企業のBCPで災害対策を強化! 策定の流れや取り組みのポイント
- 投稿日:2024 - 12 - 3
- 更新日:2024 - 12 - 3
BCP(Business Continuity Plan)とは自然災害や感染症の拡大などの不測の事態において事業の中断を防いだり、短期間での復旧を実現したりするための事業計画書のことです。
日本においては、東日本大震災を契機に重要性が広く認識されたほか、新型コロナウイルス感染症の拡大時にも再度注目されました。
情報システム部門や総務部門の担当者のなかには、「BCPの策定は企業にとってどのように重要なのか」「BCPを策定する流れが知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、企業がBCPを策定する重要性や流れ、ポイントについて解説します。
企業がBCPを策定する重要性
企業においては、以下の点でBCPの策定が重要となります。
▼企業におけるBCPの重要性
- 事業活動の縮小および廃業を防ぐため
- 取引先への影響を軽減して、企業評価の低下を避けるため
災害やパンデミックなどが生じた際に事業を円滑に継続・復旧できなかった場合、その後の事業活動の縮小や廃業につながる可能性があります。特に、経営基盤が安定していない中小企業においてはリスクが高くなりやすいといえます。
また、事業が停止してしまうと、自社だけでなく利害関係のある取引先にも影響が生じます。自社と取引先のそれぞれが安心して事業活動を行うためには、BCPの策定が欠かせません。
企業がBCPを策定する流れとポイント
BCPを策定する際は、基本方針に沿って運用体制の構築とリスクの分析を行ったうえで、緊急時と平常時の対策をそれぞれ策定します。
また、一度BCPを策定したあとも定期的に点検・評価を行うことが重要です。
①基本方針を策定する
BCPにおける基本方針を策定します。BCPの基本方針におけるポイントは以下のとおりです。
▼BCPにおける基本方針を策定する際のポイント
- 従業員の安全に配慮する
- 取引先や社会一般が自社に求める責任を洗い出す など
企業には『労働契約法』第5条による安全配慮義務があり、緊急時に事業の継続を図る際にも従業員の人命・安全を確保する必要があります。
▼労働契約法第5条
(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。 |
引用元:e-Gov法令検索『労働契約法』
また、取引先や社会一般が自社に求める責任を洗い出すことで、継続を図る事業・業務の優先順位を明確にできます。
出典:e-Gov法令検索『労働契約法』
②運用体制を構築する
BCPを円滑に運用するには、運用体制の構築が欠かせません。
▼BCPの運用体制におけるポイント
- 複数の部署で連携しやすい体制を構築する
- 既存の組織体制を有効活用する など
BCPによる災害対策は一部門だけで進めるのではなく、複数の部署で連携して全社的に取り組む必要があります。
また、消防法に基づいて設置されている自衛消防組織のような既存の体制を活用すると効率的にBCPの運用体制を構築できます。
③リスクを分析する
緊急時に生じるリスクの分析を行います。
▼BCPにおけるリスク分析のポイント
- 事業にダメージを与えるリスクを洗い出す
- 事業に必要な経営資源を洗い出す など
リスク分析を行う際には、災害やパンデミックなどの事業にダメージを与えるリスクと、人材・物資・資金など事業に必要な経営資源をそれぞれ洗い出します。
各経営資源がリスクによって受けるダメージを整理することで、事業継続に必要な対策を策定しやすくなります。
④緊急時の事業継続・復旧対応を決める
緊急時における事業継続・復旧へ向けた対応を決めておきます。
▼事業継続・復旧対応を策定する際のポイント
- BCPの発動基準や発動時の行動基準を明確にしておく
- 安否確認の方法を策定する など
BCPの発動基準やBCP発動時の行動基準を明確にしておくことで、事業継続・復旧に向けてスムーズに行動できるようになります。
また、BCPにおける初動対応として、安否確認の方法についても策定しておく必要があります。安否確認とは、緊急時に自社に関係する人の生存や健康、安全の状況を確認することです。事業継続・復旧のための作業を迅速に行うためにも、従業員への安否確認が欠かせません。
なお、BCPにおける安否確認の重要性についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
⑤平常時の対策を策定する
平常時においても、緊急時に備えた対策を行っておく必要があります。
▼平常時におけるBCP対策のポイント
- ライフラインの代替対策を行う
- テレワーク環境を整備する など
通信や電源、水などのライフラインについて、自家発電の導入や回線多重化、備蓄品の確保のような代替対策を行うことで、緊急時にも事業を継続しやすくなると期待できます。
また、テレワーク環境を整備しておくと、緊急時に通勤が難しい状況でも従業員が自宅から業務を行えるようになります。
⑥定期的な点検・評価を行う
BCPを一度策定したあとも、少なくとも年に一回以上は点検・評価を行って見直す必要があります。
▼点検・評価を行う際のポイント
- BCPに基づいた訓練を実施して、想定どおりに進行できるかを確認する
- BCPの内容が現状に即しているかを確認する
策定したBCPが計画どおりに機能するかを確認する際は、訓練をとおして実践することが有効です。
また、事業内容の変化や法改正などでBCP策定時から事業を取り巻く環境が変わっている場合には、現状に合わせた調整が必要となります。
出典:内閣府『事業継続ガイドライン』
BCPの初動対応となる“安否確認”は『moconavi』が役立つ
BCPの発動時には、初動対応として安否確認が欠かせません。ただし、従業員一人ひとりに対して電話やメールで安否確認を行うと時間や労力がかかり、担当者の負担になりやすいといえます。
『moconavi』の“お知らせ機能”を活用すると、従業員全員の個人端末に安否確認のメッセージを一斉通知して、指定した形式での回答を促せます。
また、moconaviはテレワークプラットフォームなため、緊急時に向けたテレワーク環境の整備にも寄与するほか、平常時の業務への活用も可能です。端末・通信経路にデータを残さない仕組みと強固な認証サービスを用いており、業務用アプリを安全に使用できるリモート環境を構築できます。
なお、moconaviを活用したBCP対策についてはこちらの資料をご確認ください。
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