テレワークの導入で働き方改革!申請できる助成金・補助金まとめ
- 投稿日:2019 - 7 - 31
- 更新日:2022 - 9 - 20
政府による働き方改革の推進や新型コロナウイルスの感染拡大により、各企業がテレワークの導入を急ピッチで進めています。そうした取り組みをサポートすべく、国や自治体がさまざまな助成金や補助金を準備しているのをご存知でしょうか?助成金や補助金を活用することで、テレワークや働き方改革の費用を補い、より良い環境整備が可能になります。
今回は、国や自治体が展開している助成金・補助金や、テレワークを導入するうえで役立つ制度などをご紹介します。
1. テレワークの必要性
1-1. 働き方改革としてのテレワーク
テレワークは、労働環境を見直す政府の取り組み「働き方改革」において積極的に推進されています。ITサービスの発展によってテレワークがしやすい環境が整い、個人の事情や住んでいる場所などに捉らわれることなく、柔軟な働き方を実現できるようになりました。
テレワークは、企業に雇用されながらオフィス以外の場所で働く場合だけでなく、個人事業主として自宅で働く場合も有効です。オフィスで長時間勤務するのが難しい人でも働きやすいため、企業は労働力を確保しやすくなるでしょう。テレワークは、企業と働き手の双方にとってさまざまなメリットがある働き方なのです。
1-2. 緊急事態に対応するためのテレワーク
地震や洪水などの大規模な自然災害が発生した場合、公共交通機関がストップしたり、道路が使えなくなったりして出勤できなくなる可能性があります。テレワークを導入していれば自宅で働くことができるので、そもそも会社に出勤する必要がありません。災害時でもネット環境に問題がなければ自宅で業務を継続することができるのです。
また、2020年に入ってからは新型コロナウイルスの感染症が世界中に広まりました。こうした緊急事態でもテレワークを利用することで通勤時などの人混みを回避でき、オフィスで人と接触する機会も減らせます。その結果、従業員の感染リスクを軽減できるのです。
2. 助成金と補助金の違い
「補助金」と「助成金」は、政策目的を達成するために国や地方自治体が交付する、返済義務のないお金のことです。どちらも同じような内容の支援に思えますが、それぞれ定義が異なります。
補助金は、主に経済産業省や地方自治体などが交付しているもので、利用するためには審査を通過しなければなりません。申請すれば必ず受け取れるというものではないので、しっかりとした事前準備や対策が必要です。
助成金は、主に厚生労働省が交付しているものです。補助金と違って審査はなく、基本的に申請すれば全員が受け取ることができます。ただし、あらかじめ設定された受給要件を満たしていなければ、助成金を申請することはできません。
3. テレワークに助成金や補助金がある背景
総務省が公表している「平成30年度通信利用動向調査」によると、テレワークを導入している企業の割合は19.1%となっています。そして、従業員の少ない企業や資本金規模の小さい企業ほどテレワークの導入が遅れているというデータが出ています。
このような、テレワーク導入における大企業・中小企業間のギャップを埋めるために、国や地方自治体が助成金制度や補助金制度を設けているのです。こうした背景があるので、助成金制度や補助金制度の多くは中小企業または地方企業が対象となっています。
テレワークを導入する際は、テレワーク用の通信機器の購入やIT環境の整備、セキュリティ対策など、さまざまな面でコストがかかることになります。さらに、自社に合ったテレワークの方法を指導してもらうために専門家などに相談するのであれば、コンサルティング費用も必要となってくるでしょう。
しかし、助成金制度や補助金制度がうまく利用できれば、こうしたコストの負担を軽減することができるのです。
4. テレワークのための助成金・補助金
テレワークの導入に興味があるものの、コストが気になって踏み出せないというケースも多いでしょう。しかし、テレワーク導入は政府が主導する働き方改革の一環であるため、積極的な導入に向けて手助けしてくれる助成金や補助金があるのです。
国が交付するものと地方自治体が交付するものの2種類があるので、それぞれご紹介します。
4-1. 国による助成金・補助金
テレワークを導入する企業に国から交付される助成金や補助金には、「働き方改革推進支援助成金」「IT導入補助金」「人材確保等支援助成金」などがあります。
いずれも全国の企業が対象となる助成金・奨励金であり、交付を受けるにはさまざまな要件を満たさなければなりません。助成の内容も異なるので、その内容を紹介していきます。
4-1-1. 働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)(厚生労働省)
厚生労働省が交付する「働き方改革推進支援助成金」は、中小企業や小規模事業者向けに定められた制度です。大手企業と比べ、中小企業などは従業員の働く環境の改善や労務管理の意識が低いケースも珍しくありません。この状況を打開し、中小企業も積極的に労働環境改善に取り組めるように定められました。
交付対象は、主に時間外労働の制限や労働時間に関する設定の改善、さらにワークライフバランスの推進を目指した取り組みを進める中小企業事業主です。テレワークコースでは、在宅またはサテライトオフィスで働くテレワーク導入を進める中小企業事業主に対し、テレワークの実施に要した費用の一部が助成されます。
助成対象として、「テレワーク用通信機器の導入・運用」「就業規則・労使協定などの作成・変更」「外部専門家によるコンサルティング」「労務管理担当者や労働者に対する研修」「労働者に対する研修、周知・啓発」という定められた項目のなかから1つ以上実施している必要があります。
ちなみに、パソコン・タブレット・スマートフォンの購入費用は助成対象になりません。助成金の補助率は成果目標の達成状況によっても異なりますが、最大4分の3で、1企業あたりの上限支給額は150万円となっています。
4-1-2. IT導入補助金(経済産業省)
経済産業省が交付する「IT導入補助金」は、中小企業や小規模事業者などを対象として、自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する場合にコストの一部を補助してくれる制度です。
最適なITツールの導入により、企業の業務効率化や売上アップを期待して交付される補助金です。補助の対象となるものは事前にITツールとして登録および認可されたソフトウェアのみとなります。
ハードウェアや組み込み系ソフト、会員登録した利用者への情報提供サービス、恒常的に利用されないシステムなどは補助の対象外なので注意しましょう。
導入するツールの特徴によって「A類型」「B類型」「C類型」「D類型」という4つの区分があり、区分ごとに補助金額の上限額や、補助率が異なります。
4-1-3. 人材確保等支援助成金(テレワークコース)
厚生労働省が交付する「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」は2021年4月1日に設立されました。労働者の人材確保や雇用管理の改善の取り組みを行い、効果をあげた中小企業事業主が対象として受けられる助成金です。「就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更」や「外部専門家によるコンサルティング」などにかかる経費が支給対象となります。
人材確保等支援助成金には、「機器等導入助成」、「目標達成助成」という2段階の要件があります。一方の要件を満たすと1企業あたり最大100万円、テレワーク実施対象労働者1人あたり最大20万円を受給可能。両方の要件を満たすとその倍額が受給できます。
4-2. 公益財団法人や地方自治体による助成金・補助金
テレワークに関する助成金・補助金には、国が行うもののほかに公益財団法人や地方自治体によるものもあります。
国による助成金などとは違い、対象となる地域が限定されている点が特徴であり、企業の所在地によっては申請できないものもあるので注意しましょう。具体的にどんな制度があるのか、いくつかご紹介していきます。
4-2-1. テレワーク活用・働く女性応援助成金(東京しごと財団)
東京都内に本社や事業所を構える中堅・中小企業であれば、東京しごと財団が実施する「テレワーク活用・働く女性応援助成金」を受けることができます。
常時雇用している労働者が2名以上999名以下であり、テレワーク機器導入や民間サテライトオフィス利用にかかるコストなどが助成対象になっています。どちらの事業でも、助成率は2分の1まで、助成金上限は250万円までです。
「働く女性」という名称がついているので誤解されやすいですが、テレワークコースでは男女ともに対象になっているので、男性に対するテレワーク機器導入やサテライトオフィス利用であっても申請可能です。
4-2-2. テレワーク促進助成金(東京しごと財団)
「テレワーク促進助成金」も東京しごと財団が実施する助成金。テレワークの定着や促進に向けた環境整備のために必要となる経費を助成するものです。
助成対象となる事業者は、常時雇用している労働者が2名以上999名以下であると同時に、東京都が行っている「2020TDM推進プロジェクト」に参加しており、「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」に登録している必要があります。
助成限度額は事業者の規模によって異なり、30人以上999人以下の事業者は助成率が2分の1で上限250万円、2人以上30人未満の事業者は助成率が3分の1で上限150万円の助成金を受けられます。
5-2-3. 中小企業職場環境向上支援助成金(神奈川県横浜市)
神奈川県横浜市が交付している助成金に、「中小企業職場環境向上支援助成金」というものがあります。これは、横浜市内に本社を置き、常時雇用する従業員が2名以上の中小企業を対象に、テレワークを導入整備するために必要なコストを助成するものです。
テレワークの導入に関して専門家へ相談する際のコンサルティング委託料、テレワーク機器の購入費やシステム構築費、ソフトウェアの使用料などが助成対象となります。助成率は基本的に2分の1、助成金上限は50万円です。
ただし、申請する時点で「横浜型地域貢献企業」「横浜健康経営認証」「よこはまグッドバランス賞」のうち認定を受けているものがあれば、助成率は3分の2となります。
4-2-4. 起業支援・店舗再活性化事業(神奈川県愛川町)
神奈川県愛川町では、「起業支援・店舗再活性化事業」として助成金が用意されています。対象となるのは、町内において情報通信技術を活用したテレワークを含む起業を行った個人事業者または法人設立者です。
テレワーク起業補助では、起業にかかるコストの5分の1以内、上限15万円まで補助を受けることができます。具体的な助成対象は、起業のための申請書類作成にかかる費用や店舗などの借入費、設備や備品の購入費、マーケティング調査費や広報費などです。そのほか、店舗改造や改築補助などにかかる費用も対象になります。
4-2-5. 松本市テレワークオフィス設置支援事業補助金(長野県松本市)
長野県松本市では、「松本市テレワークオフィス設置支援事業補助金」の交付を実施しています。松本市内において、テレワークを行うためのサテライトオフィスを賃借によって新規開設し、かつサテライトオフィス開設から1年経っていない法人や個人が交付対象です。
サテライトオフィスの賃借料に対して助成を受けられますが、契約する際の敷金や礼金は含まれないので注意しましょう。
4-2-6. テレワークオフィス開設支援事業補助金(長野県山ノ内町)
長野県山ノ内町で交付されている「テレワークオフィス開設支援事業補助金」は、山ノ内町において空き家などを購入もしくは貸借してテレワークオフィスとした場合に利用できます。
テレワークオフィスを準備すれば良いというわけではなく、そこに勤務する者が山ノ内町に移住することも要件に含まれます。空き家などの購入費や改修費、テレワークに必要な備品の購入費やリース費などが助成対象となります。
4-2-7. テレワーク拠点開設支援事業補助金(富山県富山市)
富山県富山市では、市内に保育園などの子育て関連施設を有し、一定の条件を満たす社会福祉法人や特定非営利活動法人を対象として「テレワーク拠点開設支援事業補助金」を交付しています。
子育て関連の施設を持っていることに加え、仕事と子育ての両立支援やワークライフバランスの向上を目指してテレワーク拠点施設を開設していることも求められます。テレワーク拠点施設を開設するためにかかるコストが補助対象であり、補助率は2分の1まで、上限100万円までの補助が受けられます。
4-2-8. 松山市テレワーク在宅就労促進事業(愛媛県松山市)
愛媛県松山市では、松山市内でテレワークによる在宅勤務者を雇用するか、個人請負契約を行う指定事業所に対して「就労奨励金」が支給されます。その指定事業所に対して業務を発注した全国の事業所も「発注奨励金」を受け取れるため、より在宅就労の促進に役立つ支援だと言えるでしょう。
なお、支給額は事業者の受給実績年数に応じて変動するので確認が必要です。
4-2-9. 働き方改革宣言奨励金(東京都)
東京都の「働き方改革宣言奨励金」は、都内で事業を営む労働者が300人以下の中小企業に対し、長時間労働の削減や有給休暇の取得促進など「働き方・休み方の改善」にかかる経費を助成する制度です。
この奨励金を受けるためには、まず「働き方改革宣言事業」を実施する必要があります。「働き方改革宣言事業」で、「働き方・休み方の改善に向けた問題点の抽出」「原因分析および対策の方向の検討」「目標および取組内容の設定(働き方改革宣言書の作成)」「社内周知」という4つの取り組みをすべて完了することで30万円の奨励金を受けることができます。
「働き方改革宣言事業」に加え、「制度整備事業」を実施すれば合計で最大70万円の奨励金を受けることが可能です。「制度整備事業」では、「働き方の改善」または「休み方の改善」に定める制度について労使協定を締結し、そのうえで制度内容を就業規則などに明文化する必要があります。
「働き方の改善」に定める制度としてはフレックスタイム制度や時差出勤制度などが、「休み方の改善」に定める制度としては連続休暇制度やリフレッシュ等休暇制度などが挙げられます。そして、「働き方の改善」に含まれているテレワーク制度か在宅勤務制度を導入すれば、奨励金に10万円が加算されます。
5. 助成金以外にもある!テレワークに役立つ制度
補助金や助成金以外にも、テレワーク導入にあたって便利に利用できるさまざまな制度が存在します。ここからは、テレワーク導入に役立つ制度を3つ紹介していきます。
5-1. テレワーク相談センター(厚生労働省)
厚生労働省が管轄している「テレワーク相談センター」では、テレワーク導入に関する自社の悩みを相談することができます。電話またはメールで相談でき、無料で利用できるので、助成金の申請方法などに疑問があれば問い合わせてみるとよいでしょう。
5-2. ワークスタイル変革コンサルティング(東京都)
東京都が実施している「ワークスタイル変革コンサルティング」は、都内の中小企業がコンサルタントから、テレワーク導入に関する課題解決の相談やプランの提案などを受けられる支援制度です。1回につき約2時間、最大で5回のコンサルティングを無料で受けられるので、「何から始めればよいのかわからない」という企業にも最適な制度だといえます。
5-3. テレワーク活用促進モデル実証事業(東京都)
「テレワーク活用促進モデル実証事業」は、都内の中小企業のなかから選出したテレワークの導入や拡大を目指す「モデル企業」に対し、テレワーク導入準備から運用までを手厚く支援するという事業です。
モデル企業は、「在宅勤務」「モバイルワーク」「サテライトオフィス勤務」のうち、1つ以上の勤務形態の実現に取り組むことになります。テレワークに必要なITツールやサテライトオフィスが無料で利用できるということも、この事業の大きなメリットとなっています。
6. 助成金・補助金を活用してテレワークを導入しよう
テレワークの導入は、企業と従業員それぞれにさまざまなメリットをもたらしてくれます。国や自治体が用意している補助金や助成金を活用し、より良いテレワーク環境の整備を推進しましょう。
また、テレワークを実際に導入する際は、オフィスから遠く離れた従業員がいかに効率良く作業できるかが重要なポイントになります。そこで役立つのがモバイル向けのテレワークプラットフォーム、moconavi(モコナビ)です。
moconaviを活用すると、タブレットやスマートフォンから社内のさまざまなシステムに安全にアクセスできます。ワードやエクセルなどのドキュメントファイルもスムーズに操作・閲覧でき、自宅や外出先で勤務する従業員も、まるでオフィスにいるかのように快適な環境で作業することが可能です。
さらに、モバイル端末にデータを保存しない仕組みを採用しているため、情報漏洩のリスクを極限まで下げることができます。
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