BCPにおける安否確認の重要性。災害時に迅速な初動対応を行うには

  • 投稿日:2022 - 6 - 30
  • 更新日:2024 - 11 - 27
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近年、能登半島地震をはじめとした大規模災害の発生や新型コロナウイルスの感染拡大により、企業におけるBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策の強化が求められています。首都直下地震や南海トラフ巨大地震など、都市部に被害をもたらす災害が発生する可能性も考えられているため、企業は早急に対応策を検討する必要があります。

従業員の安全確保や事業継続の観点において、BCP対策の“はじめの一歩”といえるものが、安否確認です。安否確認とは、緊急事態が発生した際に、組織に関係する人の生存や、健康・安全の状態を確認することを指します。

情報システム部門や総務部門の担当者のなかには、「安否確認の際にはどのような対応を行えばよいのか」「安否確認を効率的に行える手段が知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

 

この記事では、BCP対策としての安否確認について、重要性や確認する内容、手段、ポイント、課題を解説します。

BCPにおける安否確認の重要性

BCPにおける安否確認は、従業員の安全を確保して、事業継続・復旧作業に必要な人手を確保するうえで重要な対応といえます。

自然災害や火事、交通事故、感染症など、予期せぬ事態が発生する可能性は常にあります。特に日本は地震大国と呼ばれており、台風や大雪なども発生しやすい環境にあります。企業においては、万が一に備えて連絡系統を整えておくことが求められます。

また、近年においては新型コロナウイルス感染症拡大の影響によってテレワークの普及が進んだことから、オフィスに勤務していない従業員に関しても迅速に安否確認を行える体制の構築が求められています。

安否確認で把握が必要な内容

安否確認の際には、従業員本人の状態だけでなく、従業員の家族の状態についても把握する必要があります。また、BCPの観点から出社の可否について確認しておくことも欠かせません。

従業員本人の状態

従業員本人の安否確認においては、以下の内容を確認します。

▼従業員の安否確認における確認内容

  • けがをしていないか
  • 危険な状況にないか
  • 所在地の被害はないか
  • 避難をしているのか
  • インフラ関連で困っていることがないか など

また、安全が確保されている担当者はすべての従業員に対して安否確認をしなければならないため、極力余計なやりとりはせず、要件のみを端的に確認することがポイントです。

従業員の家族の状態

BCPにおける安否確認の際は、従業員の家族についても状態を把握しておく必要があります。災害時においては、本人が安全だったとしても、家族や自宅の状況により、業務の継続が困難なことがあるためです。

また、人道的な観点からも、従業員の周辺状態を含めてサポートしていくことが理想的といえます。

出社の可否

遠隔地にいる従業員に対しては、出社ができる状態なのかどうかも確認する必要があります。例えば従業員が通勤中に公共の交通機関が止まってしまった場合、帰宅困難となってしまう可能性も考えられます。

従業員の安全を最優先に考え、無理に出社させない、帰宅させるなど、慎重に判断することが欠かせません。

安否確認の方法

安否確認を行う際に使用できる連絡手段としては、個人の電話・メール・SNSのほかにビジネスチャットや災害伝言ダイヤル、安否確認システムなどが挙げられます。

電話

電話による安否確認はよく用いられる方法の一つです。従業員の個人端末や社給端末に対して電話をかけていきます。

▼電話のメリット・デメリット

メリット デメリット
  • 相手の声を直接聞くことで安心につながる
  • 言葉だけでなく声の様子からも相手の状況を判断できる
  • 回線がつながりにくい可能性がある
  • 一人ひとりに連絡するために労力がかかる

相手の声を直接聞けることが電話の特徴です。声色から感情も伝わりやすいため、担当者は従業員の気持ちに寄り添いながら状況を確認できます。

ただし、なかなか回線がつながりにくい状況のなか、電話をかけたり受けたりと労力もかかり、結果的に確認が遅れてしまうこともあります。

メール

企業側で把握しているメールアドレスを用いて安否確認を行う方法もあります。

▼メールのメリット・デメリット

メリット デメリット
  • テンプレートが活用できる
  • 従業員に一斉送信できる
  • 従業員がメールに気づかない場合がある
  • 送受信にタイムラグが発生する

メールの場合、文面をテンプレート化して送信したり、全従業員に一斉送信したりできるため、電話と比較して効率的で迅速な安否確認ができます。

ただし、緊急時の混乱のなかで、従業員が必ずしもメールに気づくとは限りません。また、災害時にはメールの送受信にタイムラグが生まれやすくなるため、状況の把握に時間がかかってしまう可能性もあります。

SNS

SNSのメッセージで従業員の安否確認を行う方法が考えられます。主要なSNSであれば、多くの従業員が利用していると期待できます。

▼SNSのメリット・デメリット

メリット デメリット
  • グループ機能によって管理範囲ごとにメッセージを送れる
  • 既読・未読を表示する機能が安否確認の参考になる
  • 従業員のプライベートに配慮する必要がある
  • 安否情報の集計に労力がかかる

 

SNSのグループ機能を使えば、部署単位やプロジェクト単位など、管理範囲ごとにメッセージを送ることが可能です。また、既読・未読が表示される機能も安否確認に活用できます。

ただし、プライベートで利用しているアカウントを会社の人に教えたくないと考える従業員もいると考えられます。また、従業員全員の安否情報を手作業で集計する必要がある点も課題です。

ビジネスチャット

業務に使用しているビジネスチャットツールも、安否確認における手段の一つとして活用できます。

▼ビジネスチャットのメリット・デメリット

メリット デメリット
  • グループ単位と個人単位での連絡に対応している
  • ビジネス用の多様な機能を安否確認に活用できる
  • インターネット回線が混雑すると接続できない可能性がある
  • 従業員が操作に慣れている必要がある

ビジネスチャットは、グループ単位でも個人間でもやりとりできるほか、タスク管理やファイル共有、ビデオ通話などの機能を安否確認に役立てることも可能です。

ただし、災害時におけるインターネット回線の混雑による影響を受けてしまう点や、操作に慣れが必要な点が課題といえます。

災害伝言ダイヤル

災害伝言ダイヤルに音声を録音しておくことで、通信回線が安定しない場合にも安否確認や情報交換が行えます。

災害伝言ダイヤルは、災害発生時に回線がつながりにくくなった場合に大手通信事業者が提供するサービスです。

▼災害伝言ダイヤルのメリット・デメリット

メリット デメリット
  • 通信回線が不安定な場合でも情報交換を行える
  • 言葉だけでなく声の様子からも相手の状況を判断できる
  • 録音の時間や数に制限がある
  • 従業員一人ひとりに伝言を残すために時間や労力がかかる

伝言を録音できる時間は30秒以内となっており、一つの電話番号で伝言を登録できる数も20までに限られています。また、電話のように従業員一人ひとりに伝言を残さなければならないため、担当者の負荷にもつながります。

出典:総務省『災害用伝言サービス

安否確認システム

安否確認システムとは、災害時の安否確認に特化したシステムです。メッセージの自動送信機能や従業員による回答の自動集計機能などが備わっています。

▼安否確認システムのメリット・デメリット

メリット デメリット
  • 担当者の被災時にも安否確認を自動で行える
  • 安否確認の集計にかかる時間や労力を削減できる
  • 従業員が操作方法を把握している必要がある
  • 導入にコストがかかる

安否確認システムを導入すると担当者の負担を軽減でき、従業員に対して速やかに指示を出せるようになります。

ただし、活用するには従業員が操作方法を把握している必要があるため、普段から研修・訓練を行っていつでも使用できるようにしておくことが欠かせません。また、ほかの手段と比べて安否確認のために専用のツールを導入することから、コストがかかりやすいといえます。

災害時に迅速な安否確認を行うためのポイント

災害時に迅速な安否確認を行うには、安否確認の体制や手段、フローなどについて事前に策定しておくことが欠かせません。

①安否確認を行う担当者を決める

安否確認の連絡や集計を行う担当者を決めておくことで、災害時にも円滑に対応できるようになると期待できます。

ただし、担当者が被災してしまった場合に安否確認が滞ることを防ぐため、担当者は複数人決めておくことが有効です。特定の部署で安否確認を担当する方法もあります。

②連絡の手段や集計方法を決める

安否確認における連絡手段や集計方法については、あらかじめ明確にして社内に周知しておくことが重要です。どのように安否確認を行うのかが明確になっていない場合、混乱が生じる可能性があります。

ただし、連絡手段を一つしか用意していないと災害の状況次第で使用できなくなるリスクが生じます。優先順位を明確にしたうえで複数の手段を用意しておくことがポイントです。

③安否確認の対応フローを策定する

安否確認の連絡・回答の集計後には、各従業員の状況に応じて出社・自宅待機・避難所への移動などの指示を出す必要があります。指示を出す際の判断基準を策定しておくことで、事業の継続に向けて効率的に動くことができます。

また、安否を確認できなかった従業員に対する対応フローについても策定しておくことが求められます。

▼安否を確認できない場合の対応例

  • 近隣の自宅に待機する従業員に確認を依頼する
  • ほかの連絡手段を試す など

安否確認を行う際の課題

安否確認を行う際の課題としては、以下が挙げられます。

▼安否確認を行う際の課題

  • 居場所が異なる従業員の状況を把握するのが難しい
  • 一人ひとりに連絡をとると担当者の負担になりやすい
  • 専用システムの利用にはコストがかかる

緊急事態が発生した際は、従業員全員の状況をできるだけ迅速に把握する必要があります。しかし、テレワークをしている人や外回りをしている営業担当者など、社外にいる従業員の状況を一人ひとり確認していくと時間や労力がかかり、担当者の負担になりやすいといえます。

専用の安否確認システムであれば効率的に安否確認を行いやすくなるものの、導入・運用のためにコストがかかってしまいます。

『moconavi』なら災害時に迅速な安否確認が可能

安否確認は企業が従業員の安全を守り、事業継続性を確保するために重要となります。電話・メールをはじめ、SNSやビジネスチャット、災害伝言ダイヤル、安否確認システムなど、さまざまな方法で安否確認を行えます。

ただし、安否確認をさまざまな場所にいる従業員一人ひとりに対して個別に行うことは、担当者の負担になりやすいといえます。

安否確認システムを導入すると安否確認を効率化できるものの、災害対策のためだけに毎月コストが発生してしまうことは経営視点で課題が残ります。

そこでおすすめしたいのが、リモートワークにおけるスマートフォン利用のセキュリティ向上や業務効率化を目的としたリモートアクセスサービス「moconavi(モコナビ)」の活用です。

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moconaviの「お知らせ機能」を使うことで、従業員全員の個人端末に安否確認のメッセージを一斉通知することが可能。担当者は従業員に対して指定した形式でメールの回答を促すことができます。

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また、従業員の端末は、ログアウト状態でも着信通知が届くため、すぐに気付くことができます。

さらに、「Wiki風固定ページ表示機能」というコンテンツサービスを使えば、災害時の案内をマニュアル化し、従業員がいつでも閲覧できるようにしておくことも可能。

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ほかにも、端末上にデータを残さない「ビジネスチャット」、社内で共有するアドレスを共有できる「moconavi電話帳」、ビジネスとプライベートで分けて利用できる法人電話番号サービス「moconavi 050」など、さまざまな機能を搭載しています。

そして、moconaviは端末や通信経路上に一切データを残さない仕組みのため、高セキュリティを保ちながら個人端末を業務活用できるほか、従業員のプライベートにも配慮できます。

moconaviを活用することで、セキュアなテレワーク環境の構築と効率的な安否確認を同時に実現することが可能です。

なお、moconaviを活用したBCP対策についてはこちらの資料をご確認ください。

感染症、自然災害、大規模システム障害……

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