュアブラウザは企業の機密情報を守り、利用ポリシーを強制できることを最優先に設計された業務用ブラウザです。

 

▼比較表

項目 一般ブラウザ プライバシーブラウザ セキュアブラウザ
主な目的 利便性・高速性・互換性の確保 匿名性・追跡防止 情報漏えい防止とアクセス制御
想定利用者 個人ユーザー 個人ユーザー 企業・組織利用者
データ保存 キャッシュや履歴を端末に残す Cookie・履歴を自動削除 閲覧データを終了時に自動削除
ダウンロード 自由に可能 基本は可能(ただし追跡防止のため制限される場合あり) 管理者設定で禁止・制限可能
利用制限 基本的になし 広告・トラッカーのブロック機能が標準装備 URL・操作制限(コピー・印刷・スクショなど)をポリシーで強制

 

一般ブラウザとの違い

一般ブラウザでは、ユーザーがダウンロード・印刷・コピー・スクリーンショットなどを自由に行えるため、BYOD(私物端末の業務利用)では業務データが端末に残りやすく、情報漏えいリスクが高くなります。

一方、セキュアブラウザは以下の仕組みによって企業データの持ち出しを防ぎます。

  • データレス運用:履歴・キャッシュ・認証情報をブラウザ終了時に自動削除
  • 隔離領域(サンドボックス):機密データを端末本体とは分離した安全な領域で処理
  • アクセス制御:許可されたURLや操作のみ実行可能

また、企業・組織単位で統制管理できるよう、次のような機能を備えています。

  • URLフィルタリング(業務外サイトを自動ブロック)
  • 操作制御(コピー、印刷、スクリーンショット禁止)
  • アプリ利用制限(業務アプリのみ許可)
  • 多要素認証による不正アクセス防止

 

これらにより、ユーザーの誤操作から発生する情報漏えいを物理的に防ぐことができます。

プライバシーブラウザ

プライバシーブラウザは、個人の追跡防止と匿名性確保を目的としたブラウザです。そのため、以下のようなプライバシー保護機能を備えています。

  • Cookieや履歴の自動削除
  • 広告・トラッカーのブロック
  • IPアドレスの匿名化

しかし、セキュアブラウザが守るのは「個人」ではなく企業・組織の機密情報で、目的が明確に異なります。

  • プライバシーブラウザ:個人のプライバシーを守る
  • セキュアブラウザ:企業データの漏えいを防ぎ、業務ポリシーを強制する

同じ「セキュリティ」を扱うツールでも、守る対象と実現方法がまったく違う点がポイントです。

主要機能でできること

セキュアブラウザの機能では、主に以下の5つが行えます。

  • URLのフィルタリング
  • 利用するアプリケーションの制限
  • データの持ち出し対策
  • ゼロトラスト前提の認証・端末制御
  • 業務アプリの安全な利用環境

URLのフィルタリングが行える

社内業務にセキュアブラウザを導入することで、URLのフィルタリングが可能になります。URLのフィルタリングとは、閲覧可能なURLや閲覧禁止のURLを指定して管理することです。

 

▼URLをフィルタリングする手法の例

  • 特定のWebサイトへのアクセスのみを許可する
  • 特定のWebサイトへのアクセスをブロックする
  • “犯罪”や“暴力”など特定のカテゴリを指定してアクセスの制限をする など

 

仕事に関係がなく、業務中に閲覧することが不適切なサイトをフィルタリングすることで、健全なワークライフを促せます。また、作業効率の低下を防ぐことにもつながります。

利用するアプリケーションの制限

セキュアブラウザの業務利用においては、アプリケーションの利用制限を企業側で行えます。

セキュアブラウザでテレワークを行う場合、業務用のアプリケーションもセキュアブラウザ経由で利用します。未承認のアプリケーションが検出された際には、そのアクセスを制限することが可能です。

データ持ち出し対策

セキュアブラウザの最も重要な役割は、データの持ち出しを物理的に防ぐことです。企業ネットワークやクラウドにある情報を端末に残さず利用できるため、特にリモートワーク環境では情報漏えいリスクを大幅に低減できます。

 

▼主な制御機能の例

対策項目 機能内容
ダウンロード制御 業務システムからのファイルダウンロードを全面禁止、または特定条件下でのみ許可
コピー&ペースト制御 ブラウザ内データをクリップボードにコピーする行為を制限
印刷・キャプチャ制御 印刷やスクリーンショット操作を検知・ブロック
キャッシュ・履歴削除 ブラウザ終了時に自動で閲覧履歴・Cookie・キャッシュを削除

 

特に「画面転送方式」を採用するセキュアブラウザでは、データが端末に一切残りません。ブラウザを閉じるだけで情報が消去されるため、端末紛失時でもデータ流出の心配がなく、物理的に強固な対策が可能です。

セキュアブラウザは、利便性を保ちながらも“データを持ち出させない”構造で企業情報を保護します。

ゼロトラスト前提の認証・端末制御

セキュアブラウザはゼロトラストの考え方に基づき、すべてのアクセスを検証する仕組みを備えています。社内外問わずユーザー認証、端末の健全性、接続状況を確認し、安全なアクセスのみを許可します。

▼代表的な機能構成

  • 多要素認証(MFA)やFIDO認証による強固なユーザー認証
  • 端末セキュリティチェック(OSバージョン・マルウェア対策ソフトの有無・画面ロック設定など)
  • ZTNA(Zero Trust Network Access)との連携による動的アクセス制御

ZTNA と組み合わせることで、セキュアブラウザ経由でのみ特定のWebアプリを利用させるなど、条件付きアクセスが実現します。端末状態やネットワーク環境をリアルタイム評価し、要件を満たさない場合は即時に遮断できます。

そのため、正しい認証情報を持つユーザーでも、不適切な端末からのアクセスは防止可能です。

安全かつ快適な業務アプリの利用

セキュアブラウザは、業務で使うWebシステムやSaaSアプリを、安全性を保ちながら快適に利用できるよう設計されています。主要SaaSや社内Webが正しく動作すること、そして操作にストレスがないことが選定のポイントです。

互換性については、主要サービスが問題なく動作するかを事前に確認する必要があります。また、画面転送方式を採用する製品では通信環境によって遅延が発生する場合があるため、実運用に近い環境での動作検証が欠かせません。

さらに、セキュアブラウザはインターネット分離にも対応でき、外部サイトと業務システムのアクセス経路を分離することで、セキュリティを維持しながら業務アプリを安全に利用できます。

セキュアブラウザのメリット

セキュアブラウザを業務に導入すると、セキュリティの強化によってBYODの推進が行いやすくなります。また、テレワーク時の通信回線による影響の軽減も期待できます。

BYODの推進になる

セキュアブラウザを導入することで、BYODを推進しやすくなります。

BYODの課題として、企業側で私用端末のセキュリティ管理が難しいことが挙げられます。端末の紛失やマルウェアの感染などによって、私用端末に保存された業務データや個人情報などが漏えいしてしまうおそれがあります。

セキュアブラウザを利用すると、私用端末にデータを残さずに業務が行えるようになるため、BYODにおけるセキュリティを強化できます。

なお、BYODについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

通信回線による影響が少ない

セキュアブラウザは、テレワークに用いられるセキュリティ確保手段のなかでも、通信回線による影響を受けにくい点が特徴です。

VPNやVDIなどの手段では社内ネットワークと常時接続する必要があるため、通信回線が遅延した際に業務への影響が生じやすいといえます。

セキュアブラウザの場合、業務の処理自体は手元のデバイス上で行うため、通信回線の影響を受けにくいと考えられます。

なお、リモート環境におけるVPN・VDIについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

セキュアブラウザのデメリット

セキュアブラウザを導入する場合、端末の反応や業務に利用できるサービスの範囲などに影響を及ぼす可能性があります。

端末の反応に遅延が生じやすい

セキュアブラウザでは、セキュリティ確保のためにデータを逐次処理する仕組みが採用されています。そのため、ページ表示や操作時にわずかな遅延が発生する場合があります。

特にCookie制御やスクリプト制限などの機能を有効にしている場合、Webページの表示速度に影響を与える可能性があります。高性能な端末や安定した回線を利用することで軽減は可能ですが、コスト面の検討も必要です。

利用できるサービスに制限が生じる場合がある

セキュアブラウザを経由して業務を行う場合、導入したセキュアブラウザが対応していないWebサービスやクラウドサービスなどは利用できなくなります。例えば、CookieやJavaScriptの制御により一部のサイトが正常に動作しないケースもあります。

そのため、導入前には業務で利用しているWebサービスやクラウドアプリがセキュアブラウザ上で問題なく動作するかを検証しておくことが重要です。

失敗しないセキュアブラウザの選定ポイント

セキュアブラウザの選定で重要なのは、機能の多さではなく 自社の業務と運用に適合するかどうか です。

特に「業務が止まらないこと」と「必要なセキュリティ基準を満たすこと」の2点を押さえておくことで、導入後のトラブルや手戻りを防げます。

①対象SaaS・社内Webとの互換性

最初に確認すべきは、セキュアブラウザが既存の業務システムと正しく動作するかです。セキュアブラウザは制御が強いため、通常ブラウザと挙動が変わり、一部のサービスが動かなくなる可能性があります。

▼確認ポイント

  • 主要SaaSの動作:Salesforce / Microsoft 365 (※) / Google Workspace など
  • 社内Webシステムとの互換性:JavaScriptやWeb APIが正しく動作するか
  • マルチデバイス対応:Windows / macOS / iOS / Android の全OSで統一運用できるか

セキュアブラウザは安全性が高い一方で利用制限も発生し得るため、導入前の動作検証(PoC)は必須です。

※Microsoft 365 は、マイクロソフト グループの企業の商標です。

②運用要件

次に重要なのは、セキュアブラウザが自社の運用ルールに合わせて調整できるかです。制限が強すぎると業務が止まり、弱すぎるとリスクが残るため、柔軟な制御が可能かどうかがポイントになります。

▼主な運用要件

  • ダウンロードの許可・禁止の細かい設定
  • コピー&ペーストの制御
  • 外部ストレージへのアップロード制限
  • 操作ログの取得(誰が・どこから・何をしたか)

“細かく設定できる=現場が使いやすい”につながります。つまり、運用に合わせて調整できる幅が広い製品を選ぶことが成功の鍵です。

③セキュリティ機能

セキュアブラウザは名前のとおり、十分なセキュリティ機能を備えていることが前提となります。ここが弱いと、どれだけ運用しやすくてもリスクが残ってしまいます。

▼確認すべきセキュリティ機能

  • 認証強化:多要素認証(MFA)、FIDO対応
  • 端末健全性チェック:OS更新状況、ウイルス対策ソフト、画面ロック
  • データレス運用:履歴・Cookie・キャッシュを自動削除
  • 画面キャプチャ防止:透かし表示、OSレベルでの検知
  • URLフィルタリング・通信制御:危険サイト・不正通信の遮断

また、OSやアプリがアップデートされた後も、これらの機能が継続して動作することが重要です。

④法令・ガイドライン対応

最後に、自社が従うべき法令やガイドラインに対応しているかを確認します。業界や取引先によって求められる基準は異なり、満たせない場合は後から追加対策が必要になります。

▼代表的な法令・基準

  • 個人情報保護法:安全管理措置が確保されているか
  • FISC安全対策基準:金融機関レベルのセキュリティが必要な場合
  • GDPR / ISMAP / SOC2:海外拠点や官公庁案件で求められる基準
  • ISO/IEC 27001:情報セキュリティ管理の国際標準への準拠状況

特に、海外リージョンでデータを処理する場合 は、データ保管場所や現地法規制の遵守を必ず確認する必要があります。ISO認証やSOCレポートなど、製品の適合性が明示されているかどうかも信頼性の判断材料になります。

セキュアブラウザを利用してBYODを導入した事例

BYODのセキュリティ対策としてセキュアブラウザを利用したあおぞら銀行の事例を紹介します。

 

▼課題

業務にスマートフォンを使用するうえで、社用と私用の二台持ちになってしまうことや、紛失した際に情報漏えいが起こったか否かの判断が難しいことを課題に感じていました。


▼課題解決方法

セキュアブラウザ機能を搭載した『moconavi』を用いてBYODの導入に踏み切りました。


▼moconavi利用構成図

▼導入結果

  • 情報漏えいリスクの低減に成功した
  • 社内のフローへと安全にアクセスできるようになった

moconavi』のセキュアブラウザ機能を用いることでスマートフォンから場所を選ばずに承認を行えるようになり、意思決定のさらなる迅速化につながりました。

社給スマホが直面していた問題をBYOD+moconaviで解決、意思決定の高速化をセキュアに実現

BYOD導入時にはセキュアブラウザがおすすめ

スマートデバイスの業務利用を推進するうえで、セキュアブラウザはセキュリティ対策として重要な役割を果たします。さまざまなメリットがあり、テレワークにおいても有効です。

ただし、端末を特定する機能がないセキュアブラウザの場合、ブラウザを介して従業員以外の端末から社内ネットワークに不正アクセスされるリスクがあります。

そのため、端末と機体承認IDを紐づけて端末を特定できるセキュアブラウザが理想的です。

moconavi』はセキュアブラウザを採用したテレワークプラットフォームです。moconavi自体で機体認証しているため、不正アクセスのリスクを意識することなくセキュアな環境で社内システムへとアクセスできます。

テレワークでセキュアなBYOD環境を構築したいとお考えの際は、選択肢として検討してみてはいかがでしょうか。

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多くの企業・団体がセキュリティ被害に直面しており、総務省の調査では過去1年で半数以上が被害を経験しています。従来のVPNやVDIではクラウド主流のビジネス環境には対応しきれず、企業の内部だけを保護する従来型のセキュリティでは不十分です。そこで「ゼロトラスト」という新たな概念が注目され、特に「ゼロトラストブラウザ」が有力な解決策とされています。

本書では、その「ゼロトラストブラウザ」について紹介します。

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