女性のワークライフバランスについて考えよう!制度の利用で実現を

投稿日:2019 - 8 - 14

働く女性は一般的に、家事や育児などの仕事以外にもやるべきことが多いのが現状です。いかにバランスを取りながら仕事を続けるかが課題であり、そのためには制度をうまく活用することが不可欠でしょう。
この記事では、ワークライフバランスがなぜ大切なのか、最適なワークライフバランスとはなにかについて解説します。また、それを実現するために活用できる制度にはどんなものがあるのか、ポイントと合わせて紹介します。

そもそもワークライフバランスとは?

ワークライフバランスという言葉が誕生したのは1980年代のアメリカといわれており、当時から共働き世帯も多かったアメリカでは広く浸透していきました。一方、日本の1980年代といえばバブル経済の真っ只中であり、なるべく多くの時間を仕事に費やすことが美徳とされる世の中でした。
1990年代になり景気が停滞し、雇用環境が一気に悪化したことなどから、人々の価値観も変わっていきます。この流れもあり1991年に育児休業法が制定され、以降ワークライフバランスの考えが日本でも浸透するようになったのです。

ワークライフバランスとは直訳すると「仕事と生活の調和」となりますが、その概念を正確に把握している人はあまりいないのではないでしょうか。単に女性が家事や育児との両立を図りやすくする制度と捉えてしまいがちですが、実際にはもう少し広い視野で定義されています。
私生活を充実させることで仕事へのモチベーションや生産性の増加を図り、双方にとってより良い影響をもたらすような仕組み作りのことと考えるとわかりやすいかもしれません。ですから、本来ワークライフバランスは女性に限って適応されるものではなく、男性にも同じように適応されるべきものです。出産や育児のためこれまでのように働くことができない女性はもちろん、過労による心の病やワーキングプアなどの社会的な問題を解消することにもつながります。ワークライフバランスを向上させることは、今後あらゆる人が活躍できる場を作るために必要不可欠なことなのです。

とはいえ、家事や育児、地域との関わりなどの役目は女性が担うという考え方がいまだに定着しており、共働きが増えた現在においても女性の負担が大きいのが現状です。
昔と事情は変わっているのに、周囲の認識が変わっていない状況は改善すべき重要な点です。今後は女性がより働きやすい環境を作り、時代にあった制度や社会基盤を整えることがライフワークバランスを大きく実現するためのポイントとなるでしょう。

女性にとってのワークライフバランスの大切さ

女性が出産や育児で仕事を辞める割合は5割にのぼるという調査があります。育児に専念したいというポジティブな理由で辞める人もいる一方で、8割を超える人が産後にどこかしらのタイミングで復職したいという希望があるようです。
子育てが一段落した数年後に本格的に復帰したいと考える人もいる中、育休制度だけではその希望をカバーするのは難しいのが現状です。また、何年もブランクがあいてしまうことで社会と隔離されたように感じたり、職場の状況が以前と変わっていたりなどで、戻りにくくなってしまうという事態も考えられます。

これを改善し、出産後も女性が仕事を続けやすい環境を整え、実現することがワークライフバランスという考え方であり、これに力を入れている企業や自治体も増えつつあります。また、すでに女性のライフワークバランスを助ける制度が導入されている企業も多くある中、このことを知らなかったり、知っていても利用しなかったりする女性労働者も一定数存在しています。
今後は制度を広く認知させるとともに、制度を利用しやすい環境を作ることが企業には求められています。その上で、女性労働者は積極的に制度を利用し、個々の事情にあったライフワークバランスを実現させることに努めていきましょう。

女性にとって最適なワークライフバランスとは?

女性にとって最適なワークライフバランスといえども、それは個々の価値観や生活スタイルによって異なります。例えば、仕事による疲れで休日に寝てばかりになってしまうことが問題なのか、家族との時間が少なくて家庭内がギクシャクしがちなことが問題なのか、問題となる部分は人によって異なるでしょう。何に重きを置くかは別として、自分なり仕事と生活のバランスが取れていれば正解です。

子どもがいる場合は家事育児とうまく両立できるよう、週に3回の勤務やフレックス制を採用する企業を選ぶなどの選択ができます。また、キャリア重視の働くことが好きな人にとってはプライベートの時間を確保するよりも、充実感を得られる仕事環境や良好な人間関係を望むかもしれません。限られた1日の時間をどの程度の割合で仕事とプライベートに割きたいかを考えてみると、自分の最適なワークライフバランスの指標にもなります。

妊娠や出産、育児によって仕事から離れる場合はブランクができてしまうのは仕方のないことです。ただ、育休などの企業の制度や保育所の問題などを事前に確認しておくことで、産後も理想のワークライフバランスを築ける可能性が高まります。まずは自分の理想のワークライフバランスを描いたうえで、利用できる制度がないかを確かめることが大切です。

女性のワークライフバランス向上に利用したい制度例1:変則的な勤務時間

ワークライフバランスを実現するためにあげられる制度として、短時間勤務制やフレックス制があげられます。短時間勤務制は保育所の送迎時間に間に合わせることができるなど、パートとしての一面を持ち合わせつつも正社員で働けるというメリットがあります。基本的に毎日決まった時間に出社し決まった時間に帰宅するため、生活のリズムが整えやすいのが特徴です。
特に、育児・介護休業法の改定で平成29年より育児短時間勤務の制度が設けられ、3歳未満の子どもを養育する労働者は所定の条件を満たすことで法律上誰でも利用できるようになりました。これ以外に心身の不調など育児以外の短時間正社員制度なども徐々に広まりつつあり、ワークライフバランスを実現しやすい環境に近づいています。

また、フレックス勤務制度は柔軟に勤務時間を変えることができ、子どもの急な病気や行事などにも対応しやすいことが特徴です。基本的に1カ月のうち所定の労働時間を満たしていることが条件であるため、正社員であってもうまく時間を調整することで働きやすい環境を作ることができます。また、通勤ラッシュを避けて通勤するなど時間に融通をきかせられるため、人によってはストレス削減にも効果的でしょう。
勤務時間が少なくなる分、決められた仕事をきちんと終わらせるために効率的に仕事を進めるスキルが身につくなどのメリットも考えられます。

フレックス制の特徴として、多くの企業はコアタイムという出勤義務のある時間帯を設けており、最低限その時間は働かなくてはならないことが多い点があげられます。企業によってコアタイムなしの完全フレックス制を導入している事例もあり、より柔軟な働き方を選択できるようになっていることも事実です。

女性のワークライフバランス向上に利用したい制度例2:企業内保育所

保育所の問題は育児をする女性が働くにあたって最も重要なことといえます。特に待機児童に関しては個人で解決しにくい問題であり、働かないという選択肢を余儀なくされる人も多いのが現状です。こうした事態に対応すべく、企業内保育所を設立する企業も増えてきました。
企業内の保育所であれば送迎の時間を気にすることなく働けることや、子どもの急な体調不良時などにもすぐに対応できることがメリットです。わざわざ認可外の保育施設まで送迎したり、高いお金を払ってベビーシッターを雇ったりする必要がないため、時間的にも経済的にも余裕が生まれる制度といえます。

また、2016年には「企業主導型保育所」事業が内閣府により開始されました。これは企業が主体となって認可外保育施設の基準で設立された施設です。24時間対応や病児保育なども可能であるため、より自由度が高く、預かり時間や病気の時の対応などに縛られず働くことが可能となります。また、保育料には福利厚生が適用され会社が一部負担してくれるため、通常よりも安く利用できるというメリットもあります。

女性のワークライフバランス向上に利用したい制度例3:テレワーク

在宅勤務ができるテレワーク。リモートワークなどとも呼ばれ、情報通信技術の発達によりこれまでのように企業に出社せずとも自宅などで仕事ができるようになりました。総務省が発表した「平成 30 年通信利用動向調査の結果」によれば、すでにテレワークを導入している企業は19.1%、導入予定のある企業は7.2%となっており、今後も増加することが予想されます。テレワークは子どもがまだ小さいなどで家事や育児に多くの時間を割かなくてはならない女性にとってメリットの多い制度です。

第一に、通勤時間がかからないため慌てて保育所の身じたくや送迎をする心配がないことがあげられます。子育て中は時間に追われ、自由な時間はおろか家事などのやるべきことでさえままならない場面が多く存在します。そんな中、出勤する往復の時間をわずかなリフレッシュタイムやちょっとした家事の時間に当てられることで、1日を有意義に活用できることは大きなメリットです。

また、通勤ラッシュなどの精神的ストレスから解放されることや過度に身だしなみに気を使う必要がないこと、集中力を維持しやすいことなども在宅勤務における重要なポイントです。特に、集中力が途切れないことは仕事の効率化にとって重要なことといえます。オフィスにいるとどうしても上司や部下、同僚などとの関わり合いが生じるため、仕事を中断せざるをえない場面にも多々遭遇します。人間は一度集中力が途切れると元の状態に戻るまで20分以上かかるといわれており、いろいろなことを同時進行することにあまり向いていません。そのため、自宅で誰にも邪魔されない環境というのは思った以上にメリットのあることなのです。

また、週に2回まで在宅勤務を可能とするなどの試みをしている企業もあります。これまでの方法を維持しつつも新しい取り組みをすることで、双方の良い面や悪い面が明らかになるなどのメリットが得られるでしょう。働く側としても仕事にメリハリがつくなど、完全な在宅勤務より優れている面を発見できるかもしれません。

女性のワークライフバランス向上実現のために大切なポイント

仕事内容によってフレックス制やテレワークの導入のしやすさにばらつきがあるとはいえ、女性の活躍の場を広げるには企業の支援が欠かせません。制度を作るだけでなく、従業員へ認知させることや積極的に利用できる環境があることが重要です。また、制度だけの問題ではありません。女性労働者がワークライフバランスを実現するには仕事内容も配慮されていることが大切です。大量の仕事を任せられたり、取引先とのやり取りを頻繁に行う必要があったり、膝を突き合わせての会議が多かったりといった仕事では柔軟な働き方を実現するのは難しいでしょう。ワークライフバランスに向いた仕事とそうでない仕事を把握し、できることから始めてみることがワークライフバランス実現の第一歩です。

また、企業だけでなく、家族や周囲の人の協力を得られるかどうかも大切なことです。1人で抱え込んでしまうと、上記のようなワークライフバランスを実現しにくい状況に陥ってしまった時に、強いストレスとなってしまうことも考えられます。柔軟な働き方を選択している以上、それを有意義に活用できるよう頼れるところは積極的に頼ってみましょう。
配偶者や親族以外には、自治体によるファミリーサポートや民間のベビーシッターなどがあります。これらは誰でも利用しやすく、いざという時に頼りになるので登録だけでもしておくと安心です。特にファミリーサポートは地域の人に子供を預かってもらうため、必ずしも子ども相手のプロとは限りません。事前に顔を合わせておくなどして子どもを馴らせておくことで信頼関係を築け、スムーズに預けることができます。

共働き世帯が多くの割合を占める中、昔のように両親と同居する家族は都市部では珍しくなりました。しかし、働きながら子育てをすることは容易でなく、周囲のサポートが不可欠なのはいうまでもありません。理想のワークライフバランスを実現するには、周囲の人に協力してもらいながら頑張りすぎない選択をすることも大切なのです。

女性は自分に合ったワークライフバランスを!支援や制度を活用

男女均等が叫ばれて久しいですが、妊娠や出産などの大きなイベントは女性にしか経験できないことでもあります。女性が出産後も仕事をしやすい環境を作ることは社会の大きな役目であり、特に企業には女性の立場に立った制度の見直しや必要なツールの活用が求められます。
また、女性労働者も制度をうまく活用し、自分の事情にあったライフワークバランスを実現できるよう行動してくことが大切です。

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