テレワーク導入方法【完全ガイド】導入プロセスと成功のポイントまとめ
- 投稿日:2020 - 8 - 21
- 更新日:2022 - 9 - 16
コロナ禍の影響でテレワークが普及しつつあります。しかし、実際には環境整備がまだ追いつかないという企業も多いのではないでしょうか。テレワークを導入するには、労務管理をはじめセキュリティ面などポイントを押さえていくつか決めておかなければなりません。そこで、この記事ではテレワーク導入にあたってのプロセスや環境整備にルール、さらに懸念される点や対策などについて解説していきます。
テレワーク導入のプロセス
テレワークは、いきなり導入しようとしてもうまくいくわけではありません。事前に準備しておきたいことはたくさんあります。また、すべての職種に向いているわけではないため、導入可能かどうかを見極めることも必要です。しっかりプロセスを踏んでから導入しましょう。
まずは、導入の流れ見てみましょう。
1. 導入目的の明確化
2. 対象範囲の決定
3. 現状把握
4. プロジェクトチームの設置
5. 社内規定ルールの整備
6. セキュリティ対策
7. ICT環境の整備
8. 社内研修
9. 実践後の評価と改善
はじめに「導入目的の明確化」を行います。テレワークは単に導入すればいいということではなく、明確な目的が必要です。まず、テレワークを導入する必要性について考えてみましょう。次に行うのは「対象範囲の決定」です。どこまでの業務に導入すればいいかを決定します。そして、「現状把握」も外してはいけません。そこまで進めたら、次に必要なのは「プロジェクトチームの設置」です。
実際にテレワークを開始させるには、さまざまな準備がともないます。そのために必要なのがプロジェクトチームです。続いて「社内規定・ルールの整備」、「セキュリティ対策」、さらに「ICT環境の整備」に「社内研修」と順を追って進めていきましょう。ここまで完了したらいよいよテレワークの実施です。そして、実際に導入して何か問題点はないか検討することも怠ってはいけません。実践してから「テレワークの評価と改善」を行うことがポイントです。
それでは各項目の詳細を一つずつ説明していきます。
1. 導入目的の明確化
テレワークの導入目的はさまざまです。すでにテレワークを導入している企業で多く見られるのは、生産性の向上や人材確保、そして外部環境の変化への柔軟な対応など。テレワークのメリットの一つに通勤時間の削減がありますが、交通費はもちろん、事業所そのものを縮小できるという点でコストの節約にもつながります。また、在宅勤務やサテライトオフィスの活用で、遠隔地の人材を採用することも可能です。
また、BCP対策もテレワーク導入の重要な目的の一つ。BCP対策とは、どのような状況下でも事業を継続できるよう対策することをいいます。例えば、地震や豪雨などの自然災害時は、通常出社するのは困難です。だからといって業務を停止してしまえば企業の損失につながるばかりか、顧客へも不便をかけることになるでしょう。
2020年に中国湖北省で確認された新型コロナウイルスが蔓延したことで、多くの企業がBCP対策の一環としてテレワークの導入に関心を高めています。自然災害や感染症の他にも、テロも含めた非常事態に備えておく必要があります。テレワークの導入については、BCP対策を念頭に置きながら入念に議論して決定していくと良いでしょう。
2. 対象範囲の決定
テレワークの導入目的を明確にしたら、次に決定するのは対象範囲です。対象者は誰か、どこまでの業務が可能なのか、さらに実施の頻度について決めていきましょう。ここで注意したいのは、すべての職種にテレワークを導入できるわけではないということ。ですので職種単位ではなく、業務単位で決めていくことがポイントです。
通常、テレワークが可能な職種には、デザイナーやシステムエンジニアなどの専門職、オペレーターのようなサポート職や事務職などがあげられます。出社を必要としないという点では営業職もテレワークに向いています。店舗に勤務する形態でなければ、販売職もテレワークが可能といえます。
出社が必要な職種だからテレワークはできないというわけではなく、業務単位で見てみるとテレワークが可能な場合があります。例えば、企画書や報告書といった資料作成、CRMへの入力、メールやチャットでの社内外との連絡や調整、承認の意思決定、調査のための情報収集、電話やWeb会議システムを利用した商談や会議などは職種に関係なく発生する業務です。
これらを把握し、週の2日はテレワーク、3日は出社などとすることもできるでしょう。まず試行的に実施する部署や業務内容を決めておき、実際の効果について検証を行ったうえで徐々に拡大していきましょう。
3. 現状把握
テレワークを実施するには現状の就業ルールや運用方法では合わないことがでてきます。例えば就業規則や給与や手当、労働時間、人事評価の方法、勤怠管理、セキュリティールール、ICT環境などについてです。現状がどうなっているかを把握し、テレワークを行うにはどのような運用方法やルールにしたら良いか一つずつ見ていきます。業務の進捗状況や相談、従業員の健康状態まで把握しやすい環境を整えるようにしましょう。
4. プロジェクトチームの設置
続いて、テレワーク導入に向けてプロジェクトチームを設置します。プロジェクトチームには必要な人材を各方面から選定しましょう。例えば、就業規則の取りまとめについては人事や総務、ITC環境の整備には情報システムといった具合です。さらに、テレワークの導入を検討している部署の代表も合わせ進めていきます。プロジェクトチームの設置で重要なのは、経営陣が自ら指揮を取り方針を示すことです。
そして、一部の従業員だけではなく、社内全体がテレワークの必要性と導入について理解できる体制を整えましょう。企業によっては、すべての部署がテレワークの対象になるとは限りません。一部の部署だけにテレワークを導入することで、従業員の間で差別感が出ることもあります。そうならないよう従業員全員にテレワークの必要性を正しく理解してもらうこともプロジェクトチームの役割です。
5. 社内規定・ルールの整備
ここでは、テレワーク導入にあたって整備しておきたい社内規定やルールについて5つのポイントを紹介していきます。
労務管理
テレワークにおいても労働基準法を遵守しなければならないため、テレワークの就業規則を作成する必要があります。決めておきたい内容は労働時間や休日出勤などの他、評価やテレワーク時にかかるコスト、そして業務中のコミュニケーションなどです。必要な内容を決定したら就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署に届出を行います。就業規則は必要があれば変更し、その都度労働基準監督署に届出をしましょう
勤怠管理
テレワークの課題の一つに勤怠管理があります。基本的なこととしては、業務を開始したときや終了する際の連絡方法です。その他、急用や急病などで退席するときの連絡方法や休憩時間なども決めなければなりません。また、実際に業務を遂行しているかどうか確認できる手段も考えておくのも良いでしょう。これらの確認方法としては、メールやチャットでの報告やPC画面の記録、勤怠管理ツールの活用などがあげられます。営業職の場合はGPSを使っての位置情報確認ツールの導入も考えられます。
人事評価制度
実際に対面する機会が少ない分、テレワークの対象者と一般の従業員を同じに評価するのは難しいと感じるかもしれません。その問題を回避するには新たに人事評価制度を設けることが大切です。偏りがないよう、成果とプロセスのバランスを考えて評価できる制度を導入しましょう。そして、上司と部下がコミュニケーションを取る機会を作ることも必要です。プロセスをアピールする機会を従業員に与えてあげましょう。労働裁量性に依存しないことがポイントです。
テレワーク時のコスト
テレワーク時のコストとは、対象の従業員にかかる経費のことです。テレワークにかかる通信費は、基本的に雇用側が負担しなければなりません。また、在宅勤務を目的として光回線を契約する際にも雇用側が費用を負担することが求められます。その他、業務に使用するパソコンや通信機器なども雇用側が負担するのが一般的です。ただし、その分通勤手当ての支給がなくなるといったことも出てきます。テレワークの際にはどこまでコスト負担をするのか事前に従業員と話し合い、合意をとっておくことが重要です。
コミュニケーション方法
テレワークにおいて円滑なコミュケーションをとることは課題の一つといえます。直接対面する時間が取れない分、何か問題があっても従業員が連絡するのをためらうことがないよう配慮してあげましょう。例えば、チャットツールを活用して気軽に連絡が取れる環境を作るのもその一つです。他にもパソコンの画面共有をしながらのオンライン会議といった、さまざまなコミュニケーションツールの検討が望まれます。
6. セキュリティ対策
テレワークで問題にあげられる一つにセキュリティの脆弱性があります。オンラインで業務を行う際、特に脅威となるのはマルウェアや不正アクセスです。それだけではなく、アナログな問題にも備えておかなければなりません。例えば、端末や重要書類の紛失に盗難、重要情報の盗聴などがあげられます。また、カフェや公共施設などで業務を行う際には、パソコンの画面を覗かれるという心配も出てきます。
セキュリティ対策としては、まず守らなければならない情報資産を明確にしましょう。そのうえでセキュリティーポリシーを策定し、テレワーク対象者の行動についてルールを決めることがポイントです。同時に業務環境の整備も怠ってはいけません。もちろん、マルウェアや不正アクセスを考慮して技術的な対策と定期監査の実施も必要です。
7. ICT環境の整備
テレワークの主なICT環境は、以下の4つがあげられます。
1. リモートデスクトップ
2. VDN(仮想デスクトップ)
3. クラウド型アプリ
4. 会社のPCを持ち帰る際のVPN構築
1. リモートデスクトップ
リモートデスクトップとは、社内に置かれたデスクトップパソコンを他のパソコンやタブレットなどから遠隔で操作したり閲覧したりできる機能のことです。インターネット環境がある自宅のパソコンから会社のパソコンにアクセスし、いつもと同じように作業することができます。使い方も会社と会社のパソコンに専用ソフトを入れるだけで使用することができます。
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2. VDN(仮想デスクトップ)
VDNとは仮想デスクトップ方式のことで、手近にあるパソコンからサーバー上の仮想デスクトップにアクセスして利用できる機能のことをいいます。
3. クラウド型アプリ
クラウド型アプリは、どこからでもアクセスして作業が可能という点ではVDNに似ているかもしれません。ただし、クラウド型アプリはサーバーではなくクラウドにアクセスするという点が違います。
4. 会社のPCを持ち帰る際のVPN構築
会社のパソコンを持ち帰って作業を行う際に必要になるのがVPN構築です。ただ、パソコンを持ち帰る場合には機能制限を設けたり、セキュリティ面について十分に配慮することが前提になります。
実際にどれを選定するかは、使いやすさとセキュリティのバランスで決めることが大切です。また、テレワークのICT環境の構築には、リモートアクセスツールmoconavi(モコナビ)の導入を検討するのも良いでしょう。
その他の便利なツール
テレワークを導入するには、他にも勤怠管理ツールや承認ツール、円滑なコミュニケーションを実現するためのチャットツールなども必要です。さらに、コミュニケーションを取りながら業務を効果的に進めるうえでWeb会議ツールの導入も欠かすことはできません。適切な評価を行うための人事評価ツールもテレワークの導入には必要といえます。テレワークの実施にあたって実際にどのようなツールを導入すべきか検討してみましょう。
8. 社内研修
環境が整ったら、テレワークの対象者や関連部署に向けて研修を実施します。まず、押さえておきたいのは、テレワークの目的について理解してもらうことです。在宅勤務をはじめテレワークの対象者が特別扱いを受けているという印象を与えないようにしましょう。そして、導入までの流れやテレワークを希望する際の申請方法と承認方法についても説明が必要です。さらに、重要となる社内規定や労務管理についてもきちんと説明を行います。
テレワークの場合、目が届きにくいという点が問題にあげられます。そのため、セキュリティルールについても十分説明し、理解を得ておきましょう。また、チャットや勤怠管理などで使用するツールの説明や操作方法など、業務に必要な研修も行います。
9. テレワーク実施と評価と改善
実際にテレワークの開始や試験導入を行ったら、その効果を評価をしましょう。評価は、質的な面と量的な面の両方で判定します。また、雇用側の一方的な評価ではなく、実際にテレワークを経験した対象者からもアンケートで評価してもらうことが大切です。雇用側にとって効果があったと感じられても、従業員が不満を感じていたり負担を強いられていたりすれば、成功とは言えません。両者が評価してどのような課題があるのかを洗い出し、改善していくことがテレワークを効果的に進めていくポイントです。
まとめ
十分な準備をしておいても、テレワークはすぐに軌道に乗るというものでもありません。導入してみるとさまざまな問題が浮上するのはよくあること。運用していく中で課題にぶつかったらその都度改善し、新たなルールを設けながら自社に合ったテレワークを模索することが大切です。テレワークのICT環境の構築で悩んだときには、リモートアクセスツールのmoconavi(モコナビ)をご検討ください。