テレワーク・在宅勤務の就業規則やルールはどうする?規定を検討する11のポイント

  • 投稿日:2022 - 9 - 29
  • 更新日:2022 - 11 - 18
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テレワークを導入するときは、就業規則についても考えておくことが大切です。就業規則に記載する内容は、労働基準法等によって定められています。違法な就業規則は処罰の対象になるだけでなく、従業員とのトラブルの原因にもなってしまうので注意が必要です。

ここでは、就業規則のまとめ方や、従業員とトラブルにならないための注意点などを解説します。

テレワークにも就業規則は必要か?

労働基準法では、従業員が常時10名を超えている事業所の場合、就業規則が必要であり、作成した就業規則は管轄の労働基準監督署に届け出なければならないとされています。これは、テレワークを導入する場合も同じです。テレワーク勤務では、「オフィス外で発生する通信費を誰が負担するか」「労働時間をどのように規定するか」など、特有の問題に対応するために、新たに「テレワーク勤務規程」を作成する必要があるのです。

ちなみに、前述した「従業員が常時10名を超えている事業所」という表現について、たとえば、繁忙期など時期に応じて従業員が変動し、一時的に10名を超えることもあるという場合は就業規則を作成する義務はありません。

逆に、時には10名未満になることはあっても常態として10名以上の従業員がいる場合は、就業規則を作ることが定められています。また、10名以上の従業員にはパートタイムやアルバイトの数もカウントされます。

条件に該当する会社が就業規則の作成および管轄の労働基準監督署への届出をしていなかったり、記載内容に違法が確認されたりした場合は、30万円以下の罰金を課せられるので注意が必要です。

就業規則の作成が必須でない事業所であっても、テレワーク勤務者の負担やトラブルを減らすために、テレワーク勤務規程は作成しておいた方が良いでしょう。

就業規則に盛り込む内容・規定の作成手順

就業規則に記載すべき内容は、「絶対的必要記載事項」と「相対的必要記載事項」の2つに分けられます。

絶対的必要記載事項とは、勤務時間や休憩時間、休日や休暇、賃金や退職に関することです。退職に関することには、解雇の事由も含まれます。これらの規定は、就業規則に必ず盛り込んでおかなければなりません。

相対的必要記載事項とは、それぞれの会社で決めている独自の規定のことです。退職手当、賞与などの臨時の賃金、最低賃金、食費や作業用品などの負担に関すること。ほかには、安全衛生、職業訓練、災害訓練や業務外の傷病扶助に関することなどが該当します。

ここからは、規定を作成する手順として押さえておくべき2つのポイントを解説します。

就業規則は労働基準法を踏まえてまとめる

ポイントの1つ目は就業規則は労働基準法の内容を踏まえてまとめる必要があるということです。

テレワークの場合も同様に、労働基準法の内容を十分確認しなければなりません。

たとえば、労働基準法では、事業主は労働契約を締結するときに、就業の場所を明示することが定められています。そのため、在宅で勤務をする場合は、就業場所として従業員の自宅を就業規則に明示する必要があるのです。このようなことを知らずに就業規則を作成してしまうと、あとで違法労働などのトラブルが発生してしまうことになり兼ねません。

また、テレワークとして在宅勤務を行う勤務者の場合は、自宅が勤務地となるので仕事とプライベートの区別がつきにくくなります。そのため、労働時間や経費に関することは、特に注意をして就業規則に盛り込む必要があります。

企業の管理者は、従業員の労働日ごとの始業時間や終業時間を確認して、記録しなくてはいけません。これは、使用者が従業員の労働時間を適正に把握するために法律で決められていることです。在宅勤務者の始業時間や終業時間をどのように記録するか、また、勤務時間中の在籍確認をどうするかなどを、あらかじめ決めておくことが重要になります。

さらに、在宅勤務では、通信費や情報通信機器の費用などをどうするかという問題も生まれます。在宅勤務を行う従業員に負担をさせる場合は、就業規則に規定しておかなくてはいけません。

また、業績評価や人事管理などについて、通勤勤務者と在宅勤務者で異なる制度を用いるケースもあるでしょう。新しい制度を導入するときには、その取り扱い内容を就業規則で説明しておかなければならないと、労働基準法で定められています。

就業規則の作成は従業員の意見を取り入れながら慎重に

就業規則は労働基準法を遵守した内容である必要がありますが、ただテンプレートに従って作成すればいいというわけではありません。ポイント2つ目は、従業員の意見を取り入れながら慎重に作成するということです。

場合によっては企業目線で管理のしやすさを重視してテレワークの就業規定を設けた結果、従業員が働きづらくなってしまうということもあるでしょう。

就業規則を整備する際は、従業員にアンケートをとったり、ヒアリングや説明の機会を設けたりしながら、働き手の納得を得ることが大切です。

テレワークの就業規則を検討するときに押さえるべきポイント・考え方

ここからは、テレワークの就業規則を検討するときに押さえるべきポイント・考え方について、厚生労働省が公表している「テレワークモデル就業規則」をもとに要点を解説します。

テレワーク勤務の定義

まず、会社が認めるテレワーク勤務の定義を明確にする必要があります。一言でテレワークといっても「在宅勤務」「サテライトオフィス勤務」「モバイル勤務」などの種類があるため、どこからどこまでを認めるのか明文化しなければなりません。

また、在宅勤務のなかでも、例えば従業員が自宅以外の場所で親の介護などを行っている場合も想定し「自宅に準じる場所」も勤務場所として認めるなどの配慮も必要です。

テレワーク勤務の対象者

テレワーク勤務を認める対象者についても規定しておくことが大切です。考え方として、テレワーク勤務をできる従業員を企業が選ぶのではなく、働き手個人の意思を尊重するという前提に立つ必要があります。特に正規雇用労働者にはテレワーク勤務を許可し、非正規雇用労働者には許可しないなど、雇用形態で不合理な待遇差をつけることは法律に違反する可能性も。

対象者を定める際は「在宅勤務を希望する者」で、なおかつ「自宅の執務環境およびセキュリティ環境が適正と認められる者」と規定するのがよいでしょう。同時に、「在宅勤務を希望する者」が事前に行うべき申請の方法や提出先、期限なども明記しておくことをおすすめします。

従業員全員のテレワークを推進するのではなく、育児や介護など、家庭の事情に応じて利用させたい場合、「育児、介護、従業員自身の傷病等により、出勤が困難と認められる者」といった内容を忘れずに記載しましょう。

服務規律(セキュリティなど)

服務規律とは、従業員が企業で働くうえで守らなければならない「最低限のルール」のこと。「勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れない」「在職中および退職後においても、業務上知り得た会社、取引先などの機密を漏えいしない」といった内容です。基本的にはオフィスワークで定めている服務規律をテレワークでも転用できますが、テレワーク勤務の場合は特有のセキュリティリスクを回避するための規律が必要になります。例えば以下のような規律です。

・モバイル勤務をする者は、会社が認めた場所以外で、パソコンを作動させたり、資料を閲覧したりしてはならない

・モバイル勤務をする者は、公衆無線LANスポットなどの情報漏えいリスクの高いネットワークへの接続はしてはならない

・在宅勤務をする者は、会社情報の取扱いに関し、セキュリティガイドラインおよび関連規程類を遵守すること

規律の整備と合わせて、セキュリティの「基本方針」「対策基準」「実施手順」を定めたセキュリティガイドラインも作成しておきましょう。

労働時間

労働時間の規定について、オフィスワークでは、例えば毎日9時から18時までと、定まった時間帯を定時として、それを超えて業務をする場合を残業とするのが一般的です。しかしテレワーク の勤務形態によってはこうした従来型の労働時間制度が馴染まない場合もあるため、仕事の仕方や業務内容に合わせてフレックスタイム制や事業場外みなし労働時間制、裁量労働制の導入も検討しましょう。

ここで注意すべきは、テレワーク勤務者とオフィス勤務者とで適用できる勤務形態に差が生じないこと。例えば、フレックスタイム制をテレワーク勤務規則のみに定めた場合、テレワーク勤務者だけがフレックスタイム制を活用できるということになってしまいます。基本となる就業規則本体に盛り込むことで、全従業員に適用でき、不公平感を解消できます。

休憩・中抜け時間の取扱い

在宅勤務では「オフィスワークと違って自分のタイミングで仕事の手を休められるから休憩は与えるものとみなしてよいのではないか」と考える人もいるでしょう。しかし、就業規則としては「労働から離れる権利」をしっかりと企業が保障する必要があるのです。

つまり、テレワーク勤務者に対しても、1日の労働時間が6時間を超える場合は45分以上、労働時間が8時間を超える場合は60分以上の休憩を与えなければならないのです。

ただし、勤務時間中に所定の休憩時間以外に労働から離れて中抜けをする場合も想定し、終業時にメールで所属長に報告を行うことなどを規定として盛り込んでおくと良いでしょう。

時間外労働

テレワーク環境においては従業員の労働状況の確認がしづらいもの。所定労働時間を超えての時間外労働や休日労働、深夜労働について、基本的には通常の就業規則に準じることになりますが、テレワーク勤務者の場合は所属長の許可制とすることで労務管理がしやすくなります。

育児や介護により、例外的に在宅勤務を認める場合などは、従業員の負担が大きくなることを防ぐために、時間外労働や休日労働、深夜労働を「原則認めない」とするのもよいでしょう。

所定休日

所定休日についてはテレワーク勤務者も通常の就業規則に準じて週1回以上の休日が必要です。テレワーク勤務の就業規則には、「(通常の)就業規則第○条の定めるところによる」とするのが一般的です。

労働時間の把握(管理側)

テレワーク環境において、管理者側は従業員の労務管理や給与計算のために正しく労働時間を把握する必要があります。その方法として、勤怠管理システムなどのツールを使用した「客観的な記録による把握」と、「従業員の自己申告による把握」の2つがあげられます。どのような方法で労働時間を把握するかを定め、明文化しておきましょう。

賃金・費用負担・業務端末の貸与

在宅勤務の頻度が多いと、オフィスまでの通勤費の負担が少なくなります。だからといって、基本給や諸手当を減額するということができません。例えば在宅勤務の日数が一定の基準を超える場合には、定額の通勤手当は支給せず、勤務日数に応じて実費で支給するといった規定を設けることで、企業は余計なコストを削減できます。

また、在宅勤務では、水道光熱費やインターネット回線の利用料といった費用がかかり、これらを誰が負担するのかもテレワークの就業規則に盛り込んでおく必要があります。これらは従業員がプライベートでも使用するため、つい曖昧にしてしまいがちですが、放っておくとトラブルになり兼ねません。

例えば、「水道光熱費は従業員が負担し、インターネット回線の工事費や基本料金といった通信費は会社が負担する」など、どちらがどこまで負担するか定めておきましょう。また、在宅勤務を行う従業員に手当を支給する、一定額を会社が負担するといった方法もあります。

あわせて、情報通信機器やパソコン、スマートフォンなどの貸与や利用料金の負担区分、個人が所有する端末の業務利用をどこまで許可するかという点も明記しておきましょう。

安全衛生の確保

テレワーク環境では、従業員の健康や安全を確保することも大切です。特にコミュニケーション不足によるメンタルヘルスの課題が深刻化するケースもあります。

チェックリストを用意して従業員の自宅の作業環境や個人の状態を把握し、管理・改善していける環境を整えておきましょう。

ハラスメント防止

労働施策総合推進法、男女雇用機会均等法及び育児・介護休業法において、職場でのパワハラやセクハラを防止する必要があり、これはテレワークでも同様です。ハラスメント防止の規定が在宅勤務でも適用されることを、テレワークの就業規則にも明記しておきましょう。

テレワークに適した就業規則でより良い働き方を実現しよう

労働基準法は、テレワークにも適用されます。テレワークの就業規則をまとめるときは、オフィス勤務者と労働条件や待遇の差が生まれないよう、平等に考えなくてはなりません。テレワークの性質上、オフィス勤務者と異なる事情にも配慮しながら、今回ご紹介したポイントを参考に規則づくりを検討してみてください。

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