働き方改革関連法とは?従来との違いや企業が対応すべき具体的な施策について解説
- 投稿日:2023 - 6 - 5
- 更新日:2023 - 6 - 5
現代の企業は「働き方改革関連法」を正確に理解し、必要な環境整備を実施することが求められます。働き方改革関連法は2019年4月1日から施行され、2023年4月1日からはさらに新しい基準が義務化されました。働き方改革関連法のポイントを踏まえた上で、具体的かつ効果的な施策を進めることが重要です。
本記事では働き方改革関連法の基本と、企業が対応すべき施策やポイントについて解説します。
働き方改革関連法とはどんな法案?
働き方改革関連法に対応するには、まず基本的な概要を把握する必要があります。
以下では、働き方改革関連法に関する基本について解説します。
働き方改革関連法は従業員が多様な働き方を実現するための改革案
働き方改革関連法は、「労働者が個々の事情に応じて、多様で柔軟な働き方を自分で選択できる社会を実現するための改革案」のことで、従来の法律に新たに加えられた「改正内容の総称」を指します。
働き方改革関連法は2019年4月1日から施行され、2023年4月1日からは、中小企業における60時間超の残業に対する割増賃金率の引き上げが義務化されました。
働き方改革関連法によって8つの法律が改正された
働き方改革関連法では、以下の8つの法律が改正されました。
・労働基準法
・労働時間等設定改善法
・労働安全衛生法
・じん肺法
・パートタイム労働法
・労働者派遣法
・労働契約法
・雇用対策法
多数の法律に対して大規模な改革が実施されたため、多くの企業がその対応に追われる結果になっています。働き方改革関連法に関係する法律を把握した上で、必要な施策を考案することが重要です。
働き方改革関連法の目的
働き方改革関連法が施行されたことには、さまざまな目的があります。
以下では、働き方改革関連法の主な目的について解説します。
長時間労働の抑制・是正
働き方改革関連法は、慢性化している企業の長時間労働を抑制し、従業員の働き方を変えるのが1つの目的です。働き方改革関連法によって、労働に対する考え方とワークライフバランスを見直し、プライベートの充実を図ることを目指します。
多様で柔軟な働き方を従業員自身が選べる社会の実現
多様で柔軟な働き方を従業員自身が選べる社会の実現も、働き方改革関連法の目的となっています。従業員が自分で考えた最適な働き方を、推進・実現することが求められています。
従業員によって理想とする働き方は異なるため、さまざまなスタイルに適応できる法律の存在が重要視されます。
公正な待遇の確保
雇用形態に関わらず、公正な待遇を確保できる社会の実現も、働き方改革関連法による目的です。例えばパートやアルバイトに不合理な待遇差を与えず、正社員と公正にサポートすることが必要とされます。
どのような雇用形態で働く人でも、不満なく仕事ができる社会の実現が課題となります。
働き方改革関連法による変更点
働き方改革関連法は、さまざまな変更点を与える結果になりました。
以下では、働き方改革関連法の主な変更点を解説します。
時間外労働の上限規制
働き方改革にともなう労働基準法の改正により、残業時間に一定の上限が設けられることになりました。
働き方改革関連法が施行されるまでは、時間外の労働時間が長くても罰則などの対応がなかったため、企業が従業員に過度な残業を強いたとしても、行政指導が行われるのみでした。
現在の時間外勤務の制限は、月に45時間、年間で360時間となっており臨時的および特別な事情がなければ、この上限を超えて時間外労働をさせるのは違法となっています。
仮に特別な事情があっても、月100時間未満、年間720時間以内、複数月の平均残業時間が80時間以内(休日労働含む)を超えられません。
企業は法令遵守のためにも従業員ごとに正確な労働時間を把握し、適正に管理していかなければなりません。定められた労働時間の中でこれまで通りの成果を上げるには、ITを活用した業務の効率化などを通して生産性向上を図ることが求められます。
月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の引き上げ
働き方改革関連法では、月に60時間超えの時間外労働をしている従業員に対して、50%の割増賃金を提供する必要があります。従来の割増賃金は25%だったため、これから時間外労働を任せる際には、2倍の賃金が必要となります。
一方で、深夜割増賃金(25%)や、休日割増賃金(35%)はそのままとなっています。
年次有給休暇を年5日確実に取得させる
働き方改革関連法の施行によって、従業員に5日間の年次有給休暇の消化が義務化されました。具体的には年次有給休暇が10日以上付与された授業員に対して、最低5日間の消化を義務付けるものとなっています。
雇用形態を理由とした不合理な待遇差を禁止する
働き方改革関連法によって、雇用形態を理由とした不合理な待遇差が明確に禁止されました。パート・アルバイトと正社員に優劣をつけず、同じ従業員として扱うことが求められます。
高度プロフェッショナル制度の確立
高度プロフェッショナル制度とは、「高度な専門知識が必要な業務を担う」、「職務の範囲が明確になっている」、「一定の年収要件を満たしている」人材に、自由な働き方を容認する制度です。
労働基準法に規定されている以上の時間働けますが、企業には「年間104日以上、かつ4週4日以上の休日確保」、「健康管理時間の状況に応じた健康や福祉確保」が求められます。
労働時間を客観的に把握・管理の義務化
雇用しているすべての従業員に対して、客観的な労働時間の把握と管理も、働き方改革関連法によって制定されました。従業員の労働時間および働き方の実態を把握し、必要に応じて改善などを進めることが必要になります。
フレックスタイム制における清算期間の延長
働き方改革関連法によって、フレックスタイム制の清算期間(調整可能期間)が延長されました。従来は1か月の間で調整する必要がありましたが、改正後は3か月のスパンで賃金の清算が可能です。
結果的にフレックスタイム制での労働がしやすくなり、働き方の自由度が高まっています。
働き方改革関連法に対応する企業側のメリット
働き方改革関連法に対応することには、以下のようなメリットがあります。
・従業員のモチベーションアップにつながる
・ワークライフバランスの調整がしやすくなる
・従業員の確保も実現しやすくなる
それぞれのメリットについて、以下で解説します。
働き方改革関連法のメリット1.従業員のモチベーションアップにつながる
働き方改革関連法にあわせた対応は、従業員のモチベーションアップにつながります。従業員がより自分らしく働くきっかけになり、パフォーマンスの向上にも期待できます。
結果的に生産性の向上や、利益拡大を実現することも可能です。
働き方改革関連法のメリット2.ワークライフバランスの調整がしやすくなる
仕事とプライベート両方の充実を目指す、ワークライフバランスの調整がしやすくなる点も、メリットの1つです。従業員がしっかりと休みを取ってリフレッシュできれば、仕事における生産性向上や作業の効率化につながります。
働き方改革関連法に対応するポイント
働き方改革関連法にあわせた対応を進めるには、いくつかのポイントがあります。
以下では、働き方改革関連法に対応する際のポイントについて解説します。
働き方改革関連法への理解を深めて優先度を決める
働き方改革関連法への理解を深めて、社内における対策の優先度を決めることが重要です。自社に足りない要素を補えるように、優先して対応すべき分野を決めた上で施策に移ると良いでしょう。
最初からすべての変化に対応することは難しいため、まずは特定の分野に照準を絞るのがおすすめです。
導入しやすい施策から始める
いきなり働き方改革にあわせて、最適な環境を作れるとは限りません。最低限の環境を整えて、導入しやすい施策から重点的に開始していくことも、働き方改革関連法に対応するポイントです。
導入しやすさを重視した、具体的な施策を考案することが検討されます。
働き方改革関連法に最適な施策とは
働き方改革関連法に対応する際には、その変化にスムーズに適応できる施策の導入が必要です。
以下では、働き方改革関連法に最適な施策について解説します。
テレワークによる働き方改善に大きなメリットがある
働き方改革関連法には、テレワークの導入がうってつけの施策となり得ます。テレワークによって長時間労働の解消や、フレックスタイム制の導入がしやすくなります。
一方で、テレワークの実施には、準備が必要な点も考慮しなければなりません。簡単にテレワーク環境を構築できるシステムなどを活用し、働き方改革関連法による変化を、活かせるように備えるのが重要です。テレワークに必要な環境については、以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
働き方改革関連法に合わせた職場環境づくりには「moconavi」がおすすめ
働き方改革関連法に適した職場環境づくりを進める際には、「moconavi(モコナビ)」の利用がおすすめです。
「moconavi」なら安全で快適なテレワーク環境を構築可能
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リモートアクセス時に課題となるセキュリティは、すべてクリアしています。導入にかかる時間も最短で5営業日となっているため、スムーズな利用が可能です。
まとめ
働き方改革関連法にあわせた環境整備には、「moconavi」の導入がおすすめです。テレワーク環境をスピーディに整備できるため、従業員の働き方がより自由になります。
この機会に「「moconavi」」を使って労働環境を改革してみることも、ぜひご検討ください。
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