モバイルワークとは? 導入における課題と解決法、成功の秘訣を紹介!

  • 投稿日:2020 - 8 - 25
  • 更新日:2023 - 9 - 27
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新型コロナウイルス感染症の影響によって、さまざまな業界でテレワーク・リモートワークの普及が進みました。オフィス以外の場所で仕事ができる環境が整備されたことで、移動中や出張先、カフェなどで仕事をする“モバイルワーク”も広がっています。

企業の情報システム部門や総務部門の担当者さまのなかには「今からモバイルワークを導入するメリットはあるのか」「運用を成功させるためのポイントはあるのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、モバイルワークの概要やメリット・デメリット、運用を成功させるためのポイントについて解説します。

モバイルワークとは?

モバイルワークとは、ノートパソコン・スマートフォン・タブレットなどのモバイル端末を使って、“施設や場所を制限されずに仕事をする”働き方を指します。

ICT(情報通信技術)の発達によって、これまでオフィス内で作業をしていた業務について、場所や時間を問わずに取り組むことが可能になりました。オフィス以外のカフェやコワーキングスペースなどで業務を行うことがモバイルワークに当たります。

テレワークや在宅勤務との違い

モバイルワークと混同されやすい働き方に、テレワークと在宅勤務があります。それぞれ働く場所の定義に違いがあります。

 

▼モバイルワークとテレワーク・在宅勤務の違い

働き方 定義
モバイルワーク モバイル端末を使用して、自宅やオフィス以外の場所で仕事をする働き方
テレワーク ITツールやクラウドサービスなどのICT技術を活用して、オフィス以外の場所で仕事をする働き方
在宅勤務 自宅を拠点に仕事をする働き方

モバイルワークは、モバイル端末を利用して自宅やオフィス以外の場所で働くことを指すのに対して、テレワークはオフィス以外の場所で働くこと全般を指します。そのため、モバイルワークもテレワークの一種となります。

また、モバイルワークの働く場所はカフェやコワーキングスペースなどの外出先となりますが、在宅勤務では自宅のみを拠点としている違いがあります。ただし、在宅勤務は“オフィス以外の場所で働く”という点でテレワークにも該当するため、テレワークの一種に在宅勤務が含まれる位置づけとなります。

なお、在宅勤務とテレワークの違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

モバイルワークの導入状況

2022年8月末に実施された総務省『通信利用動向調査』によると、テレワークを導入している企業は5割を超えており、そのうちの約3割がモバイルワークを導入しています。

▼テレワークの導入形態

画像引用元:総務省『令和4年通信利用動向調査の結果

また、在宅勤務は9割以上の企業で導入されているのに対して、モバイルワークは3割にとどまっている状況です。

モバイルワークを導入するメリット

モバイルワークを導入すると、隙間時間や移動中の時間を有効活用してより柔軟な働き方を選択できるようになります。

期待できるメリットには、以下が挙げられます。

ワークライフバランスの実現につながる

モバイルワークを導入してカフェや移動中などに業務を行えるようになると、資料やメールを確認するためにオフィスへ帰社する必要がなくなります。

訪問先への移動やオフィスに帰社するまでの時間を業務に充てられるため、残業時間の削減につながることが期待できます。

残業時間が削減されると、従業員のワークライフバランスが改善してパフォーマンスの向上や離職率の低下などにも結びつくと考えられます。

時間の有効活用による業務効率化につながる

時間や場所を問わずに仕事ができるようになると、時間を有効活用することが可能です。例えば、営業周りの空き時間を活用してカフェで仕事を進めることで、業務の効率化が期待できます。

また、外出先から社内のシステムにアクセスしたり、モバイル端末で業務に使用するアプリケーションを使用したりできる仕組みを整えることで、顧客からの急な問い合わせや資料送付の依頼にも迅速に対応できるようになります。

コストの削減を図れる

モバイルワークを導入すると、外出先で業務を行えるようになるため、外回りが多い従業員がオフィスを往復する際にかかる交通費を削減できます。

また、訪問先への移動中や待機時間などを有効活用して業務を行えるようになると、残業時間が削減されて人件費を抑えることにもつながります。

モバイルワークの導入で考えられるデメリット

モバイルワークは、勤務時間を有効活用して効率的に業務を行えるメリットがある一方で、労務管理やセキュリティに関するデメリットがあります。

労働時間の管理が難しい

厚生労働省の『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン』によると、モバイルワークを含むテレワークの課題の一つに「労働時間の管理が難しい」という意見が挙げられています。

▼企業から見たテレワークの実施による課題

画像引用元:厚生労働省『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン

社外で業務を進めるモバイルワークでは、実際に働いている様子を見ることができないため、管理者が正確な労働時間を把握して管理することが難しくなります。

また、モバイルワークでは空いた時間を有効活用できますが、それによってオン・オフの切り替えがしづらくなり労働時間が長くなってしまう可能性もあります。

▼労働者から見たテレワークの実施による課題

画像引用元:厚生労働省『テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン

長時間労働が常態化してしまうと従業員の心身に負担がかかるリスクがあるため、管理者が一人ひとりの労働時間を把握できる体制を整えることが求められます。

セキュリティリスクがある

モバイルワークを行う際、会社の情報を外に持ち出したり、外部から社内のネットワークにアクセスしたりすることによってセキュリティリスクが発生します。

▼セキュリティリスクの例

  • 業務に関する情報が保存された端末を紛失する
  • 暗号化されていないネットワークを利用して情報が漏えいする
  • パソコン画面を覗き見されて情報が流出する

モバイルワークでは、移動中やカフェなど社外の方が多く出入りする場所で業務を行います。業務に関する情報が保存された端末を紛失したり、覗き見されたりすると重要な情報が流出してしまう可能性があります。

また、暗号化されていない公衆または無料のWi-Fiを利用することで、通信内容を傍受されたりサイバー攻撃を受けたりするリスクもあります。安全な環境でモバイルワークを行うためには、端末やネットワークへのセキュリティ対策が必要です。

モバイルワークの運用を成功させるポイント

モバイルワークの導入を成功させるためには、外出先で業務を行いやすい環境を整備するとともに、労務管理やセキュリティ対策の見直しを行うことが必要です。

① 労務管理の方法を見直す

1つ目のポイントは、労務管理の方法を見直すことです。

モバイルワークを導入する際は、長時間労働を防いだり、従業員の労働時間を記録または把握できる体制を整えたりする必要があります。

▼モバイルワークにおける労務管理の方法

  • モバイル端末の使用時間を記録する
  • 社内システムへのアクセスログを基に労働時間を算出する
  • 時間外・深夜労働を禁止することを周知する
  • 時間外・深夜帯のシステムへのアクセスに制限をかける

長時間労働を防ぐには、時間外や深夜に業務をしないように積極的に声かけをすることも重要です。

② ツールを活用する

2つ目は、ツールの活用です。

モバイル端末を使用して外出先で円滑に業務を行えるようにするには、社外から業務に必要な情報・資料を収集したり、オフィスにいるほかの従業員と連絡をとったりできるツールを活用することが有効です。

モバイルワークに役立つツールには、以下が挙げられます。

【チャットツール】
チャットツールは、インターネットを通してメッセージのやり取りを行えるツールです。業務に関する指示や質問などのコミュニケーションをとったり、資料のファイルを添付して送ったりできるため、モバイルワークの利便性や業務効率を高めるために必要といえます。

【タスク管理ツール】
タスク管理ツールは、個人のタスクやスケジュール、プロジェクトの進捗状況、ほかのメンバーの作業状況などを管理できるツールです。

モバイルワークでメンバーと顔を合わせる機会が少ない場合でも、業務内容や進捗状況を可視化して共有できるため、円滑なチームワークにつながります。

また、従業員のスケジュールやタスクを社内で共有しておくことで、作業の漏れや遅延を防げるようになります。

【CRMやSFAツール】
顧客情報の管理や営業活動に役立つツールに、CRM(Customer Relationship Management)とSFA(Sales Force Automation)が挙げられます。

CRMとは、顧客情報を一元管理して良好な関係性を築くためのツールです。SFAは、営業メンバーのスケジュールや商談の進捗状況などを管理して、営業に関する業務を支援するツールです。

外出先のノートパソコンやスマートフォンなどで顧客情報、営業のスケジュールなどを確認できるようになるため、外回りの際に発生する隙間時間を有効活用することが可能です。

③ 運用ルールを定める

3つ目のポイントは、運用ルールを定めることです。

データの保存方法や使用するネットワークなどにルールを設けることで、モバイルワークの安全性を高められます。

▼モバイルワークにおける運用ルールの例

  • ファイルを端末のローカル上に保存しない
  • 公衆Wi-Fiを使用しない
  • 会社貸与のモバイルルータを使用する
  • ウイルス感染やスパイウェアの脅威について教育を行う
  • のぞき見防止フィルターを装着する
  • 社外環境ではデータを印刷しない
  • 外部記憶媒体は原則使用しない

また、モバイルワークの運用ルールを明確にして従業員に浸透させるために、社内でのガイドラインを策定しておくことも重要です。

④ 技術的なセキュリティ対策を行う

4つ目のポイントは、技術的なセキュリティ対策を行うことです。

モバイル端末とネットワークにセキュリティ対策を行い、サイバー攻撃や不正アクセスなどを防ぐことが重要です。

▼モバイルワークのためのセキュリティ対策の例

  • 業務権限やアカウントによるアクセス制限を行う
  • 社内システムやアプリケーションのアクセスに2段階認証を導入する
  • ハードディスクを暗号化する
  • セキュアコンテナを使用する
  • モバイル端末にウイルス対策ソフトを導入する
  • VPN接続やセキュアブラウザなどの利用してアクセスを行う
  • MAM(Mobile Application Management)ツールを導入する

VPN接続とは、インターネット上に仮想の専用回線を構築して端末から社内ネットワークまでの通信を暗号化することで、通信の安全性を高める仕組みです。

セキュアブラウザは、不正なアクセスや情報漏えいなどを防止する機能を備えたウェブブラウザです。VPN接続やセキュアブラウザを利用することで、外部から社内ネットワークにアクセスする際の情報漏えいを防止できます。

また、MAMツールとは、モバイル端末にインストールしたアプリケーションを管理するためのツールです。使用するアプリケーションを制限したり、モバイル端末へのデータ保存を禁止したりできるため、情報漏えいのリスクを軽減できます。

なお、セキュアブラウザとMAMツールについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

MAMツールによって安全で快適なモバイルワークを実現した事例

ここからは、MAMツールを導入して安全なモバイルワークを実現した事例を紹介します。

外出先から安全に庁内システムにアクセスして生産性向上

和歌山県庁では、人員削減が続いたことにより、ICT業務効率化が急務となっていました。生産性の向上をめざして『moconavi』を導入しました。

▼課題
庁内のシステムを安全に使用するためには、庁内でアクセスする以外に、東京事務所のものを使用するほかありませんでした。そのため、県外の出張時には東京事務所にまで行かなければ、メールやスケジュールの確認すらできませんでした。

▼解決方法
モバイル端末から安全にシステム情報を利用できる『moconavi』を導入しました。

▼導入結果

  • 出張先でもメールで簡単に書類を確認できるようになった
  • 庁外業務の利便性が大きく向上した
  • 職員のワークバランスが改善し、働き方改革に大きく貢献した

moconaviの通信は暗号化できるため、盗聴や情報改ざんを防止することができます。また、端末に一切データを残さないため、たとえ端末を紛失したとしても情報が漏洩するリスクを最小限に抑えられます。

 

[導入事例詳細はこちら]
県外で活動する職員の利便性を高めるため moconaviを活用したテレワーク基盤を提供

クラウドサービスや社内システムへセキュアに連携

株式会社十六銀行(以下、十六銀行)では、MAMツールの『moconavi』の導入によって、セキュリティに配慮したコミュニケーション基盤の変革を実現しました。

▼課題
十六銀行では、社内でのコミュニケーション手段としてPBXベースの固定電話による内線電話を使い続けていましたが、配置換えのたびに電話工事が必要になり、年間100万円以上のコストがかかっていました。

▼解決方法
スマートフォンを社内に導入したうえで、安全な環境でコミュニケーションをとれるように『moconavi』を導入しました。

▼導入結果

  • 銀行内のフリーアドレス化が可能となり、配線工事が不要になった
  • 自席に縛られない働き方が可能になった
  • 電話帳システムやスケジュール管理、社内SNS、メール連携などさまざまな業務サービスとの連携ができるようになり、スムーズにテレワークを導入できた

moconaviは、Microsoft 365(※1)やGoogle Workspace(※2)などのグループウェアや、Salesforce(※3)をはじめとしたSFA・CRM、クラウドストレージ、050通話サービスなど、さまざまな業務サービスと連携しています。

いつも使っている業務サービスをmoconaviのセキュアな環境で利用できるため、モバイルワークの利便性と安全性を高められます。

[導入事例詳細はこちら]
moconaviの幅広い機能を活用し、コミュニケーションのあり方を大幅に変革

※1…Microsoft 365は、マイクロソフト グループの企業の商標です。
※2…Google Workspaceは、Google LLC の商標です。
※3…Salesforceは、Salesforce.com,Inc.の登録商標です。

BYODへの利用にも最適

BYODとは、個人が所有する端末を業務に使用することを指します。岐阜県庁では、職員のテレワーク環境を整備する取り組みを推進しており、BYODの実現のために『moconavi』を導入しました。

▼課題
パソコンによる業務は携帯性に欠ける場合があるほか、災害発生時のような緊急時にはパソコンの起動や接続にかかる時間が問題視されていました。さらに、コロナ禍でテレワーク環境を整備する際のコストに関する問題も懸念されていました。

▼解決方法
コストパフォーマンスと携帯性を兼備したBYODツールとして『moconavi』を導入して、職員が誰でもテレワークができる環境を整備しました。

▼導入結果

  • メールを送信するためだけに登庁しなくてよくなった
  • 休暇中の緊急事案に対して、旅行先でもメールや資料の確認が可能となった
  • 出張先へ重いパソコンを持ち歩かなくて済むようになった
  • 情報セキュリティに関する事故の防止につながった
  • 移動中にメールやスケジュールを確認できるようになり、仕事の整理・段取りがしやすくなった

また、岐阜県庁では職員によるスマートフォンの2台持ちを解消するために『moconavi 050』の導入も検討しています。

moconavi 050は、モバイルワークやBYODでおすすめの050番号サービスです。セカンドナンバーとして050番号を付与することで、仕事とプライベートの使い分けができるほか、通話料は会社へと一括で自動請求されます。

クラウド電話帳でアドレス情報を一元管理できることや、発着信履歴を端末に残さない仕組みによって、端末のセキュリティ対策を強化できます。

 

[導入事例詳細はこちら]
コストパフォーマンスと利便性を兼備するmoconaviを6,000アカウント導入。職員が誰でもテレワークできる環境を確立

『moconavi』の導入でモバイルワークのセキュリティリスクに備えよう

移動中やカフェ、出張先などの場所を選ばずに仕事をするモバイルワークは、業務の効率化、ワークライフバランスの向上、交通費の削減などのメリットが期待できます。ただし、労働時間の把握が難しい、セキュリティに関するリスクがあるといったデメリットもあります。

モバイルワークを導入する際は、外出先で業務を行える環境を整備するとともに、労働時間を記録・管理できる仕組みを整えることや、端末やネットワークのセキュリティ対策を強化することがポイントです。

moconavi(モコナビ)』は、モバイル端末を利用して安全に業務を行える市場シェア5年連続No.1(※)のMAMツールです。
端末にデータを残さない仕組みをはじめ、強固な認証サービスや生体認証にも標準対応しているため、モバイルワークの利便性を損なわずに情報漏えいのリスクを軽減できます。

こちらからトライアルの申し込みができます。ぜひご検討ください。

[moconavi トライアル申込はこちら]

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モバイルワークに潜む3つのリスクとは?

施設や場所を制限されずに仕事を行うモバイルワーク。

モバイルワークは業務効率化など多くのメリットがある一方で、紛失・盗難などのトラブルに伴う情報漏えいや第三者による不正アクセスなどのセキュリティリスクがあります。

本書ではモバイルワークにおけるセキュリティリスクや対策について解説します。

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