ゼロトラストセキュリティとは。今こそ知っておきたい基本概念と実施時の注意点
- 投稿日:2024 - 11 - 5
- 更新日:2024 - 11 - 12
近年、クラウドサービスを利用する企業の増加や新型コロナウイルス感染症の拡大を契機とするテレワークの普及がみられます。これに伴い、サイバー攻撃の複雑化や情報流出の危険性の増加など、情報セキュリティを取り巻く環境にも変化が生じています。
こうしたなかで注目されている新たなセキュリティ対策が、ゼロトラストセキュリティです。
情報システム部門や総務部門の担当者のなかには、「ゼロトラストセキュリティと従来のセキュリティは何が違うのか」「ゼロトラストセキュリティを導入する際に気をつけることはあるか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、ゼロトラストセキュリティの概要や従来の境界型セキュリティとの違い、構築要素、特徴、導入時の注意点について解説します。
ゼロトラストセキュリティとは
ゼロトラストセキュリティとは、ネットワークの内外に関係なくすべての情報アクセスを信用できないものと捉える情報セキュリティの考え方です。
ゼロトラストセキュリティにおいては、ネットワークに接続する利用者やデバイスを特定したうえで、常に監視・確認を行います。許可されたアクセス権であっても監視の結果なりすましの可能性が高い場合には、その場でアクセス権を制限します。
ゼロトラストセキュリティと境界型セキュリティの違い
ゼロトラストセキュリティと従来の境界型セキュリティは、ネットワークの内外への対応に違いがあります。
▼ゼロトラストセキュリティと境界型セキュリティの違い
境界型セキュリティでは、安全な内部と脅威がある外部を分離することでセキュリティを確保します。
ただし、高度化したサイバー攻撃を境界型セキュリティですべて遮断することは難しいとされます。また、境界型セキュリティの仕組みではネットワーク外部との通信を伴うクラウドの活用やテレワークの運用が難しいこともあり、近年ではゼロトラストセキュリティの重要性が増しています。
ゼロトラストセキュリティを構築する7つの要素
ゼロトラストセキュリティを構築するためには、以下の要素が求められます。
▼ゼロトラストセキュリティを構築する7つの要素
要素 | 概要 |
デバイス | 各デバイスのセキュリティ状況の検証やアクセス制限、使用するアプリケーションの制限などを行う |
ネットワーク | フィルタリングやアクセス制御などによってネットワークを保護する |
データ | 暗号化やアクセス権限の管理、監視などによってデータを保護して持ち出しや情報漏えいを防ぐ |
ワークロード | アプリケーションやクラウドサービスなどの動作状況や脆弱性を検証してセキュリティを強化する |
アイデンティティ | アクセスを行うユーザーへの認証によるセキュリティ対策を強化する |
可視化と分析 | ネットワーク内のすべてのアクセスを可視化して分析することで不正アクセスを検出する |
自動化 | 異常を検知した際にアクセスの制限や脅威の排除などを自動的に行う |
ただし、すべての要素を単一で満たすソリューションは現状存在しないため、複数の手法を組み合わせる必要があります。
なお、ゼロトラストセキュリティに基づいた通信環境についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
ゼロトラストセキュリティの特徴
ゼロトラストセキュリティの特徴として、導入によるセキュリティレベルの向上や、アクセスする場所を選ばないことが挙げられます。また、BYODの導入も行いやすくなります。
セキュリティレベルが向上する
ゼロトラストセキュリティでは、社内外を問わずすべてのアクセスに対して都度監視・検証を行うため、セキュリティレベルの向上が期待できます。
境界型セキュリティでは対応が難しいクラウドサービスへのアクセスにおいても、セキュリティの確保が可能です。
アクセスする場所を選ばない
ゼロトラストセキュリティによって社外との通信における安全性が確保されることで、社外から社内ネットワークへのアクセスが可能になります。
これにより、テレワークの運用が円滑に行えるようになり、多様な働き方が可能になると考えられます。
BYODを導入しやすくなる
BYODとは、従業員が所有する私物のデバイスを業務に使用することです。BYODにおいては企業によるデバイスの管理が難しいことでセキュリティリスクが生じますが、ゼロトラストセキュリティによってリスクの軽減が期待できます。
BYODにおいてゼロトラストセキュリティを実現するには、業務に使用するアプリケーションを管理できるMAMツールの活用が有効です。MAMツールを導入することで、各デバイスのセキュリティ状況にかかわらず業務データの安全性を確保できます。
なお、BYODやMAMツールについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
ゼロトラストセキュリティの注意点
▼ゼロトラストセキュリティ実施時の注意点
- ログインに必要な手順が増える
- 生産性や利便性が下がるおそれがある
ゼロトラストセキュリティでは、アクセスのたびに認証が必要となるほか、セキュリティ強化のために2段階認証や多要素認証によって複数回の認証を求められます。
また、過度に認証やアクセス制限を行うことで業務に使用するデータへのアクセスが円滑に行えなくなり、生産性や利便性を損ねてしまう可能性もあります。
『moconavi』でゼロトラストセキュリティを実現!
ゼロトラストセキュリティを実現するには、デバイスやデータ、アプリケーションなどの管理・監視が欠かせません。これらを行うには、MAMの活用が有効です。
『moconavi(モコナビ)』は、クラウド型のMAMツールを利用できるテレワークプラットフォームです。端末・通信経路にデータを残さない仕組みと強固な認証サービスを用いており、業務用アプリを安全に使用できる環境を構築できます。
企業のセキュリティポリシーに沿ってアプリとデータを管理することにより、ゼロトラストセキュリティの実現に寄与します。
詳しくは、以下よりダウンロードのうえゼロトラストセキュリティの実現にご活用ください。
VPNとVDIに代わる「ゼロトラストブラウザ」とは?〜課題と解決策をご紹介〜
多くの企業・団体がセキュリティ被害に直面しており、総務省の調査では過去1年で半数以上が被害を経験しています。従来のVPNやVDIではクラウド主流のビジネス環境には対応しきれず、企業の内部だけを保護する従来型のセキュリティでは不十分です。そこで「ゼロトラスト」という新たな概念が注目され、特に「ゼロトラストブラウザ」が有力な解決策とされています。
本書では、その「ゼロトラストブラウザ」について紹介します。