内線電話にスマホを活用できる?その仕組みやメリットを解説
- 投稿日:2021 - 9 - 1
- 更新日:2022 - 9 - 16
企業においてオフィスの内線電話は欠かせないものです。しかし、テレワークなど働き方の多様化により、その在り方にも変化が求められています。そこで注目されているのがスマホの内線化です。今回は、内線電話にスマホを活用する仕組みと、メリットについて解説します。
内線電話とは?
内線電話とは、社内や工場や倉庫の現場など特定のネットワークでつながる通話のことをいいます。内線電話は、主装置や機内交換機(PBX)と呼ばれる装置を設置し、内線用の電話回線を各所の電話機とつなげることで、外線(公衆電話網)を使わずに迅速な通話が行えます。
外線を使用しないため、内線通話には電話料金がかからないという特徴があります。また、電話機ごとに短い内線番号を振り分けることで、電話の転送もスムーズに行えます。
ビジネスフォンとPBXの違い
企業が内線電話を導入する場合、「ビジネスフォン」もしくは「PBX」という仕組みを利用します。どちらも同じように外線と内線、あるいは内線同士の通話をコントロールするものですが、以下のような違いがあります。
- ビジネスフォンとは
ビジネスフォンとは、主装置とよばれる交換機を用いて内線を可能にする仕組みです。接続可能な電話機の数が50台から多くても100台ほどを想定し、中小規模の事業所を対象にしたテレフォンサービスです。PBXと比較して、導入コストが安価という特徴があります。
- PBXとは
PBXとは、Private Branch eXchange(プライベート・ブランチ・エクスチェンジ=構内電話交換機)の略称です。ビジネスフォンで利用する主装置と同様に、外線・内線・ダイヤルインといった機能を持っています。それ以外に、パソコンに接続できたり、複数の拠点を内線で接続できたりする機能があります。中~大規模の事業所が対象であり、導入コストもビジネスフォンに比べて高額になります。
変化する組織環境と内線電話
企業において、内線電話は一般的なツールです。しかし、近年ではテレワークやシェアオフィス、サテライトオフィス、業務委託など「従業員が必ずしもオフィス内で勤務している」とは限りません。社内のみのコミュニケーションであれば、ビデオチャットツールを用いることができますが、顧客対応が必要な職種の場合、外部からの連絡を担当者に引き継がなければいけない状況も発生します。
そのため最近では、インターネット回線を利用してスマホを内線利用する仕組みが広がっています。
スマホを内線化する仕組み
スマホを内線化する仕組みは、大きく分けて「クラウドPBX」、「IP-PBX」の2種類があります。それぞれの仕組みについて解説します。
クラウド上のPBXでスマホを内線化する「クラウドPBX」
クラウドPBXとは、クラウド上にPBXを設置しインターネットを通じて外線や内線といった従来の電話機能を利用可能にする仕組みです。物理的にPBXを設置する仕組みとは異なり、回線劣化の心配がありません。スマホを内線化するには、専用のアプリを用います。
インターネット回線を通じてスマホを内線化する「IP-PBX」
IP-PBXとは、オフィス内にPBXサーバーを設置して、インターネットを介して外線や内線を利用する仕組みです。クラウドPBXと同様、専用アプリを利用します。
クラウドPBXとIP-PBXの違い
2つの仕組みの大きな違いは、PBXの保守・運用の管理者がどこにあるかという点です。
クラウドPBXでは、サービスを提供している企業がPBXの保守・運用の責任を負います。そのため、サービスを利用する側は初期費用のほか、月額の利用料を支払う形式が一般的です。
一方、IP-PBXは自社内にPBXサーバーを設置するため、保守・運用の責任を自社で追います。初期の導入コストやメンテナンスのコストが発生しますが、月額の利用料はかかりません。
スマホを内線利用するメリット
クラウドPBXやIP-PBXの仕組みを利用してスマホを内線利用できると、「コスト削減」や「テレワーク対応」といったメリットを得られます。以下に詳しく説明します。
コスト削減
従来の内線電話では、電話機を従業員の人数分用意するコストが発生していました。
また、主装置・機内交換機(PBX)は配線工事の費用に数十万から数百万円の初期導入コストがかかります。
スマホを内線化した場合、これらのハードウェアにかかるコストを大幅に抑えることができます。また、クラウドPBXであれば、メンテナンスにかかる負担も軽減できます。
さらに、スマホが内線化されると従業員同士の通話が無料で利用できます。
これまで営業職などで外出している従業員がオフィスに電話をしたり、他の従業員の携帯に電話をかけたりする際は通話料が発生していたのでコスト削減につながります。
テレワーク対応
インターネット回線を利用した内線電話は、相手の場所を選びません。そのため、在宅勤務やサテライトオフィス勤務など、あらゆる場所で仕事をする従業員と内線でつながることができます。
また、代表電話にかかってきた外線をスマホに転送することも可能です。そのため、オフィス内に顧客からの電話を受ける従業員を配置しておく必要がなくなります。これまで業務にかかっていた制約が減り、テレワークという柔軟な働き方を後押しします。
業務効率の改善
クラウドPBXやIP-PBXでは、インターネット回線を用いているため、たとえばオフィスのレイアウトを変更する場合でも内線工事や内線番号の変更が不要です。また、パソコンとの連携が可能なため、コールセンターで利用するCTIシステムと連携させることもできます。
スマホを内線利用するデメリット
コスト削減やテレワークでの内線利用が可能になるスマホでの内線ですが、音声品質などいくつかのデメリットもあります。
音声品質が低下する場合がある
インターネット回線を利用しているため、音声品質が回線速度に左右されます。回線が混雑し回線速度が遅くなると音声が聞き取りづらいといったトラブルが起こります。また、通信が急に切断されるといったケースも起こり得ます。内線利用だけでなく、外線を転送するような使い方をする場合は、安定的なインターネット回線の確保が必須といえます。
一部の番号に発信できない
クラウドPBXもIP-PBXもインターネット回線を利用しているため、110番のように緊急通報の番号に発信することができません。サービスを導入する際には、発信不可能な番号を確認しておく必要があります。
端末購入や管理のコストがかかる
BYOD(Bring Your Own Device)で個人の携帯番号を業務に活用している場合を除き、スマホを貸与する必要があります。スマホは持ち歩ける端末ですので、紛失・盗難といったリスクにも留意しなければいけません。