エンタープライズブラウザとは。クラウドの管理効率と安全性を高める新たな手段
- 投稿日:2025 - 5 - 20
- 更新日:2025 - 5 - 20

テレワークやクラウドの業務活用が普及したことで、Webブラウザを介して業務を行うケースが広く見られるようになりました。
これに伴い、Webブラウザのセキュリティ対策がこれまで以上に重要となっています。そこで注目されているのが、エンタープライズブラウザです。
この記事では、エンタープライズブラウザの概要やVDIとの違い、注目される背景、主な機能、効果について解説します。
なお、リモートアクセスツールとして注目されるセキュアブラウザについては、こちらの資料をご確認ください。
エンタープライズブラウザとは
エンタープライズブラウザとは、高度なセキュリティ対策や管理機能を持つ企業向けのWebブラウザのことです。
操作ログの確認機能やアンチウイルス機能などを採用し、Webブラウザ自体のセキュリティに優れています。SaaSをはじめとするWebブラウザ上から利用する業務アプリケーションが安全に利用でき、テレワークや外部委託などに活用されています。
エンタープライズブラウザとVDIの違い
Webブラウザのセキュリティを確保するために従来より用いられてきたソリューションとして、VDIがあります。
VDIとは、仮想的なデスクトップ環境を構築して、作業端末にはデスクトップ環境の画面のみを転送する手法です。ローカル環境にデータが残らないことからセキュリティの確保に寄与します。
ただし、VDIは導入・運用にコストがかかりやすく、利用環境の整備も必要でした。エンタープライズブラウザであればこれらの問題を解消できます。
▼エンタープライズブラウザとVDIの違い
比較項目 | エンタープライズブラウザ | VDI |
導入コスト | 低い | 高い |
運用コスト | 低い | 高い |
管理の難易度 | 容易 | やや複雑 |
VPNの要否 | 不要 | 必要 |
パフォーマンス | ローカル実行のため高速 | 遅延が発生しやすい |
なお、VDIを含む仮想デスクトップについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
エンタープライズブラウザが注目される背景
エンタープライズブラウザが注目される背景には、テレワークの普及に伴うクラウド利用の拡大があります。
クラウドのなかでも、インターネットを介してアプリケーションをユーザーが利用できる“SaaS”は、Webブラウザを通じて利用する形態が一般的なため、Webブラウザのセキュリティ対策が重要となります。
特に、テレワークと併せてBYOD(※)を導入している場合、業務に使用される端末自体のセキュリティ管理が難しくなることから、管理・監視がしやすいエンタープライズブラウザから業務を行ってもらう方法が有効です。
なお、BYODの概要やセキュリティ対策についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
※BYODとは、Bring Your Own Deviceの略で、従業員が私物のパソコンやスマートフォンなどの端末を業務に利用する働き方のことです。
エンタープライズブラウザの主な機能
エンタープライズブラウザには、Webブラウザのセキュリティを高めるためのさまざまな機能が搭載されています。
▼エンタープライズブラウザの主な機能
機能 | 概要 |
Webブラウザの一元管理 | すべての端末で利用するWebブラウザの設定を一元管理できる |
有害データ・Webサイトからの保護 | コンピュータウイルスやフィッシングサイトなどからの保護・フィルタリングを行う |
ログの管理 | Webブラウザ上での操作・アクセスのログを取得して管理する |
アクティビティの制御 | ファイルのダウンロードやコピー&ペーストを制限する |
画面上における情報の管理 | ウォーターマークやマスクによって機密情報を保護する |
Web上での脅威に対するセキュリティ対策だけでなく、テレワーク時における業務状況の監視や覗き見対策なども行えます。
エンタープライズブラウザの導入で得られる効果
エンタープライズブラウザを導入することで、管理者の負担軽減やテレワーク時のセキュリティ向上、シャドーITの防止などの効果が期待できます。
管理者の負担軽減
エンタープライズブラウザを導入することで、企業における端末の管理を行う管理者の負担を軽減できます。
エンタープライズブラウザではすべてのブラウザ設定を一元管理できるほか、端末ごとの作業状況の監視やログの取得も行えるため、効率的な管理が可能です。
テレワークのセキュリティ向上
高度なセキュリティ対策が行われているエンタープライズブラウザを介してテレワークを実施してもらうことで、セキュリティの向上が可能です。
BYODにおいて従業員の私物端末自体のセキュリティが十分でない場合にも、Webブラウザのセキュリティを確保できます。
また、ウォーターマークやマスクを表示する機能によって、外出先での覗き見を防いで機密情報を守れます。
シャドーITの防止
エンタープライズブラウザを導入することで、企業が許可していない端末やシステム、クラウドサービスなどを業務に使用するシャドーITの防止が可能です。
エンタープライズブラウザではアクセス状況の監視やログの取得が行えるほか、特定のWebアプリケーションへのアクセスを制限できます。
企業で許可していないWebアプリケーションの利用について状況の把握と制御を行うことで、シャドーITを防げます。
なお、シャドーITについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
使い慣れたブラウザを安全に利用できる『mocochro(モコクロ)』
『mocochro(モコクロ)』は、Chromiumをベースに開発されたエンタープライズブラウザです。同じくChromiumを採用している既存のブラウザに近いUI・操作感で使用できます。
▼mocochroのセキュリティ機能
- 端末にデータを残さずに業務用のファイルを編集できる
- ウォーターマークを表示できる
- ブックマークやURL入力欄の利用可否を制御できる
- ダウンロードファイルを無害化できる
100種以上のクラウドサービスやオンプレミスのサービスと連携しており、幅広い業務範囲をエンタープライズブラウザ上からカバーできます。
VPNとVDIに代わる「ゼロトラストブラウザ」とは?~課題と解決策をご紹介~

多くの企業・団体がセキュリティ被害に直面しており、総務省の調査では過去1年で半数以上が被害を経験しています。従来のVPNやVDIではクラウド主流のビジネス環境には対応しきれず、企業の内部だけを保護する従来型のセキュリティでは不十分です。そこで「ゼロトラスト」という新たな概念が注目され、特に「ゼロトラストブラウザ」が有力な解決策とされています。
本書では、その「ゼロトラストブラウザ」について紹介します。