テレワークとリモートワークの違いとは?言葉の意味やテレワーク化するメリット・注意点を解説

  • 投稿日:2019 - 8 - 8
  • 更新日:2022 - 9 - 20
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テレワークやリモートワークを導入することで、さまざまなメリットがあります。

しかし、注意点もあることには理解が必要です。ここでは、テレワークやリモートワークのそれぞれの意味や特徴を解説します。

1. テレワークとは?

テレワークとは、ICTと呼ばれる情報通信技術を活用して、時間や場所にとらわれずに仕事をすることです。テレワークは、「雇用型テレワーク」と「自営型テレワーク」の大きく2つに分類されます。ここでは、この2つのテレワーク形態についてそれぞれ解説します。

1-1. 雇用型テレワーク

雇用型テレワークは、企業に雇用されている人が行うテレワークです。上司や同僚とのやりとりには電話やチャットツールなどを使い、Skypeなどの無料ツールを使ってコストを抑えている企業もあります。勤怠管理なども、無料もしくは安価な管理システムが多く提供されているため、それを活用している企業は少なくありません。

自宅で勤務する場合は、在宅勤務ともいわれます。オフィスに全く出社しない完全在宅勤務を導入している企業もあれば、「週に2日のみ在宅勤務」など、部分的に取り入れている企業もあります。

カフェや移動中の電車の中など、さまざまな場所で仕事をすることをモバイルワークといい、これもテレワークの一種です。営業職の人がよく活用するテレワークスタイルで、ノートパソコンやタブレット、スマートフォンなど、持ち運びしやすい端末を使って仕事をします。モバイルワークを導入するには、オフィス内のパソコンやシステムにアクセスできる仕組みや、社外からでも業務報告ができるシステムを構築することなどが必要です。

雇用型テレワークのひとつとして、施設利用型勤務というものもあります。会社側が用意したサテライトオフィスなどで仕事をする方法です。複数の企業が利用している共同のオフィスや、ワークスペースなどを活用することもあります。施設利用型勤務の目的として、通勤における負担の軽減や、地域への営業をしやすくすることなどが挙げられます。テレワークの一種ではありますが、在宅勤務やモバイルワークと比べて、社内の人と会う機会が多いのが特徴です。

1-2. 自営型テレワーク

自営型テレワークは、特定の企業や団体に所属していない人が行うテレワークのことです。パソコンやタブレットなどを使って、好きな時間に好きな場所で仕事をする働き方です。自宅を職場とする場合は在宅ワークともいわれます。

自営型テレワークを行っているのは、注文者から個々に業務の委託を受けて仕事をする個人事業主です。企業に雇用されているわけではないので、雇用保険や厚生年金、社会保険などの対象ではありません。個人事業主として国民年金や国民保険に加入し、確定申告も行う必要があります。

2. テレワークとリモートワークの違い

リモートワークは「遠隔」という意味のリモートという言葉が使われているとおり、遠隔地で働くことをいいます。遠隔地とはオフィス以外の場所全般を指し、出社せずに自由な場所で仕事をする働き方です。つまり、リモートワークとテレワークは同じ意味で使われます。名称が異なるだけで、両者の内容に違いはありません。

3. テレワークが社会に与える影響

近年、テレワークを導入する企業が増えています。テレワークが浸透することで、社会全体としてさまざまな良い効果が期待されているのです。ここでは、テレワークが社会に与える影響を4つ紹介します。

3-1. ワークライフバランスの実現

ワークライフバランスとは「仕事と生活の調和」という意味を持ちます。ここでいう「生活」とは、仕事以外の趣味や学習、育児や介護などのことです。仕事と生活をバランス良く両立することを、ワークライフバランスの実現と表現します。

テレワークを導入することで、ワークライフバランスの実現が期待できます。例えば、通勤に時間がかかりすぎて家族と過ごす時間やプライベートな時間が確保できないという人もいるでしょう。テレワークのなかでも、特に在宅勤務なら通勤は不要となり、仕事以外の生活に使える時間が増えます。それによって、家庭内のコミュニケーションが活発になったり、趣味に取り組んでストレスを発散できたりするなど、多くのメリットがあります。

また、従来型のオフィスに通勤するワークスタイルでは、育児や介護のために、好きだった仕事を辞めざるを得なくなった人もいるでしょう。このような場合でも、テレワークの導入によって、出社が困難な事情があっても働き続けられる可能性が高まります。これも、ワークライフバランスの実現の一例です。

3-2. 雇用の創出・労働人口減少への対策

少子高齢化の影響で、日本の労働人口は減少傾向にあります。そんななかで企業が長く存続していくためには、人材をしっかり確保していかなければなりません。テレワークは、労働人口減少への対策としても効果があります。

在宅勤務ができる環境が整っていれば、育児や介護などで出社が困難な社員も働き続けられる可能性が高まります。これは労働者側だけのメリットではなく、優秀な社員を雇用し続けられるという企業側のメリットともいえるでしょう。労働人口が減っていくなかで、家庭の事情で社員が辞めてしまうのは企業にとって大きな痛手です。しかし、テレワークの導入によってこのようなケースを減らせます。

テレワークは働く場所を問わないため、地方や海外に住む優秀な人材を雇用できるという効果もあります。居住地近辺では仕事が見つからなかったという人も、テレワーク導入企業が増えることで、住んでいる場所に関わらず仕事を探せるようになるでしょう。このように、テレワーク導入は雇用創出の効果も期待できます。

3-3. 地域活性化

テレワークは、地域活性化の役割も担っています。働く時間や場所が自由に選べるようになれば、UターンやIターンで地方に移住する人も増えるでしょう。「子供を自然豊かな場所で育てたい」という考えを持っている人も少なくないので、テレワークの導入によって家族で地方に移住するケースも増加すると考えられます。

地方で暮らす若い人や子育て世代が増えることは、地域活性化に大きな効果があります。移住者の増加は地域の知名度向上の役割もあり、過疎化や高齢化が進む地域にとってもテレワークの増加による良い影響は少なくありません。

3-4. 環境の負荷軽減

テレワークを導入すると出勤者が減るため、オフィスの縮小や通勤の減少などが起こります。これにより、環境への負荷を軽減できるという側面もあります。オフィスを小規模にすることで、空調や照明、パソコン稼働などにかかる電力の削減が可能です。また、通勤のために電車や車で移動する人が減ると、CO2排出量の削減につながります。

SDGsなど、世界的に環境負荷軽減のための取り組みが推進されており、オフィスにおける環境への影響も見直さなければなりません。テレワークの導入は、企業や個人への影響だけでなく、地球環境への良い影響も期待できます。

4. テレワークやリモートワークを導入するメリット

テレワークやリモートワークを導入すると、企業側だけでなく、従業員側にもさまざまな利点が生まれます。それぞれの視点から、メリットを説明していきます。

4-1. 企業側のメリット

まずは、テレワークやリモートワークを導入すると、企業側にどのようなメリットがあるのかを説明します。

4-1-1. 人材確保や離職防止の効果が期待できる

まず挙げられるメリットが、人材確保に役立つという点です。仕事場所を固定しないことにより、会社から離れた地域に住んでいる優秀な人材でも、採用することが可能です。また、従業員にとって働きやすい環境が整うことにより、育児や介護、配偶者の転勤などによる離職を防ぐことにもつながります。それが結果的に会社のイメージアップにもつながり、さらに将来的に優秀な人材を確保していける可能性が広がるといえるでしょう。

4-1-2. コストを削減できる

コストを削減できるというメリットにおいて、最大のポイントが、従業員が働くための広いオフィスを確保する必要がなくなるということです。たとえば、デスクの数を半分に減らすことで、より家賃を抑えた物件に移転することも可能です。また、そもそも用意する備品も少なくすることができます。オフィスを維持するためにかかっていたコストを半分以上削減することも、場合によっては可能でしょう。

ほかにも、従業員の通勤にかかる交通費などの削減にもつながります。交通費などのように、必ず発生するランニングコストも削減できるのはテレワークならではのメリットといえます。

4-1-3. 不測の事態にも対応しやすくなる

テレワークやリモートワークでは、従業員がそれぞれの場所で仕事に取り組むことができるうえに、システムを活用することでどこからでも会社の情報にアクセスすることが可能です。そのため、業務に何かしらの支障が起きた場合でも、会社にいなくても素早く対処できます。また、万が一の事故などに対応しやすいことも利点の一つです。オフィスやその周辺に起こり得る災害などの不測の事態が発生した場合でも、会社としての機能を全て停止するまでには至りません。結果的にリスクマネジメントにつながることは、企業にとって重要な要素といえます。

2-2. 従業員側のメリット

次に、テレワークやリモートワークを導入した場合、従業員側にどのようなメリットがあるのかを説明していきます。

4-2-1. 通勤時間を減らせる

自宅で働くことで、当然のことながら通勤時間を0に抑えることができます。また、家の近くで働いた場合でも、通勤時間を大幅に減らすことが可能です。通勤時間が減ることで自由な時間が増え、プライベートをより充実させられることにつながります。ワークライフバランスの重要性が説かれる中で、通勤時間を減らせることは、従業員にとって非常に大きなメリットといえるでしょう。

4-2-2. 仕事とプライベートを両立しやすくなる

仕事の合間にできることも増えていきます。もちろんプライベートな遊びに時間を割くこともできますが、ほかにも、育児や家事などに時間をあてることも可能です。たとえば、子どもを保育園などに預けられない場合には、仕事と子どもの世話を両立できるため、テレワークなどの働き方は非常に有効です。また、介護などをしている家庭でも、仕事をしながら世話ができるので、効率よく時間を使うことができます。

4-2-3. 仕事に集中できる

テレワークでは、自分の好きな環境を整えて仕事に取り組むことができます。周囲の様子に気を遣ったり、他者の影響を受けて気が散ったりすることもありません。また、仕事における突然の来客や打ち合わせなどもないので、集中して作業に取り組むことが可能です。一人で作業できるので、静かに作業を進めたいタイプの人や、集中力が求められる職種の人には良い環境といえるでしょう。また、気分転換にカフェで仕事をしたり、少し外を歩いてみたりと、自分のタイミングでリフレッシュしながら働くことができます。

5. テレワークやリモートワークの注意点とは?

テレワークやリモートワークを導入するうえでは、注意したほうがいい点もいくつかあります。準備が不十分な状態で導入してしまうと、テレワークがうまく機能せず、かえって負担になってしまうこともあるでしょう。企業側と従業員側それぞれの視点から、導入するうえでの注意点を説明します。

5-1. 企業側の注意点

最初にテレワークやリモートワークを導入する際の、企業側における注意点を説明していきます。

5-1-1. 組織力が低下することがある

テレワークやリモートワークを導入すると、どうしても従業員同士が直接顔を合わせる機会は減ってしまいます。コミュニケーションがとりづらくなるため、共有する情報の鮮度は落ち、組織としてのまとまりがなくなりやすくなってしまうのは事実です。たとえば、テレワークを認める日を全労働日にするのではなく、週の何日かのみに設定するなどの対策をとることで、解決できる場合があります。もしくは、一カ月のうち、定期的に全社員が出社する日を何日か決めておくと、情報の共有にもつながります。または、TV会議ツールやビデオ通話などを用いて、定期的に顔を見せ合ったやり取りをすることも解決策の手段として有効です。

5-1-2. 従業員の様子を把握しにくい

オフィスで従業員の働きぶりを直接確認できないため、進捗状況を正確に把握できず、結果的に業務スケジュールに支障が出たり、業務品質が下がってしまったりすることも考えられます。真面目に仕事をしているのかどうかも分からないため、人事の判断がしづらい点もデメリットです。また、従業員が仕事に行き詰まっていても、同僚や上司が気付けないことも問題です。その場で瞬時に解決ができないため、目標達成までに大きな遅れをとってしまう可能性もあり得ます。テレワークに合わせて業務データをクラウドで共有できるツールやコミュニケーションツールを導入し、オンラインで業務進捗の確認・報告ができる環境を整備することでこうした課題は解決できます。また、テレワーク環境でも適切な人事評価ができるよう、制度そのものを見直すことも大切です。

5-1-3. 情報漏洩のリスクが高まる

テレワークやリモートワークでは、外にいる従業員と会社の重要な情報をやり取りすることになります。そのため、機密情報でも簡単に漏れてしまうリスクが高まります。端末のセキュリティを強化することはもちろん、常日頃から従業員の情報保護意識を高めることも大切です。また、あらかじめ情報漏えいに関する決めごとを設定して、定期的に社内セミナーなどを開くことも一つの手です。

5-2. 従業員側の注意点

従業員側においてもデメリットや注意点はあります。テレワークやリモートワークを導入する際の従業員側の注意点を説明していきます。

5-2-1. 自己管理が必要になる

近くに上司や同僚がいないため、気が抜けてしまう人も少なくありません。また、仕事のペースが自分次第になるため、スケジュール管理が難しいともいえます。スケジュール管理がうまくいかないと、業務の効率がかえって悪くなってしまう恐れもあります。その結果、長時間労働になってしまう可能性も否めません。結果的にワークライフバランスがとれず、リモートワークがマイナスに働いてしまうことも十分にあり得ます。こうした課題の解消には社内で共有のスケジュール管理ツールを使うことが有効な策です。タスクごとにスケジュールを管理し、遅延がありそうな場合はチームでフォローし合うことが可能になります。

5-2-2. 正当な評価を受けにくくなる

企業側にとって人事的評価がしにくいということは、従業員にとっても正当な評価がされない可能性があるということになります。働いている姿を上司に直接見せることができないため、社内にいるときと比較して、うまくアピールをすることができません。また、スケジュール管理をして、業務態度はしっかりしていたとしても、具体的な成果が出ないと評価されないケースもあります。定期的な業務報告を怠らず、かつ、詳細な内容を加えることが大切です。

5-2-3. 孤立しやすくなる

前述の通り、同僚や上司と会う機会が減るため、コミュニケーションがとりづらくなり孤立する社員が出てくるかもしれません。社内の様子を把握しにくく、仕事の相談もしにくいことがデメリットです。企業によっては無料のメッセージツールを活用したり、上司が常にやり取りをして気にかけたりすることで、これらのデメリットを解消しています。ときにはメッセージツールのみではなく、電話などで直面している不安や悩みを解決する取り組みも必要でしょう。当然、従業員側からの積極的な情報の共有によっても、これらを解決することが可能です。

6. テレワークやリモートワークを導入して労働環境を整えよう

テレワークやリモートワークを導入することで、さまざまなメリットを得られます。ただし、導入する際は気を付けたいこともいくつかあります。注意点にうまく対応するには、moconavi(モコナビ)が効果的です。moconaviはチャット機能が充実しており、連携がとりやすいうえに、端末に個人情報を残さず利用できます。そのため、情報漏えいのリスクも抑えられます。

テレワークやリモートワークを導入して、労働環境を整えましょう。

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