テレワークとは?導入のメリットと課題から考える社内整備のヒント

投稿日:2019 - 9 - 3

働き方改革が進む中、自社にテレワークを導入しようと考える企業が増えています。テレワークをうまく活用することで、より働きやすい環境を作ることができますが、導入するにはまずその意味や定義をしっかり理解しておかなければなりません。

今回は、テレワークの利点や成功事例、さらには導入にあたって社内整備をどのように進めていくべきなのかを解説していきます。

テレワークとは:意味や定義と国が普及を推進する目的

働き方改革の実現に向けた取り組みの一つとして、企業への導入が推奨されているテレワークですが、具体的にはどのような意味や定義があるのでしょうか。また気になるのは、普及することで社会全体にどのような効果をもたらすのかということです。
まずはその詳細を分かりやすく解説していきます。

テレワークの意味と定義

テレワークとは、「tele=遠く」と「work=働く」を合わせた造語で、「オフィス以外の離れた場所で働く」という意味があります。働き方改革を実現させる上で重要なテーマとされており、政府による普及促進活動も盛んになってきました。
まず、その定義づけには、各省庁によって若干の違いがあります。たとえば、厚生労働省では「パソコンなどITを活用した時間や場所にとらわれない柔軟な働き方」と広義的な意味合いが強いのに対し、総務省が「ICT情報通信技術を利用し、時間や場所による制限を受けない柔軟な働き方」と、より趣旨が絞られています。
このような違いが出てくるのは、それぞれの部門で掲げる目標や理念が異なることが関係しているようです。

テレワークの普及による社会的効果

テレワークが各企業に導入されると、企業や労働者だけでなく、日本社会全体にさまざまなメリットがもたらされます。まず、勤務場所にとらわれない柔軟な働き方ができることによって、交通量や通勤ラッシュが軽減されることになります。
渋滞や混雑は仕事をする上で大きなストレスとなりますが、その芽を摘むことができれば、一人一人の生活に安らぎがもたらされるでしょう。また、交通量の減少は同時に大気汚染、電力消費量、CO2排出量などの抑制にもつながり、環境負荷を軽減をさせることにもなります。

UIターンの増加による地方の活性化も期待できるでしょう。どこに住んでいようと関係なく仕事ができるのであれば、都市部に住むことにこだわる必要はありません。地元に帰る人が増加し、地方が賑やかになれば、都市機能に頼ることのない国づくりも可能になります。女性にとって非常に暮らしやすい環境が実現できるのもテレワークの利点ではないでしょうか。
これまで出産や育児に直面した女性は、どうしても退職や時短勤務を余儀なくされることがありました。しかし、子育てや介護をしながらでも在宅勤務という形で復職できたり、フルタイムで働けるようになったりすれば、女性の社会進出や少子高齢対策にも高い効果を発揮することになります。

テレワークの種類と働き方の特徴

テレワークは、雇用関係の有無によって種類が分けられています。企業に所属する人の柔軟な働き方を意味する「雇用型」、そして自営業やフリーランスの人の自由な働き方を意味する「自営型」の2種類です。それぞれどのような違いや特徴があるのかを解説します。

雇用型テレワークとは

雇用型テレワークとは、企業や官公庁などと雇用関係にある社員や職員がオフィス以外の場所で業務を行うことです。代表的なものとして、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」の3種類が挙げられます。

在宅勤務とは、パソコンや電話を使用して連絡を取りながら、自宅で会社の業務を進めていくスタイルのことです。主に育児や介護に追われるスタッフに働きやすい環境を与えるという目的があり、実際に取り入れている企業も多いのではないでしょうか。

モバイルワークは、営業職などが外回り中に顧客先や飲食店などでパソコンやスマートフォンなどを使って業務をするスタイルを指します。テレワークを導入している日本の企業で、もっとも多く取り入れられています。サテライトオフィス勤務は、郊外の一室などの小規模オフィスで業務をする勤務形態を意味します。自宅が遠くて通勤が困難な人材でも容易に雇用することができたり、クライアントへの迅速な対応が可能になったりするので、作業効率の向上につながります。

自営型テレワークとは

自営型テレワークとは、企業や官公庁などと雇用関係にない個人が仕事の一部を請け負い、オフィス以外の場所で作業をすることで、具体的には、「SOHO(ソーホー)」「内職副業型勤務」の2つに分類されます。

SOHOは「small office home office」の頭文字をとった略称で、レンタルオフィスや自宅などで専門性が高い仕事や特定の業務を請け負って行うスタイルを意味します。プログラマーやデザイナーなど、企業から独立して活躍する人が徐々に増えていることを鑑みると、これからさらに主流となっていくことが予想されます。

「内職副業型勤務」は、求人サイトやクラウドソーシングサービスなどで、単発や短期の仕事などを請け負いながら収入を得るスタイルのことを指します。将来の生活を不安視する人が増えていることに加え、副業の規制も緩くなってきたことから、どんどん増えてきているスタイルです。

テレワークを導入するメリットとは

テレワークを導入することは、環境問題の緩和、少子高齢化の改善や地域活性化など、社会全体によい効果があるだけでなく、導入した企業、働く就労者にもメリットをもたらしてくれます。
ここでは、テレワークを導入することで得られるメリットについて、企業側と就労者側のそれぞれの視点に分けて詳しく紹介します。

導入する企業のメリット

最初に、テレワークを導入するとオフィスの縮小やペーパーレス化が実現できるため、経費削減につながることが挙げられます。
また、深刻化している介護問題や待機児童問題で、家を空けることが難しいという人が増えていますが、そのような問題を抱えながら働くのは容易ではありません。
在宅勤務が可能になれば働き方の選択肢が増えるため、離職率の低下や人材の確保がしやすくなり、社会貢献にもなります。

モバイルワークもメリットが多い勤務スタイルです。特に営業の業務とは親和性が高く、時間を有効活用して顧客との接点を増やせば、生産性が向上することに加え、交通費などの無駄なコストをカットすることもできます。
さらには、震災やパンデミックのような緊急の事態になったときでも、被害を最小限にとどめられるでしょう。事業の中枢部であるオフィスを分散化することで、事業の継続、または早期再開が望めます。

働く就労者のメリット

出社の必要がない、または直行直帰が可能になることで、業務の効率化や残業の軽減といった時間的な余裕が生まれます。あまりにも仕事に時間をとられてしまうのは精神的に疲弊が大きく、体調的にもあまり好ましくありません。
また、通勤による肉体的負担や混雑などでもストレスを抱えることがありますが、これらはテレワークを導入することで回避できます。

家庭の事情で通勤することが難しい、休暇を申請するのが気まずい、などの理由で退職せざるを得ないような状況に追い込まれることがありますが、テレワークが利用できればそのような心配もありません。
育児や介護と両立して仕事ができるようになることはもちろん、家族との時間を優先しながら仕事ができる「ワーク・ライフ・バランス」の実現にも効果的です。

テレワークを導入した企業の成功事例

テレワークを導入した企業は、一体どんな成果を挙げているのでしょう。平成30年度の「テレワーク推進企業等厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」を受賞した4社の取り組み内容と成果を見れば、テレワークがもたらす効果がいかに高いのかがイメージできるはずです。
ここからは、その4社のテレワーク成功事例を紹介します。

成功事例1:味の素

味の素では、週1回会社に出社すれば、後はどこでも働いてもいい「どこでもオフィス」という制度を推進しています。
時間も22時~5時の深夜割増賃金の発生する時間帯を除けば、どの時間でも勤務可能という非常に柔軟なワークスタイルを採用しています。また、一見するとテレワークとの適合性がなさそうな製造工場でも、事務作業や分析など、一部の業務で在宅勤務やモバイルワークを導入していることも見逃せません。

味の素のこれらの取り組みは、1人あたりの平均総実労働時間は右肩下がりに削減することに成功しており、大きな成果につながっています。

成功事例2:アフラック

アフラックは、ノートパソコンやタブレット端末を全部門の社員に貸与することで、全部署で在宅勤務が可能となっています。また、首都圏を中心に全8カ所のサテライトオフィスを設置しており、非常に柔軟な働き方が実現されています。
そして何より特徴的なのが、シフト勤務、フレックス制度をテレワーク利用者にも適用しているという点でしょう。
通常、テレワーク制とシフト勤務・フレックス制は切り離す企業が多い中、アフラックでは全スタッフに適用することでさらなる働き方改革が推し進められています。

その結果、テレワーク利用率は23%以上に上昇しており、対象社員全員が年1回以上テレワークを実施することに成功しています。社員満足度が向上し、社員が無理なく働ける環境が徐々に整備されつつあるのは言うまでもありません。

成功事例3:SCSK

SCSKでは、自宅、サテライトオフィスなど、いつでも、どこでも働ける「どこでもWORK」という制度を全社員対象に実施しています。また、テレワークの阻害となるペーパー類の削減のため、ペーパーレス会議の推進、定着化しているのも大きな特徴です。
社内にオープン席や集中席など、自席を前提としないフレキシブルオフィスを採用していることも、テレワークスタイルの常態化促進や作業の効率化に大きく貢献しているようです。

これらの取り組みを実施することによって、SCSKでは毎月3000名程度の社員が月平均3回のテレワークを実施し、社員の満足度の向上も確認されています。

成功事例4:TRIPORT

TRIPORTでは、代表取締役も含めて、全社員にテレワークを採用しています。全国にサテライトオフィスや小ワークスペースなどを完備していることで、就業者はどこに住んでいようと関係なく働くことができるのはもちろん、企業側もより優秀な人材を確保することに成功しています。
そのほか、SaaS型クラウドストレージサービスやチャット、WEB会議システムなど、安定したテレワーク環境を実現させるために多数のITインフラを導入するなど、不足しがちなコミュニケーションの解消にも抜け目がありません。

創業以来、正社員・アルバイトの離職率0%を維持しているというのは、他の企業ではなかなか見られない成果です。

中小企業がテレワークを導入する際に発生する3つの課題

テレワークを導入するメリットは大きいですが、企業の導入率は2017年9月末時点で13.3%、特に社員300人以下の中小企業は、わずか3%と低く、決してテレワーク導入が進んでいるとはいえません。
ここでは、中小企業への導入を阻む3つの課題と解決策のヒントを紹介していきます。

初期費用とランニングコスト

テレワークを導入する場合、まず立ちはだかるのがそのコストです。専用のパソコンやモバイルの貸与、テレビ会議などのハードウェアを整備する初期費用は、1人あたり平均約10万円かかるといわれています。
さらに、それらツールのランニングコストを考えると、導入費用の課題は大きく、なかなか導入に踏み切ることができません。そこで、国や自治体で行っている助成金を活用することをおすすめします。

まずは厚生労働省による「時間外労働等改善助成金(テレワークコース)」です。
初めてテレワークを導入する場合はもちろん、継続する場合においても支援を受けられるので、きっと心強い味方となってくれるでしょう。

総務省による「ふるさとテレワーク」は、地方の過疎化を防ぐ狙いで生まれた制度です。地方の自治体や民間企業でテレワーク導入を考えているのであれば、ぜひチェックしておきましょう。

最後は東京都の「働き方改革宣言奨励金」です。支援を受けるには「TOKYO働き方改革宣言企業」の承認を得る必要がありますが、都内の企業であれば利用を検討しておいて損はありません。申請方法など、助成金によってそれぞれルールが異なるので、分からないことがあれば各自治体窓口に問い合わせてみましょう。

社内制度の維持や管理

社員がオフィスに出社しない働き方は、従来の社内制度に順応させることが難しく、課題を抱えていることも確かです。
代表例として、「残業や休憩、休日出勤や有給といった勤怠管理が難しくなる」「一人一人の仕事ぶりが把握しにくく、人事評価の基準が今までと同じでは通用しない」「社外に情報が持ち出されることが増えるので、情報漏えいのリスクが高まる」などといった問題が挙げられ、テレワーク導入にはそれなりに慎重な姿勢が必要になってきます。

実際に導入に踏み切る際は、よりリスクを抑えるためにも、就業規則の見直しや管理システムの導入など、専門家のサポートを受けながら進めていくことが大事です。あらゆる出来事を想定しておけば、万が一トラブルに見舞われたとしても冷静に対処ができるでしょう。

社内のコミュニケーション低下

中小企業ほど、自社の生産性を維持・向上させるためには、社内のコミュニケーションが必要不可欠です。しかし、テレワークは社員同士が離れて仕事をするため、コミュニケーション低下の懸念が拭えません。
これを解決するためには、リアルタイムにやり取りができるチャットツール、お互いの顔が見えるテレビ電話やWEB会議の導入が必要になります。

その一方で、これらのツールにあまり過度に頼りすぎていると、ストレスを与える可能性も否定できません。利用するときは適度な使用を心掛けておきましょう。ストレスが生まれないようにするためにも、きっちりとルールを定めておくといいかもしれません。

テレワーク導入成功のカギはリモートアクセス環境の整備

テレワークを導入すれば経費削減や人材確保の面でメリットは大きいのは確かですが、導入時や導入後の課題が多いのも事実です。
特に、中小企業がテレワークを実現するためには、助成金を活用しながらも、まずはリモートアクセスの環境整備を進め、リスクを抑えながらテレワークを進めいくことをおすすめします。

前の記事:テレワークが普及しないのはどうして?理由と解決策を知っておこう
次の記事:政府主体のテレワーク月間とは?導入するメリットや適した業種を解説

関連記事

テレワークにはデメリットもある?課題解決のポイントを押さえよう! テレワークにはデメリットもある?課題解決のポイントを押さえよう!