社用携帯を用意する必要はない? 従業員の意見と個人用携帯を業務に使用するリスク
- 投稿日:2023 - 9 - 1
- 更新日:2023 - 9 - 1
近年、働き方改革の推進やテレワークの普及によって、多様な働き方に対するニーズが高まっており、さまざまな場所でフレキシブルに働ける環境が求められています。
そうしたなか、オフィス外から電話業務を行ったり、社内や関係者との連絡を取ったりするために、「社用携帯を支給するか」「従業員の個人用携帯を使ってもらうか」と悩まれている企業担当者さまもいるのではないでしょうか。
この記事では、社用携帯に対する従業員の意見を踏まえつつ、企業側のメリット・デメリットを解説します。
社用携帯は従業員にとって必要?
社用携帯を支給することに対して、従業員はさまざまな意見を持っています。ポジティブ・ネガティブな意見には、以下が挙げられます。
社用携帯に対するポジティブな意見
社用携帯をポジティブに捉えている従業員の意見には、以下が挙げられます。
▼ポジティブな意見
- オンオフが切り替えしやすい
- 電話代を気にしなくてよい
- 個人の携帯番号を会社に教えなくて済む
社用携帯があると会社用とプライベートで端末を区別できるため、仕事でのオンオフを切り替えやすくなるといった意見があります。
また、社用携帯の電話代を気にしなくてよいことや、個人の携帯番号を仕事の関係者に教えなくて済むということに利点を感じる従業員もいます。
社用携帯に対するネガティブな意見
社用携帯をネガティブに捉えている従業員の意見には、以下が挙げられます。
▼ネガティブな意見
- 持ち運びが面倒
- 操作に不便さを感じることがある
社用携帯があると、個人用の端末との2台持ちになるため、持ち運びが面倒に感じるという意見があります。普段から利用している個人用携帯と操作性が異なることから、不便に感じてしまう従業員もいます。
社用携帯を支給する会社側のメリット・デメリット
社用携帯を支給するかどうかを決める際は、従業員の意見を踏まえつつ、企業側のメリット・デメリットについても理解を深めておく必要があります。
社用携帯のメリット
社用携帯を支給することで、次のメリットがあります。
▼社用携帯のメリット
- 顧客に連絡先を伝えやすい
- セキュリティ対策を行いやすい
- 経費管理がしやすくなる
社用携帯は業務にのみ使用するものであることから、従業員は連絡先を伝えやすくなります。気兼ねなくコミュニケーションを取りやすくなるため、効率的なやり取りにつながります。
また、社用携帯では、管理者の権限でセキュリティ対策ソフトや端末管理ツールを導入できるため、セキュリティの強化を図れます。
さらに、従業員の私物端末と区別されることで、通信費の計算や経理処理などを行いやすくなるというメリットもあります。
社用携帯のデメリット
社用携帯の支給にあたっては、次のようなデメリットもあります。
▼社用携帯のデメリット
- 持ち忘れや紛失をしやすくなる
- 社用携帯の契約・購入にコストがかかる
- 仕事以外で使われるおそれがある
社用携帯を支給すると、従業員が携帯を2台持ちする必要があるため、持ち忘れや紛失が起こりやすくなることが懸念されます。持ち忘れや紛失によって関係者との連絡が取れなくなると、業務に支障が出ることも考えられます。
また、社用携帯のキャリア契約や端末の購入、維持管理などにコストが発生するため、端末数が多くなるほど負担が増加することもデメリットの一つです。
仕事以外で社用携帯を使用されると、情報漏えいや通話料の増大といったリスクにつながる可能性もあるため注意が必要です。
個人用携帯を仕事で使う会社側のメリット・デメリット
従業員に社用携帯を支給する方法のほかに、個人用携帯を仕事で使ってもらう方法もあります。従業員の私物となる端末を業務に使用することをBYOD(Bring Your Own Device)といいます。
ここからは、個人用携帯を仕事で使うことによる企業側のメリット・デメリットを解説します。
なお、BYODについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
個人用携帯のメリット
個人用携帯を仕事で使ってもらうことで、企業には以下のメリットがあります。
▼個人用携帯のメリット
- 従業員の作業効率が高まる
- シャドーITの防止
- コストを抑えられる
BYODでは、2台持ちによる持ち忘れ・紛失などを防ぎやすくなります。「社用携帯を忘れてしまい、連絡が取れなくなる」といったトラブルを防止できるようになり、従業員の作業効率が高まることが期待できます。
また、使い慣れた個人用携帯を使ってもらったうえで、会社側で端末を把握しておけば、シャドーIT(※)を防ぐことにもつながります。そのほか、社用携帯の契約・購入・維持管理などにかかるコストを抑えられることもメリットといえます。
なお、社用携帯とBYODの費用比較については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
※企業が許可・認識していない端末やシステム、クラウドサービスなどを従業員が独断で使用すること
個人用携帯のデメリット
個人用携帯を仕事で使ってもらう場合、以下のデメリットがあります。
▼個人用携帯のデメリット
- バックアップが取れない
- 使用量の管理が難しい
- 残業や長時間労働につながる可能性がある
個人用携帯の場合、会社側で定期的なバックアップを取れないため、従業員個人に任せることになります。従業員にバックアップを依頼していても、作業漏れやミスが発生する可能性があります。
また、会社側で業務における通信料を負担する場合、どれくらい通話しているかを個別に把握することが難しくなります。使用量に応じた通信料を支給できていないとなると、従業員の不満につながる可能性があるため注意が必要です。
さらに、従業員がプライベート用携帯として常に持ち歩いているため、休日や就業前後に業務連絡をすると、残業・長時間労働が発生してしまうことも考えられます。管理者が把握していない電話対応が発生すると、労務管理が難しくなることが懸念されます。
個人用携帯を仕事で使うリスクと対策
社用携帯では、企業が端末を一括管理できるため、セキュリティ対策を強化しやすくなります。一方、個人用携帯を使用してBYODを運用する場合には、従業員のプライベートに関する利用も行われるため、セキュリティ対策が難しくなります。
▼BYODにおけるセキュリティリスク
- 情報漏えい
- 第三者による不正利用
- マルウェアの感染
個人用携帯の紛失・盗難が発生すると、携帯に保存した連絡先やデータなどの情報が漏えいしてしまうリスクがあります。
また、ID・パスワード管理をしていない、ウイルス対策ソフトを導入していないといった状態では、第三者による不正利用やマルウェア感染などにつながるリスクもあります。
このようなリスクに備えるには、MDM(Mobile Device Management)やMAM(Mobile Application Management)の導入が有効です。
MDMとは、従業員が仕事で使用する端末を管理するためのツールです。一方のMAMは、仕事で使用する端末をアプリケーションレベルで管理するツールを指します。それぞれの特徴は、以下のとおりです。
▼MDM・MAMの特徴
主な機能 | 用途 | |
MDM |
|
社用携帯の管理と紛失・盗難対策 |
MAM |
|
BYOD導入企業における情報漏えい対策 |
MAMの場合、端末内のアプリケーションとデータのみを管理できるため、従業員のプライベートと区別して端末管理を行うことが可能です。個人用携帯を使用する際は、MAMによる管理とセキュリティ対策が必要といえます。
なお、BYODのセキュリティ対策については、こちらの記事で解説しています。
携帯の業務利用には『moconavi』がおすすめ
社用携帯を支給する場合と、個人用携帯を使用する場合では、企業側のメリット・デメリットが異なります。業務の内容や従業員の意見を踏まえたうえで、業務効率化と利便性向上につながる方法を選択することが重要です。
ただし、個人用携帯を業務で使用するBYODを運用する際には、管理者が端末を一括管理してセキュリティ対策を行うことが難しくなります。従業員のプライバシーに配慮しつつ、情報漏えいや不正アクセスなどのリスクを防ぐには、MAMツールの活用がおすすめです。
レコモットが提供する『moconavi』は、モバイル端末のアプリケーション管理とセキュリティ対策を行えるMAMツールです。個人用携帯を業務利用する場合はもちろん、社用携帯を安全に運用するために役立てられます。
モバイルワークに潜む3つのリスクとは?
安心して運用するためのセキュリティ対策
施設や場所を制限されずに仕事を行うモバイルワーク。
モバイルワークには多くのメリットがある一方で、紛失・盗難などのトラブルに伴う情報漏えいや第三者による不正アクセスなどのセキュリティリスクがあります。
本書ではモバイルワークにおけるセキュリティリスクや対策について解説します。