従業員の安否確認の方法とは?企業に求められるBCP対策のルールや有効なサービス

  • 投稿日:2022 - 6 - 30
  • 更新日:2022 - 12 - 27
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近年、大規模災害の発生や新型コロナウイルスの感染拡大により、企業におけるBCP対策の強化が求められています。首都直下地震や南海トラフ巨大地震など、都市部に被害をもたらす災害が発生する可能性も考えられているため、企業は早急に対応策を検討する必要があるでしょう。

緊急事態が発生してしまった場合、従業員の安全確保や事業継続の観点で、BCP対策の“はじめの一歩”といえるのが「安否確認」です。

ここでは、有事の際に企業が行うべき従業員の安否確認について、その意味や確認項目、方法の選択肢などを解説します。

 

企業における安否確認とは?

安否確認とは、緊急事態が発生した際に、組織に関係する人の生存や、健康・安全の状態を確認することです。

自然災害や火事、交通事故、感染症など、予期せぬ事態が発生する可能性は常にあります。特に日本は地震大国と言われ、さらに台風や大雪も発生しやすい環境のため、いつでも万が一に備えて連絡系統を整えておくことが大切です。

安否確認を行う対象は、例えば学校の場合は生徒、病院の場合は患者、介護施設の場合や利用者など、組織によって異なります。

企業が行う安否確認で対象となるのは従業員。オフィスに勤務している従業員だけでなく、外出中の営業担当者も安否確認を行う対象です。最近ではリモート環境で働く人も増えているため、さまざまな場所に分散した従業員の安否確認をどのように迅速に行うかが、BCP対策における企業課題になっています。

ちなみに、企業が従業員の安否確認を行うことについて、明確に義務付ける法律が存在するわけではありません。しかし、労働契約法第5条に「労働者の安全への配慮」として、以下のように明文化されています。

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

労働契約法

企業は安全配慮義務を果たし、従業員の命や健康を確保するために、安否確認の方法や体制を整えておく必要があるのです。

企業における安否確認で確認すべきこと

実際に緊急事態が発生したとき、企業は従業員への連絡で何を確認すればいいのでしょうか。

ポイントは3点です。

従業員本人の状態

1点目は、従業員本人の状態を確認することです。

従業員本人に怪我がないか、危険な状況にないか、所在地の被害はないか、避難をしているのか、インフラなどで困っていることがないかなどを確認する必要があります。

これは緊急事態の発生後、すぐに行うことが大切です。全ての従業員に連絡をとって安否の把握をしなければならないので、極力余計なやりとりはせず、要件のみを端的に確認しましょう。

また、従業員には有事に備え、連絡のつきやすい手段を確認しておくことも大切です。

従業員の家族の状態

2点目として、企業の考え方によっては、従業員の家族の安否確認も行う場合があります。

例え本人が安全だったとしても、家族や自宅の状況により、業務の継続が困難なことがあるからです。

また、人道的な観点でも、従業員の周辺状態も含めてサポートしていくことが理想的といえます。

出社の可否

3点目として、遠隔地にいる従業員に対しては、出社ができる状態なのかどうかも確認する必要があります。

例えば従業員が通勤中に公共の交通機関が止まってしまった場合、帰宅困難となってしまう可能性もあります。

従業員の安全を最優先に考え、無理に出社させない、帰宅させるなど、慎重に判断しましょう。

安否確認の方法

安否確認にはいくつかの方法があります。

代表的な6つを紹介するので、それぞれの特徴やメリット・デメリットを知っておきましょう。

電話

電話による安否確認は最も馴染みのある方法のひとつ。従業員の個人端末や社給端末に対して電話をかけていきます。

実際の声を聞くことで、従業員も安否確認をする担当者も安心できる点が電話ならではのメリット。声色から感情も伝わりやすいので、担当者は従業員の気持ちに寄り添いながら、状況を確認できます。

ただし、災害発生後は多くの人が電話による安否確認を行うため、回線がつながりにくくなってしまうというデメリットも。

また、従業員一人ひとりに電話をかけなければならないため、従業員数が多い企業の場合、担当者の負荷が大きくなってしまいます。なかなか回線がつながりにくい状況のなか、電話をかけたり受けたりと手間もかかり、結果的に確認が遅れてしまうこともあります。

メール

メールで安否確認を行うという方法もあります。文面をテンプレート化して送信したり、全従業員に一斉送信したりできるため、電話と比較して担当者の負荷は大幅に下がります。

しかし、緊急時の混乱のなか、従業員がメールに気付かないということも考えられます。

また、電話回線と同様、災害発生時後はメールの送受信数も増えるため、メールサーバーに負荷がかかり、処理が遅くなることも珍しくありません。それによって送受信にタイムラグが生まれ、状況の把握までに時間がかかってしまうこともあるでしょう。

SNS

SNSのメッセージで従業員の安否確認を行うという方法もあります。FacebookやLINEなど、主要なSNSであれば多くの人が使っているため、手軽に活用できる点がメリットです。

グループ機能を使えば、部署単位、あるいはプロジェクト単位など、管理範囲ごとにメッセージを送ることも可能。また、既読・未読が表示される機能も安否確認を行ううえで参考になります。

しかし、会社の人にプライベートで利用しているアカウントを教えたくないと考える従業員も少なくないでしょう。SNSの業務利用は「公私混同」や「仕事とプライベートの境界線が曖昧になる」といった観点で、慎重に検討する必要があります。

ビジネスチャット

Microsoft TeamsやSlack、チャットワークといったビジネスチャットツールを活用するのも安否確認の選択肢です。

すでに業務でのやりとりをメールからビジネスチャットに切り替えている企業も少なくないでしょう。スマートフォンでも簡単にメッセージの確認や送信が可能でき、グループ単位でも個人間でもやりとりできるため、安否確認にも適しています。

タスク管理やファイル共有、ビデオ通話といった機能を安否確認の際の管理や情報発信に役立てることもできるでしょう。

災害伝言ダイヤル

災害伝言ダイヤル(災害用伝言板)を使用して安否確認を行うという方法もあります。災害伝言ダイヤルは、NTTやソフトバンク、auといった通信各社が、災害発生時に通信が増加し、回線がつながりにくくなった場合に提供するサービスです。

“声の伝言板”として、直接リアルタイムで話ができなくても安否確認や情報交換ができます。

ただし、伝言を録音できる時間が30秒以内と時間制限があることや、一つの電話番号で伝言を蓄積できる数が限られていることなど、課題も。また、電話のように従業員一人ひとりに伝言を残さなければならないため、担当者の負荷も大きくなってしまいます。

安否確認システム

最後に紹介するのは、安否確認システムを活用することです。

災害発生時に従業員全員に対してメッセージを自動で一斉配信することが可能。送信先は、メールやSNS、スマートフォンの専用アプリなどと連携させることで、従業員の個人端末に送ることができます。

また、安否確認システムの最大の特長は従業員の回答結果を自動集計できる点。これにより、担当者の負担が減り、従業員に対して速やかに指示を出すことができます。

安否確認のための専用システムとして、他の方法での課題をクリアした最適な方法といえるでしょう。

安否確認で注意すべきポイント

安否確認を行う際、注意すべきポイントがいくつかあります。前述した各種方法の特徴も踏まえながら、「スピード」「リソース」「コスト」の3つ視点で解説します。

迅速に従業員全員の安否確認を行う必要がある

緊急事態が発生した際は、従業員全員の状況をできるだけ迅速に把握する必要があります。

しかし、リモートワークをしている人や外回りをしている営業マンなど、さまざまな場所で働く従業員の状況を一斉に確認することは簡単なことではありません。

電話や災害伝言ダイヤルは従業員一人ひとりに対応しなければならないため、確認がとれるのが遅れてしまうこともあるでしょう。また、メールのように従業員が気付きにくい方法も不向きです。

迅速性という意味では、SNSやビジネスチャット、安否確認システムを使うのがおすすめです。

また、日頃から緊急事態発生時に備え、誰が、どのような流れで安否確認を行うのか、担当者や作業分担、フローを決め、マニュアル化しておくことも大切です。

安否確認を行う担当者の負担が少ない手段を検討する必要がある

緊急事態発生時は混乱状態になることも想定し、できるだけ担当者に負担の少ない手段を検討することも忘れてはいけません。

家族間のような個人同士の安否確認であれば、電話や災害伝言ダイヤルも有効ですが、企業では数人の担当者が従業員全員の確認を取る必要があるため、課題が残ります。

グループごとに一斉送信できる方法が適しているといえるでしょう。

コストについても検討する

これまで解説したポイントを踏まえ、緊急事態が発生した際に最も有効な方法を考えると、やはり専用の安否確認システムを活用することです。

ただし、システム導入にはコストもかかるため、その点でも検討する必要があります。

企業にとって従業員の安否確認を行う環境を整えることは、BCP対策の観点で必須です。

しかし、月額費用も発生するため、いつ起こるかわからないときのために、毎月どれくらいのコストをかけるのか、経営的な視点でも考えなければなりません。

moconaviならリモートワークでも災害時も迅速な安否確認が可能

安否確認は企業が従業員の安全を守り、事業継続性を確保するためにとても重要です。

電話やメール、SNS、ビジネスチャット、災害伝言ダイヤル、安否確認システムと、さまざまな方法で安否確認を行うことができますが、前述したように「スピード」「リソース」「コスト」の3つの視点で考えて方法を検討する必要があります。

最も適しているのは安否確認システムを導入することですが、災害対策のためだけに毎月コストが発生してしまうことは経営視点で課題が残ります。

そこでおすすめしたいのが、リモートワークにおけるスマートフォン利用のセキュリティ向上や業務効率化を目的としたリモートアクセスサービス「moconavi(モコナビ)」の活用です。

安否確認2

moconaviの「お知らせ機能」を使うことで、従業員全員の個人端末に安否確認のメッセージを一斉通知することが可能。担当者は従業員に対して指定した形式でメールの回答を促すことができます。

安否確認3

また、従業員の端末は、ログアウト状態でも着信通知が届くため、すぐに気付くことができます。

さらに、「Wiki風固定ページ表示機能」というコンテンツサービスを使えば、災害時の案内をマニュアル化し、従業員がいつでも閲覧できるようにしておくことも可能。

安否確認4

そして、moconaviは端末や通信経路上に一切データを残さない仕組みのため、高セキュリティを保ちながら個人端末を業務活用でき、なおかつ仕事とプライベートを分けることができます。

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30日間の無償トライアルから導入できるので、一度試してみてはいかがでしょうか。

日常的なコミュニケーションから、災害時の安否確認まで

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