学校におけるBYODの普及状況とは。安全かつ円滑に導入するポイント
- 投稿日:2024 - 9 - 25
- 更新日:2024 - 9 - 25
社会のデジタル化に伴って学校教育のICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)化が進み、教育現場においてはパソコンやタブレットなどの端末を教材として活用することが推奨されるようになりました。
子ども1人につき1台の端末を確保することが求められながらも実現に至らないなか、注目されている手法がBYODです。BYODとは、“Bring Your Own Device”の略で、教員や生徒が私物の端末を学校に持ち込んで使用することを意味します。
学校のシステム導入担当者のなかには、「学校にBYODを導入することでどのようなメリット・デメリットがあるのか」「BYODを導入する際のポイントが知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、学校におけるBYODについて、普及状況やBYADとの違い、メリット・デメリット、導入のポイントを解説します。
なお、BYODの概要や導入のメリット・デメリットについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
学校におけるBYODの普及状況
学校におけるBYODの普及状況は、地域によって異なります。
文部科学省の『高等学校における学習者用コンピュータの整備状況について(令和5年度当初)』によると、BYODの普及率が高い都道府県は以下のとおりです。
▼BYODの普及率が高い都道府県
都道府県 | BYODの普及率 |
広島県 | 約98.7% |
茨城県 | 約79.4% |
福島県 | 約68.7% |
千葉県 | 約68.4% |
文部科学省『高等学校における学習者用コンピュータの整備状況について(令和5年度当初)』を基に作成
一方で、大阪府や愛知県など23の都道府県では0%となっており、地域差が大きくあることがわかります。
出典:文部科学省『高等学校における学習者用コンピュータの整備状況について(令和5年度当初)』
BYODとBYADとの違い
学校教育で端末を導入する際、BYODとBYAD(Bring Your Assigned Device)という2つの方法があります。
▼BYODとBYAD
端末導入の手法 | 概要 |
BYOD | 個人が所有する端末を学校に持ち込んで使用する方法 |
BYAD | 自治体や学校が指定した端末を購入する方法 |
BYODとBYADの違いとしては、学校側で管理できるかどうかが挙げられます。
BYADでは教育と関係ないアプリやサイトへのアクセスの制限が可能です。一方で、BYODでは個人の私用端末を用いることからアクセスを制限することは難しいといえます。
学校におけるBYODのメリット
BYODのメリットは以下のとおりです。
▼BYODのメリット
- 端末購入のコストが抑えられる
- 学校外や卒業後も端末を利用できる
- 休校時もオンライン授業ができる など
BYODでは教員や生徒が自身の端末を使用するため、学校側に端末購入の負担がかかりません。また、BYODでは端末を学校に返却する必要がなく、学校外や卒業後でも同じ端末を使用し続けられます。
さらに、各自が端末を家庭に持ち帰っていることから、不測の事態によって休校となった際でも、オンライン授業への移行が円滑に行えます。
学校におけるBYODのデメリット
BYODのデメリットとは以下の通りです。
▼BYODのデメリット
- 生徒によって端末の機能やスペックが異なる
- セキュリティリスクがある など
私用の端末はそれぞれ機能やスペックが異なる場合があり、端末によっては学校の授業内容に対応できない可能性も考えられます。
また、生徒が端末を私的に利用しているタイミングで、パスワードの漏洩やウイルス感染などが発生するリスクがあります。
学校でBYODを導入する際のポイント
BYODによる端末の格差やセキュリティリスクを最小限に抑えるには、運用や端末の機能・スペックにルールを設けることが有効です。また、端末やアプリケーションの管理ができるMDMやMAMを活用すると、BYOD端末や利用するアプリケーションを学校側で管理できるようになります。
①運用ルールを策定する
BYODの導入に当たっては、明確な運用ルールを策定したうえで、教員・生徒・保護者への周知を徹底する必要があります。
ルールの策定にあたっては、以下の要素を考慮することがポイントです。
▼運用ルールを策定するうえで考慮したい要素
- セキュリティ対策は万全か
- 生徒のプライバシーを侵害していないか
- 学校内で生徒が集中できるか など
②機能やスペックの基準を策定する
BYODを学校教育で円滑に用いるには、端末の機能やスペックに一定の基準を設ける必要があります。生徒が用いる端末の違いによって学習環境に格差が生まれないようにすることが重要です。
▼機能やスペックによる学習環境の格差の例
- 端末のOSが授業で使用するソフトウェアに対応していなくて参加できない
- 端末がフリーズして作業を円滑に行えない
- 授業で作成したファイルを保存するストレージが足りない など
想定される授業内容に応じて端末のOSやCPU、メモリ容量、ストレージ容量などを策定することがポイントです。
③MDMやMAMを導入する
BYODの運用に際しては、MDMやMAMの導入が有効です。
MDMとは、“Mobile Device Management”の略で、端末そのものの管理を行うツールです。一方、MAMは“Mobile Application Management”の略で、端末内におけるアプリケーションの管理を可能にします。
▼MDMとMAMの特徴
管理対象 | 特徴 | |
MDM | モバイル端末 | 端末のアカウント制御・暗号化・リモートロック・リモートワイプ・ポリシーの一括適用設定などの機能があり、管理者向けに位置情報や端末情報を収集する |
MAM | 端末内のアプリ | 端末内のアプリに管理範囲を限定して、業務専用の領域とプライベートの領域を分離させてセキュリティ対策を行う |
MDMやMAMを導入することで、私用の端末におけるセキュリティの強化が期待できます。
なお、BYODにおけるMDMとMAMの活用についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
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なお、BYODの導入に役立つ資料を以下よりダウンロードしていただけます。ぜひご活用ください。
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