固定電話からIP電話に切り替えるメリットと注意点
- 投稿日:2023 - 11 - 28
- 更新日:2023 - 11 - 28
近年、テレワークが浸透して場所や時間に制限されない柔軟な働き方が広がっています。従来のアナログ方式の固定電話を使用している場合には、「電話対応だけのために出社が必要になる」「遠方に電話をする機会が多く、通話料金が高くなってしまう」などの問題につながりやすくなります。
このような問題を解消するには、“固定電話”から“IP電話”へと切り替えることが有効です。IP電話という言葉は耳にしたことがあっても、「従来の固定電話と何が違うのか」「IP電話に切り替えるとどのようなメリットがあるのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、IP電話の特徴や固定電話との違い、導入するメリット、注意点について解説します。
IP電話とは
IP電話とは、IP(インターネットプロトコル)の通信方式を利用した電話サービスのことです。
▼IP電話の仕組み
画像引用元:総務省『IP電話の今後の展開について』
従来の固定電話では、公衆電話網となるアナログ回線を用いており、各地区に設置された交換局を経由して通話をする仕組みが用いられていました。これに対してIP電話では、交換局を経由せずにインターネット回線を経由して通話をする違いがあります。
▼IP電話の仕組み
- VOIP(Voice over Internet Protocol)と呼ばれる通信技術によって音声情報を電気信号に変換する
- 電気信号をインターネットで送受信できるIPパケットと呼ばれるデータに変換して、相手に送信する
- 受信者側のゲートウェイでIPパケットを電気信号に復元して、音声情報に変換する
IP電話には、主に3つの種類があります。
▼IP電話の種類
種類 | 電話番号の構成 | 概要 |
0AB-J型 | 市外局番 – 市内局番 – 加入者番号 | 市外局番から始まる全10桁の電話番号を使用する形式 |
050番号型 | IP回線 – プロバイダの識別番号 – 加入者番号 | 050から始まる全11桁の電話番号を使用する形式 |
電話番号不要型 | なし | インターネット上で通信を行えるアプリケーションやサービスを使用して通話を行う形式 |
▼0AB-J型
0AB-J型では、プロバイダに対して総務省が定める通話品質の基準を満たすことが定められており、安定した品質で音声のやり取りを行えます。電話加入権で取得した電話番号は、IP電話へと引き継ぐことが可能です。
▼050番号型
050番号型では、市外局番と市内局番の地域情報が含まれていないため、スマートフォンやパソコンなどの端末で通話が行えます。ただし、通話品質はインターネットの回線状況に依存するほか、プロバイダを変更すると電話番号の引き継ぎはできなくなります。
▼電話番号不要型
電話番号不要型は、キャリアの回線を使用せずにインターネットの回線上で通話ができる仕組みとなっており、通話料金が無料になることが一般的です。ただし、通話品質がインターネットの回線状況に依存するほか、電話の発信者・受信者の双方が同じアプリケーションやサービスを使用する必要があります。
IP電話の仕組みや種類の詳細については、こちらの記事をご確認ください。
固定電話からIP電話に切り替えるメリット
固定電話からIP電話に切り替えることによって、電話対応の効率化やコストの削減などのさまざまなメリットがあります。
① 外出先や自宅から電話対応を行える
1つ目のメリットは、外出先や自宅から電話対応を行えることです。
従来の固定電話では、主装置と電話機が設置されているオフィスでしか電話の発信・受信を行えませんでした。
IP電話では、インターネット回線を使用しているため、インターネットがつながる場所と端末があれば遠隔地にいながら電話対応を行うことが可能です。
担当者の不在による電話の折り返しや対応漏れを防げるほか、電話番のために出社する必要がなくなり、テレワークにも対応できるようになります。
② 通話料金を抑えられる
2つ目のメリットは、通話料金を抑えられることです。
従来の固定電話では、交換局を経由して通話を行うことから、物理的な距離が遠くなるほど通話料金が高くなってしまいます。
IP電話の場合は、距離によって通話料が変わらないほか、通話料金も固定電話より安く設定されていることが一般的です。
▼県外への発信にかかる3分当たりの通話料金
電話の種類 | 通話料金 |
---|---|
固定電話 | 約20~80円 |
IP電話 | 約8~10円 |
業務のために離れた支店や事業所、取引先などに頻繁に電話をかける場合にも、IP電話であれば通話料金を抑えやすくなります。
出典:総務省『固定電話網の円滑な移行』『主なIP電話通話料金一覧表』
③ 電話加入権の取得や工事が不要
3つ目のメリットは、電話加入権の取得や工事が不要になることです。
従来の固定電話を導入する際には、電話通信事業者の電話加入権を購入する必要があるほか、電話線を引き込むための回線工事が必要になる場合があります。
IP電話では、電話加入権を購入したり、回線工事を行ったりする必要はないため、導入のコストや期間を抑えられます。また、スマートフォンやパソコンを使用して通話ができることから、新たに固定電話機を購入する必要もありません。
④ BYODを安全・便利に運用できる
4つ目のメリットは、BYODを安全・便利に運用できることです。
BYOD(Bring Your Own Device)とは、従業員が所有する私物の端末を業務に使用することです。
BYODで固定電話からの転送を受けたり、発信したりする場合、ビジネスとプライベートで通話料金の切り分けが難しくなり、経費精算が煩雑化しやすくなります。また、従業員のなかには、個人番号が会社やほかの関係者に知られることを不安に感じる人もいると考えられます。
050番号型のIP電話であれば、端末に業務用のセカンドナンバーを付与して、会社の電話を発信・受信することが可能です。プライベートとビジネスとの切り分けがしやすいため、従業員のプライバシーを守れます。また、050番号のみの通話料金を管理して経費精算を行えるようになります。
なお、BYODのセキュリティ対策についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
IP電話を利用する際の注意点
固定電話からIP電話に切り替えることで、電話対応の効率化やコストの削減などが期待できますが、導入にあたってはいくつか注意点があります。
通話品質が不安定になる可能性がある
IP電話の通話品質は、高いものから順にクラスA・クラスB・クラスCと3段階に分けられています。アナログ回線の固定電話や0AB-J型のIP電話は、クラスAの基準を満たすことが定められており、安定した通話品質が確保されています。
一方、050番号型についてはクラスCが最低基準とされているほか、電話番号不要型には通話品質の定めがありません。そのため、プロバイダやサービスによっては遅延、音声の乱れなどが発生する可能性があります。
通話品質や安定性を重視する場合には、0AB-J型またはクラスA・Bの基準を満たすサービスを選ぶことが重要です。
緊急電話やフリーダイヤルへの発信ができない
050番号または電話番号不要型のIP電話は、基本的に110番・119番の緊急電話や、0120から始まるフリーダイヤルへの発信ができません。
業務で緊急電話やフリーダイヤルに発信する可能性がある場合には、0AB-J型のIP電話を選ぶ必要があります。また、050番号型の場合は、最寄りの消防署や警察署の固定電話の番号を登録しておくことも重要です。
端末のセキュリティ対策が必要になる
IP電話を導入する際は、従業員の端末にセキュリティ対策を行うことも必要です。
スマートフォンやノートパソコンを使用して通話を行う場合には、端末内に社内外の連絡先が保存されることになります。
端末の盗難や紛失が発生すると、顧客・取引先の連絡先が漏えいしてしまうリスクがあるため、端末と連絡先のデータに対するセキュリティ対策が欠かせません。
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IP電話を使用する際のマイナスポイントを解決するために、『moconavi 050』が役立ちます。
moconavi 050は、050番号とクラウド電話帳が使える法人向けの050番号サービスです。
端末にアプリケーションをインストールして050番号を付与することで、従業員の個人端末をビジネスフォンとして使い分けできるようになります。インターネット回線ではなく携帯キャリア回線を使用しているため、安定した通話品質でやり取りが行えます。
▼moconavi 050の特徴
- VoIPの通信技術ではなく携帯キャリアの回線を使用しており、高品質かつ安定した通話ができる
- 050番号での通話料金は会社宛てに一括請求されるため、BYODを運用する際の経費精算が便利になる
- クラウドの電話帳で連絡先を一元管理することで、端末内に連絡先の情報が残らない
- 従業員の個人番号を共有しなくても、セカンドナンバーとして050番号を付与することから、プライベートとの切り分けがしやすい
- 050番号への電話を固定電話へ転送できるため、電話の取り次ぎや折り返しなどの対応をなくせる
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