テレワークに合った評価制度とは?事例とともに人事評価の改善点を解説

  • 投稿日:2020 - 11 - 30
  • 更新日:2021 - 4 - 19
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新型コロナウィルスの感染拡大によって急速に推進されてきたテレワークは、ライフワークバランスの実現や通勤時間のカットによる労働負荷の低減など、従業員にとっては多くのメリットがあります。

しかし、従業員の働きぶりが見えなくなり人事評価が難しくなるという課題もあり、人事部にとって悩ましい問題も。

この記事では、テレワークにおける人事評価の課題を踏まえ、企業の事例を交えながらテレワークにおける人事評価のあるべき姿について解説していきます。

テレワークにおける人事評価の難しさ

テレワークは導入によるメリットが多い反面、急速に広まったため対応が追いつかず、課題を抱えている企業も多いのではないでしょうか。その課題の一つが人事評価です。

株式会社あしたのチームが公開している「テレワークと人事評価に関する調査」によると、部下の人事評価をする管理職のうち73.7%がテレワーク時の人事評価について「オフィス出社時と比べて難しい」と回答しています。

その理由としては、1位「勤務態度が見えないから」72.6%、2位「成果につながる行動(アクション数、内容等)を細かく把握しづらいから」67.1%、3位「勤務時間を正確に把握しづらいから」45.2%をあげており、部下の行動が見えないことが人事評価のしづらさにつながっているようです。

また、「テレワークにおける人事評価制度が現在のままで良いと思うか」という問いに対して、管理職の回答結果では52.4%が「見直し・改定する必要がある」となり、「現在のままで良い」の27%を大きく上回りました。

テレワークに適した人事評価制度とは

テレワークを推進するのであれば、その働き方に適した人事評価制度を取り入れていくことが大切です。一体どのような制度が適しているのでしょうか?

成果主義の推進

従来の人事評価は職場への出勤を前提としている制度のため、適正な評価ができていない可能性があります。実際に「テレワークで従来と同じ制度に基づく評価はしづらい」という声が多いようです。

テレワークの評価制度としては、勤務時間や態度などは評価対象として重要視しない「成果主義」が適しています。職場へ出勤していないときの従業員の勤務実態の把握が難しいためです。

では次に、成果主義の導入にあたって、どのようなポイントに留意すべきかを説明していきます。

明確な評価項目

従来型の人事評価は、感覚による評価が含まれやすいものでしたが、成果主義は結果を評価するため、労使双方にとってわかりやすい評価方法だといえるでしょう。しかしながら、成果が可視化しにくい業務においては、プロセスを評価外としてしまうことで、従業員のモチベーション低下につながる場合もあります。

そこで、テレワークを行う従業員に対しては、テレワークにふさわしい評価項目を明確化することが重要です。つまり、成果からは見えてこないプロセスや技能などについて、何をどのように評価するのかを明確化する必要があるのです。たとえば、オンライン面談でプロセスに関する聞き取りをして、取り組んでいる業務の難易度や、業務の進め方、対応のスピードなども評価対象とすることなどがあげられます。

目標管理制度の導入

成果主義で必要となるのが、目標設定と到達度の評価です。この2つを行うために効果的な方法は、「目標管理制度(MBO)」の導入です。

目標管理制度とは、ピーター・ドラッガーが提唱した組織マネジメント手法で、従業員一人ひとりの目標と組織の経営目標を連動させて考える人事評価の仕組み。「能力開発目標」「職務遂行目標」「業務改善目標」「業績目標」という4つ目標を設定し、期間ごとに達成度を評価していきます。

具体的には、まず従業員が自分で設定した目標に近づくための指標を設定し、上司と共有します。上司は、その内容が組織の目標と関連づいているか適正度を確認し、目標達成のためのサポートをします。こうすることで、目標に対する取組み方を評価することができるだけでなく、従業員のモチベーションやセルフマネジメント能力の向上も期待することができるのです。

評価方法の統一

評価で重要なのは、評価内容について、評価される側に疑念や不公平感を抱かせないようにすることです。せっかくテレワークに適した評価制度を導入しても、「上司や人事担当者が変わったら評価の内容やプロセスも変わった」となると問題です。評価制度の変更とともに、評価方法を社内で統一するようにしましょう。

また、評価に偏りが無いかどうかを確認するプロセスを加えたり、評価のためのガイドラインを作成したりするなど、評価の質を均一にするための工夫もあわせて検討するとよいでしょう。

テレワークで人事評価制度を改善した企業事例

自社でのテレワーク推進や人事評価制度の改善を検討するにあたっては、先駆者の事例を参考にするのもよいでしょう。ここでは、厚生労働省が公開している「テレワーク活用の好事例集」より事例を紹介します。

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社

ソフトウェアの開発・販売・保守・サービスを行うシトリックス・システムズ・ジャパン株式会社は、米国フロリダ州に本拠地を構える親会社の日本法人として2009年よりテレワークを推進。従業員のワーク・ライフ・バランスの向上を目的として、自宅にインターネット環境があることを条件にテレワークを推奨しています。

人事評価においては裁量労働制を採用。その日の仕事の成果が評価対象となり、よりパフォーマンスを高めることが評価につながります。育児との両立のため在宅勤務を利用した例もあり、自己規律、自己管理能力が求められるといいます。

社員への満足度調査結果では非常に高い評価を得ており、「忙しいときにも、役所に行ったり病院に行ったりできるので、生活の質が向上している」といった声も上がっているそうです。さらに、2013年からはスマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの利用も可能にし、より良いテレワーク環境を目指しています。

株式会社SiM24

幅広い分野や製品に関する「受託シミュレーションサービス」を提供する大阪の企業、株式会社SiM24は、雇用形態にとらわれず優秀な人材を確保し、継続雇用することを目的としてテレワークを導入。高度なシミュレーション業務を担当する従業員全員の完全在宅勤務を実現しています。

人事評価については、信頼関係をベースにしながら正社員は8時間の勤務時間内、その他の雇用形態の従業員は労働時間を報告してもらい、勤務時間に対して適正な成果物をあげているかどうかで評価をしています。正しく判断するために、本人からの週次報告、お客様への実際のアウトプットの確認まで、細く管理を行うようにしています。

テレワークにより、本社のスペースを最小限にすることが可能になり、また、遠隔地でも働けるようになったため、従業員が転居した場合も継続雇用ができるようになりました。

まとめ

テレワークでは多くの企業が人事評価の課題を感じています。そうした課題は、成果主義の推進や、評価項目の明確化、目標管理制度の導入、評価方法の統一といった策を講じることで解消することが可能。コロナ禍による“場当たり的”な対応ではなく、テレワークをこれからの新しいワークスタイルとして前向きに捉え、テレワークに適した人事評価制度を整備していくと良いでしょう。

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