テレワークの就業規則はどうまとめる?トラブルにならないための注意点

投稿日:2019 - 11 - 13

テレワークを導入するときには、就業規則についても考えておきたいものです。就業規則に記載する内容は、法律によって定められています。違法な就業規則は罰金の対象になるだけでなく、従業員とのトラブルの原因にもなってしまうので注意が必要です。ここでは、就業規則のまとめ方や、従業員とトラブルにならないための注意点などについて解説します。

就業規則に盛り込む内容や届け出の規定

就業規則は、職場の規則集です。就業規則を作ることで、労使間のトラブルを防ぐことができます。会社によって規則はさまざまですが、就業規則は自由に書いてよいものではありません。そこに盛り込まなければいけない内容は、法律で定められているのです。就業規則に記載することが決められている内容には、「絶対的必要記載事項」と、「相対的必要記載事項」があります。

絶対的必要記載事項とは、勤務時間や休憩時間、休日や休暇、賃金や退職に関することです。退職に関することには、解雇の事由も含まれます。これらの規定は、就業規則に必ず盛り込んでおかなければなりません。相対的必要記載事項とは、それぞれの会社で決めている独自の規定のことです。退職手当、賞与などの臨時の賃金、最低賃金、食費や作業用品などの負担に関することなどが相対的必要記載事項に含まれます。ほかには、安全衛生、職業訓練、災害訓練や業務外の傷病扶助に関することなど、会社が独自に規定していることは、就業規則に必ず記載しなくてはならないのです。

就業規則の作成が義務付けられているのは、常時10名以上の従業員を雇用している会社に限られます。たとえば、繁忙期など時期に応じて従業員が変動し、一時的に10名を超えることもあるという場合は就業規則を作成する義務はありません。逆に、時には10人未満になることはあっても常態として10人以上の従業員がいる場合は、就業規則を作ることが定められています。また、10名以上の従業員にはパートタイムやアルバイトの数もカウントされます。

条件に該当する会社は就業規則を作成し、管轄の労働基準監督署に届け出なくてはなりません。記載内容に変更があった場合も、期日の決まりはありませんが、速やかに変更を届け出ることになっています。就業規則の作成や変更、また、届け出に関して違法が確認された場合は、30万円以下の罰金を課せられるので注意が必要です。

テレワークにも就業規則は必要か?

就業規則が必要となるのは、従業員が常時10名を超えている事業所です。これは、テレワークを導入する場合でも変わりません。テレワーク勤務者を含む従業員の数が、常時10名を超える事業所では、就業規則の作成、または、変更が義務付けられます。ただし、労働時間などの労働条件が、通常勤務者とテレワーク勤務者で違いがない場合は、これまでの就業規則をそのまま利用することができます。

とはいえ、実際は、テレワーク勤務を導入すると、通常勤務者とは異なる事情が生まれることが多いものです。たとえば、「通信費を誰が負担するか」という問題は、テレワークを導入すると生じてしまう可能性があります。この場合は、規程を作っておかなければ従業員の負担になることが心配される面もあるため、就業規則の変更が必要です。また、テレワーク導入の際にフレックスタイム制を取り入れたいこともあるでしょう。この場合も、新たに導入する労働時間制のための規定を、就業規則に書き加えるようにします。

テレワークには、通常勤務にはないさまざまな事情があるため、導入する際には就業規則を変更することが一般的です。ただし、テレワーク勤務者に向けた内容を既存の就業規則に付け加える代わりに、新たに「テレワーク勤務規程」を作成することもできます。テレワーク勤務規程には、テレワーク勤務を命じることに関する規程、通信費などの負担に関する規程を盛り込みます。また、テレワーク勤務者のために新たな労働時間を設ける場合は、その労働時間に関する規程も追記します。

このようなテレワーク勤務規程は、就業規則の作成が不要な事業所であっても、テレワーク勤務者の負担やトラブルを減らすために、作成する必要があります。ただし、テレワーク勤務規程は、あくまでも就業規則の一部とみなされるものです。そのため、就業規則の作成が義務付けられている事業所では、テレワーク勤務規程を作成、または変更した場合、管轄の労働基準監督署に届け出なくてはなりません。

就業規則は労働基準法をもとにまとめる

労働基準法は、テレワークにももちろん適用されます。そのため、テレワークを導入にあたって就業規則を作成するときには、労働基準法にも十分に注意を払わなければいけません。たとえば、労働基準法では、事業主は労働契約を締結するときに、就業の場所を明示することが定められています。そのため、在宅で勤務をする場合は、就業場所として従業員の自宅を就業規則に明示する必要があるのです。このようなことを知らずに就業規則を作成してしまうと、あとで違法労働などのトラブルが発生してしまうことにもなります。

テレワークとして在宅勤務を行う勤務者の場合は、自宅が勤務地となるので仕事とプライベートの区別がつきにくくなります。そのため、労働時間や経費に関することは、特に注意をして就業規則に盛り込む必要があります。使用者は、従業員の労働日ごとの始業時間や終業時間を確認して、記録しなくてはいけません。これは、使用者が従業員の労働時間を適正に把握するために決められていることです。在宅勤務者の始業時間や終業時間をどのように記録するか、また、勤務時間中の在籍確認をどうするかなどを、あらかじめ決めておくことが重要になります。

在宅勤務では、通信費や情報通信機器の費用などをどうするかという問題も生まれます。在宅勤務を行う従業員に負担をさせる場合は、就業規則に規定しておかなくてはいけません。ほかには、在宅勤務者に社内教育や研修制度に関する定めをするときにも、就業規則に規定します。また、業績評価や人事管理などについて、通勤勤務者と在宅勤務者で異なる制度を用いるケースもあるでしょう。新しい制度を導入するときには、その取り扱い内容を就業規則で説明しておかなければならないと、労働基準法で定められています。

在宅勤務者の注意点1:経費の負担

在宅勤務をするには、インターネット回線やパソコンなどの端末が必要です。そのため、インターネット回線の工事費や基本料金、また、パソコンを始めとした端末の購入費用が発生します。これらの費用は、業務のために使用するのであれば会社が負担するのが一般的です。しかし、自宅を仕事場とする在宅勤務では、インターネット回線をプライベートで使用することもあります。さらに、在宅勤務を導入するにあたってインターネット回線を新たに設置するのではなく、もともと従業員の自宅に設置されていた回線を業務に使用するケースもあるでしょう。在宅勤務の場合は、インターネット回線の使用について、仕事とプライベートの切り分けが難しいことが多いのです。

そのため、在宅勤務で使用するインターネット回線の工事費や基本料金は、会社が負担するケースと従業員が負担するケースの両方が考えられます。実際には、従業員に手当を支給したり、一定額を会社が負担したり、会社によって対応はさまざまです。いずれにしても、それらの規程をあらかじめ決めておき、就業規則に盛り込んで、誰が読んでも誤解が生じないようにしておきます。

在宅勤務を導入するときには、文房具の購入費用や郵送費、さらに、水道光熱費についても考えておかなければなりません。文房具などの消耗品は、会社が支給したものを使用するのが一般的です。切手などは前もって従業員に渡しておき、会社宛の郵送費はすべて着払いにすることもできます。このように、従業員が経費の負担をしなくてよい対策をすることはできます。しかし、それでも在宅勤務者が消耗品の購入費用や郵送費を、一時的に立て替えなくてはいけないケースは発生します。就業規則では、その場合の精算方法をルールとして記載しておくことが必要です。

水道光熱費については、自宅を仕事場とする在宅勤務では、通信回線の使用料と同じように、仕事とプライベートの切り分けは難しいでしょう。テレワーク勤務手当の一部として支払っている企業もありますが、いずれにしても明確にルールを決めて就業規則に記載することが求められます。

在宅勤務者の注意点2:勤務時間の把握

在宅勤務をする場合でも、通勤勤務の場合と同じように1日の労働時間は8時間、1週間で40時間が原則です。また、適度に休憩をはさむ必要もあります。とはいえ、在宅勤務では勤務時間があいまいになりがちです。従業員が勝手に夜間勤務や休日出勤をしないよう、事前に申請をするなどの規定を就業規則に盛り込んでおく必要があります。また、在宅勤務では自宅を仕事場とするため、基本的に通勤時間がありません。そのため、通常勤務と比べて早く業務を開始するケースもあります。そのことを認める場合は、その規定を就業規則に盛り込まなくてはいけません。いずれにしても、使用者は、従業員の労働日ごとの始業時刻や終業時刻を確認して、記録する義務があります。

労務管理ツールなどを使用して、勤務時間中の在籍確認をすることも重要なポイントです。在宅勤務では、勤務時間中、従業員が在籍しているのか離席しているのかを、オフィスにいるときのように確認することができません。どのような方法で在籍確認をするかは、労使で話し合って決めるとよいでしょう。きちんとした在籍確認をすることで、「さぼっていると思われるのではないか」という在宅勤務者の不安を軽減することができます。育児や介護のため、勤務時間中に業務を中断することを認める場合も、あらかじめルールを決めておくと安心です。

在宅勤務で、使用者が特に気をつけなくてはいけないのが、待機時間です。業務の指示を待っている間の待機時間は、勤務時間として扱われます。例えば、従業員に業務の指示をするのが夜間になってしまった場合、実際に業務を行うのが翌日だとしても、残業や夜間勤務とみなされるので注意が必要です。

在宅勤務者の注意点3:労働条件や評価

労働基準法施行規則5条2項では、事業者は労働契約締結に際し労働条件を明記することが定められています。そのため、就業の場所についても明示しなくてはいけません。在宅勤務では、従業員の自宅が勤務場所です。このことは、就業規則に記載するだけでなく、労働契約書にも盛り込んでおきます。

在宅勤務において、雇用側が誤解しやすいことの一つに業務に対する評価があります。基本的には、在宅勤務であっても通常勤務者と同じように平等な評価をすることが原則です。しかし、会社によっては、在宅勤務者の評価や人事管理について、通常勤務者とは違った制度を用いることもあります。その場合には、どのように評価を取り扱うのか、就業規則に明記しておかなくてはいけません。また、在宅勤務を選択する労働者に、その内容を説明しておく必要があります。

テレワーク全体として注意したいこと

テレワークのデメリットとしては、本社から離れたところで業務に従事するという性質上、従業員に緊急事態が起こったときに、雇用側が把握しにくいということが挙げられます。テレワーク勤務者が急病や事故などのアクシデントに巻き込まれた場合に、「連絡方法をどうするか」「どのように対処をするか」などについては、あらかじめ決めておくことが大切です。

テレワーカーといえども、労働者であることには変わりがありません。そのため、通常の勤務者と同じように労災の適用を受けることができます。そのため、在宅勤務者が自宅でアクシデントに巻き込まれた場合でも、雇用側は従業員の安全に配慮し、必要に応じて迅速に対応しなければなりません。そのためには、普段から、テレワーク勤務者と雇用側がコミュニケーションを取りやすく、勤怠管理やトラブルを把握しやすい環境を整える必要があります。

また、テレワーク勤務者が急病や事故に巻き込まれた場合の連絡方法や対処の方法を、あらかじめ就業規則に盛り込んでおくことも大切です。

事前にルールを決めて就業規則をまとめよう

労働基準法は、テレワークにも適用されます。そのため、就業規則をまとめるときには、通常勤務者と同じように考えなくてはなりません。ただし、テレワークの性質上、通常勤務者と異なる事情は出てきます。テレワーク導入前には、しっかりとルール作りをしておきましょう。就業規則をまとめるときには、事前にルールを決めておくことが大切です。

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