テレワークの通信費や光熱費を社員に自己負担させないために企業が考えるべきこと
- 投稿日:2020 - 10 - 13
- 更新日:2024 - 5 - 24
これからの時代のワークスタイルとして注目されているテレワーク。自宅をはじめとしてオフィス以外のさまざまなロケーションで働くことができます。
テレワークにより「ワークライフバランスが保てる」などのポジティブな意見がある一方で、「仕事とプライベードの境界線が曖昧になる」と悩む人も少なくありません。時間や気持ちの切替が難しいのと同様に、通信費や光熱費などの経費を会社が負担すべきか、個人が負担すべきかという点でも曖昧になりがちです。
この記事では、テレワークによって発生する通信費や光熱費を誰が負担すべきかを解説し、トラブルを防ぐために企業としてどのようなポイントを考えておくべきなのかをご紹介します。
テレワークで発生する費用とは?
テレワークをするうえで発生する費用には、どんな種類があるのでしょうか。まずは企業が考慮すべき費用を種類ごとに整理してみましょう。
パソコンや携帯電話などの設備費
一つ目はパソコンや携帯電話、周辺機器など、業務上必要となる設備を準備するための費用です。これらについては、全てもしくは一部を会社が貸与する場合や、個人が所有する機器を業務用に使うといった方法があります。
会社が貸与する場合は、セットアップを完了し、規定のソフトウェアやアプリケーションをダウンロードした状態で貸し出すのが一般的。しかし、パソコンなどの機器は高額で会社の設備投資費は大きくなってしまいます。
個人の所有する機器を使用する場合には、設備投資費が抑えられると同時に、社員が使い慣れたものを使用するため、端末の利用方法などの教育やサポートなどの人件費が抑えられます。
ビジネスツールの導入費
テレワークにはメリットもある反面、「セキュリティリスク」「コミュニケーションロス」「勤怠管理」といったさまざまな課題もあります。そこで、テレワークのメリットを最大限に活かし、効率よく業務を行うために必要不可欠なのが、各種ビジネスツールです。
厚生労働省が公開しているテレワークに関するポータルサイトでは、次のようなツールを導入することが推奨されています。
リモートアクセスツール
社外からデータやアプリにアクセスするためのツール。リモートデスクトップ方式、クラウドアプリ方式、VPN方式が推奨されています。
コミュニケーションツール
ビジネスチャット、SNSの他、テレビ会議やWeb会議システムなど。コミュニケーションツールを活用することで、遠隔地同士でもスムーズなコミュニケーションが可能になります。
労務管理システム
遠隔地での労務状況を管理するためのツール。不定期に作業者のPC画面をキャプチャーしたり、離席中は労働時間にカウントしないといった機能により、社員の業務把握および勤怠管理が可能です。
ペーパーレス化ツール
社内外から閲覧や編集ができる電子文書の管理ツール。ペーパーレス化ツールを導入することで、「ハンコ文化」から脱却し、管理職がハンコを押すために出社する必要がなくなります。結果的にペーパーレスにもつながるので、紙や印刷代、人件費などの削減にも繋がります。
安全なモバイルテレワークツール
モバイル端末の紛失や盗難リスクに備えるためのツール。データをデバイス上の安全な領域で表示し、終了時に自動的に消去する「セキュアブラウザ」や、コンテナと呼ばれる暗号化領域でデータを表示し、個人データとは切り離して遠隔操作でのデータ消去も可能な「セキュアコンテナ」などの種類があります。
テレワークが可能な社員の人数や業務内容、予算などを踏まえ、どのツールが優先的に必要なのかを考えたうえで、段階的に導入していきます。
インターネットの通信設備費
テレワークでは、インターネット通信回線は必須といってよいでしょう。
自宅にブロードバンド回線が既に開通済みであればそれを使うことができますが、ない場合には新規で開通させるか、モバイルWi-Fiルーターを準備する必要があります。もし、インターネット環境を新たに準備する場合、回線工事や契約手数料などの初期費用、機器代などが発生します。
そして、テレワークではそれらの設備費の負担割合はどうするか、会社と従業員の間で決める必要があります。
インターネットの通信費
テレワークでインターネットを使う際、通信設備費とともに、毎月の通信費も発生します。インターネット回線は、どれだけ仕事で使い、どれだけプライベートで使ったのか、その割合を正確に把握することができません。家族が別の端末でも回線を使用している場合、その把握はさらに難しくなります。
インターネットの通信費の負担に関する会社と従業員間のトラブルを防ぐためには、会社がモバイルWi-Fiを貸与するという方法があります。他には「在宅勤務手当」という名目で、毎月の給料に上乗せして支払うという方法もあります。
通話料
取引先や、上司、同僚などとの電話で会話をする際、通話料が発生します。個人の携帯電話を使うこともありますが、通話料の精算が面倒なうえに、取引先の情報が個人の携帯に残ってしまうことや、プライベートの電話番号を相手に知らせなければならないなどのデメリットがあります。
そのため、会社が携帯電話を貸与するケースも少なくありませんが、前述したように端末代の設備費負担が大きくなってしまいます。
そうした問題を解決するために有効なのが、IP電話サービスを利用して個人の携帯端末にビジネス用の「050番号」を付与する方法です。これにより、通話料をプライベートと仕事用とで分けることができるとともに、会社の設備投資費用もカットできます。
アプリ経由で通話をするだけで相手には050番号が通知されるので、プライベートの電話番号を知らせる必要もありません。さらに、セキュアなクラウドアドレス帳が利用できるサービスを使えば、個人携帯に取引先のデータを残す必要もないので、万が一「携帯電話を紛失した」という場合でも情報漏洩リスクを回避することが可能です。
消耗品
テレワークでもオフィスワークと同様に、ノートやボールペン、切手など、さまざまな消耗品が必要になります。消耗品は一点一点が軽微なもののため、個人で購入してしまいがちですが、オフィスワークで支給されていた場合、テレワークでも支給してもらうか、経費精算をする必要があります。
光熱費
テレワークでかかる電気代などの光熱費が発生することも忘れてはいけません。しかし、これも通信費と同様に、どこまでが仕事用に使った分なのかを切り分けるのが難しいもの。
たとえば、月ごとの勤務時間に応じて精算する方法や、在宅勤務手当に含んでしまうという方法があります。
通信費や通話料、光熱費は個人が負担すべき?
在宅でテレワークをする場合、これまで説明した費用のなかで、通信費や通話料、光熱費はプライベートとの切り分けが難しく、個人が負担しがちです。ですが、これらは個人が支払うべきなのでしょうか?
現在の法律では、こうした在宅ワークのための費用について直接定めたものはありません。とはいえ、これらについては原則として会社負担と考えたほうが良いでしょう。
労働基準法第89条第1項第5号によると、従業員が常時10人以上の企業は「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない。」とされています。
そこで、これからテレワークの導入をする場合、会社の労務担当者は就業規則にテレワークに関する規定があるかどうかを確認する必要があります。なぜなら、従来の就業規則では、原則として出社する業務を想定した内容になっていることがほとんどだからです。
また、テレワークに合わせて就業規則を変更する場合でも、労働契約法第9条によって労働者側に不利益な変更を行うことはできません。そのため、企業の都合によってテレワークを推し進めるのであれば、必要となる経費は、原則として会社が負担するのが望ましいといえるでしょう。
テレワークで諸経費の支払いトラブルを回避する方法
テレワークにおいて諸経費の支払いをめぐって企業と社員の間でのトラブルを回避するために、企業の担当者が押さえておくべき方法について確認していきましょう。
事前に規定を決めて取り交わす
厚生労働省のガイドラインでは、テレワークを導入する際に次のような規定を設けることが必要としています。
・人事異動として在宅勤務を命じることに関する規定
・在宅勤務用の労働時間に関する規定
・通信料などの支払いに関する規定
このなかでも、テレワークによって発生する通信料などの費用については、曖昧にしておくと後々トラブルになる可能性も高いでしょう。こうした問題を回避するためには、会社が負担する範囲や割合などを労使間で協議のうえ、規定を決めて取り交わす必要があります。
手当てとして定額で支給する手当てとして定額で支給する
テレワークで生じる費用のなかで、プライベートと仕事との切り分けが難しいものは、業務時間に応じて精算するという方法もありますが、月ごとに計算する手間がかかります。
そうした問題を回避するためには「在宅勤務手当」として支給することが有効。労使間で取り決めた額を定額で支給することで、毎月の変動がなく、コストの見える化にもつながります。
リモートで使える経費精算システムを導入する
せっかくテレワークをしているのに、経費精算のために締め日前には出社しなければならないということはありませんか?そのようなことがないように、リモートでも使える経費精算システムを導入すると良いでしょう。
業務用と個人用で端末を分ける
通信費や通話料においては、個人用と仕事用の端末や回線を一緒に使用することで費用の切り分けが難しいという問題が起こってしまいます。はじめからそれぞれの端末を使い分けることで、費用も明確に分割できます。
また、個人の端末はセキュリティ対策が不十分なこともありますが、業務用にはきちんと会社によって管理された端末を貸与するのであれば、安心感があります。しかしながら、会社としての費用負担が大きくなってしまうという課題が残ります。
ビジネス番号付与により通話料の切り分け可能!端末調達コストも不要に
テレワークにおける費用負担の問題を解決する策として、個人携帯に050から始まるビジネス番号を付与する方法があります。050番号から発着信を行うことで通話料を会社が負担することができます。さらに個人携帯を業務でも活用できれば携帯端末を従業員に支給する必要がないため端末を購入するコストそのものが削減できます。
しかし、050番号サービスの種類によってかかる費用や音声通話の質、端末管理の方法などが異なります。サービスの選択をする際には、それぞれのメリットとデメリットを比較して検討するようにしましょう。
まとめ
テレワークの導入に際しては、実現するためのツールの検討や就業規則の見直しなどが必要になります。費用の切り分けが曖昧になりがちな通信費や光熱費の負担については、トラブルになる可能性があるため、会社がどのように費用負担するのかを協議し、規定を設けておきましょう。
moconavi050なら音声通話の質を保ちつつ、個人利用分と業務利用分の通話料を混同することもありません。また、個人携帯を業務利用する際に心配なセキュリティ面も安全で、社員のプライバシーも守られます。テレワーク の費用削減にぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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