テレワークのストレス原因とその解消法とは?総務担当者が注意すべきこと
- 投稿日:2020 - 11 - 30
- 更新日:2022 - 9 - 16
長引くコロナ禍の中で、テレワークを導入する企業も増え、今後もテレワークはビジネスにおける新たなワークスタイルとして注目されていくでしょう。テレワークによって業務の効率化や交通費の圧縮といったメリットがもたらされる一方で、オフィス勤務に慣れていた従業員が新しいワークスタイルに対応できず、ストレスを感じてしまうという問題も出ており、注意が必要です。
この記事では、企業の総務担当者向けに、テレワークによって従業員が感じるストレスの原因とその解消法や対策について解説します。
アンケート調査では多くの人がテレワークでストレスを感じている
2020年9月に、日本で唯一の総務専門誌「月刊総務」を発行する株式会社月刊総務が、全国の総務担当者を対象にメンタルヘルスケアに関するアンケートを実施しました。その結果を見ると、テレワークによるストレス状況がわかります。
同調査における「新型コロナウイルスの感染拡大以降において、従業員のメンタル不調の要因はなんだと思いますか」という質問に対し、以下のような回答結果となりました。
・テレワークによるコミュニケーション不足・孤独感:60.0%
・外出しないことによる閉塞感:56.5%
・新型コロナウイルス感染への不安感:54.9%
・オンとオフの切り替えの難しさ:52.5%
・運動不足:48.6%
・家族のいる場で仕事をするストレス:36.9%
・事業縮小や業績悪化などによる経済的な不安:29.4%
・生活リズムの乱れ:23.1%
・仕事のプレッシャー増加:15.7%
・テレワークによる労働時間の増加:13.3%
・新型コロナ以前と要因に変化はない:6.7%
・その他:4.7%
また、テレワークの導入を推進する立場である総務担当者のうち54.6%が「ストレスが増えた」と回答しています。
そして、「テレワークの方が従業員のメンタルケアが難しいと思いますか」との質問に対しては、「はい」の回答が73%と多数を占め、テレワークにおけるメンタルケアの難しさが浮き彫りになっています。
同調査では、テレワークや新型コロナウイルスにより従業員のメンタルヘルスケアが難しいと実感している一方で、約3割の企業が従業員のメンタルケア施策が未実施で、約7割の企業が管理職によるケアやそのための研修ができていないことが指摘されています。
テレワークのストレス原因とは?
企業には従業員のストレスチェックを定期的に行い、必要に応じて対応することが「労働安全衛生法」という法律によって義務づけられています。以下、従業員がテレワークでストレスを感じる主な原因と、基本的な対策について紹介します。
コミュニケーション不足
テレワークにおける大きなストレス要因と考えられているのが「コミュニケーション不足」です。上記のアンケート結果でも「コミュニケーション不足や孤独感」が最も高い数値になっていることからも対策が重要なことは間違いありません。
テレワークでは、報告・連絡・相談や世間話といったコミュニケーションをオフィスにいる時のようにはできないためストレスを感じやすくなります。また、互いの状況が目に見えないことや、声をかけるためにも電話やメール、チャットツールなどを使って一手間かける必要があるために、コミュニケーションに気後れを感じる人が多いようです。
コミュニケーションの不足は、コミュニケーションを増やして解決するしかありませんが、そのためには社内の仕組みやシステムにも手を入れる必要があります。企業の状況によってコミュニケーション上の障害はさまざまですので、まずは従業員の声を集めて、できるところから対策を始めるのがよいでしょう。一般的な対策については後述します。
仕事とプライベートの境界線が曖昧になる
テレワークでは、仕事とプライベートの境界線が曖昧になってしまうのも問題です。
仕事中に家族が声をかけてきたりプライベートの時間に会社の同僚から電話がかかってきたりして、作業に集中できないケースがよく見られます。また、時間を区切らずダラダラと仕事を続けてしまったり、気持ちの切り替えができなかったりなど、生活リズムが乱れてしまうケースも多いようです。
他にも、仕事でもプライベートでも利用する電話やインターネット、パソコンなどの経費負担に関するルールが会社で決まっておらず、従業員が個人で必要な設備を準備し、経済的に負担を感じているケースも見られます。
テレワークで仕事とプライベートを完全に分けることは簡単ではありません。幼い子どものいる家庭や、仕事用に個室を確保できない環境だと公私の分離は特に難しくなります。できるだけ会社でも始業や終業の時間を明確に定め、個人でも周囲に理解を求めるようにしましょう。経費負担のルールも早めに整備することも大切です。
運動不足
テレワークのストレスの原因に運動不足を挙げる人も少なくありません。上記のアンケートでも半数近い人がストレスの原因に運動不足と回答しています。
テレワークになると通勤やオフィス内の移動、業務での移動や運搬作業といった活動がなくなり、イスから動かないという人も多いでしょう。こうした中では、一日の運動量が大きく低下し、その生活を続けているうちに自律神経やホルモンバランスが乱れ、心身の不調に陥りやすくなります。
運動不足は筋力低下や体重増を引き起こしますし、血行不良になって冷えや頭痛、肩こりになる人もいます。血行不良から頭が重く感じ、集中できなくなることも多いです。
運動不足の改善には、定期的な外での運動や、室内やイスの上でできる簡単な運動が効果的です。もともと運動の習慣がない人は、スケジュールに組み込んでおくとよいでしょう。また、外に出るだけでも自然に運動量が増え、気分も晴れてきますので、意識的に外に出る時間を作るだけでもストレスの解消につながります。
作業環境が整っていない
テレワークをするようになって「オフィスのありがたみを感じた」という人も多いようです。作業環境が整っていないことによる非効率は、仕事をする上で大きなストレス要因になります。
自宅に仕事用のデスクがあり、必要な文房具や資料・書類がそろっていて、使いやすい場所にコンセントがあって、周囲の雑音も少ないという環境を持っている人は少数かもしれません。
また、インターネット回線が遅い、社内で利用するシステムへの接続ができないなどの問題もあります。オフィスは仕事のために環境が整えられていますし、企業で使うシステムの多くはオフィスでの利用を想定して作られています。
自宅にオフィスレベルの作業環境を用意するのは難しいですが、仕事のオン・オフの切り替えができるようにデスク周辺の環境を整えたり、通信速度の保証されたネット回線を利用するなど、環境を整備することで仕事のしやすさは大きく改善されますので、できる部分から改善を検討してみましょう。
テレワークにおけるコミュニケーション課題の解消法
テレワークにおけるストレスの原因の中でも、コミュニケーション不足は業務効率にも関わる重要な問題です。以下、コミュニケーション課題の解消法について主な方法を紹介します。
コミュニケーションツールの導入
テレワークにおけるコミュニケーション課題の改善に有効なのが「コミュニケーションツールの導入」です。ビデオ会議システムやチャットツールは、オンライン上でのコミュニケーションをスムーズにするために役立ちます。
コミュニケーションツールを導入しただけではコミュニケーションが進むとはかぎりません。ツールの利用方法についても従業員にしっかりと教育・啓蒙するとともに、朝礼やチーム会議、オンラインでの雑談イベントなど、コミュニケ-ションを目的とした行事を作ることも大切です。
新しいツールの導入や使い方を覚えることにストレスを感じる人もいますので、適切なサポートを行いましょう。
オンラインによる連絡体制の整備
テレワークにおけるコミュニケーションでは、相手の姿が見えないことから遠慮が強くなりがちです。しかし、オンラインによる連絡方法やルールをしっかり整備しておくことで、必要なコミュニケーションを取りやすくなります。
例えば、「業務上の報告・連絡・相談」を行う相手や方法(利用するツール)を定めたり、「毎日の始業・終業の際に部署グループに連絡を入れる」といったルールを定めたりすることで、業務上必要なコミュニケーションの抜け漏れを防ぐことができます。
定期面談
コミュニケーションに対して積極的な人もいれば、消極的な人もいるもの。コミュニケーションを個人に任せていると、見えないところで従業員がストレスを抱え、精神的に参ってしまうこともあります。そのため、コミュニケーションを個人任せにしすぎず、会社側で仕組みを作ることも大切です。
具体的な方法として、直属の上司や人事・総務などによる「定期面談の実施」があります。まずは1対1で近況や仕事の進捗などについて気軽に話せる環境を作り、問題があれば解決に向けての支援を行います。面談を担当する管理職にも技術が求められるため、しっかりと研修を行ってから行うのが理想です。
相談窓口の設置
従業員の抱える問題によっては、部署内のメンバーや上司とのコミュニケーションでは解決が難しいことがあります。こうしたケースに備え、さまざまな状況を想定して相談窓口を設置しておくことも重要です。
「システム利用に関する相談窓口」「メンタルの不調に関する相談窓口」などを定めて周知しておくことで、従業員個人がストレスフルな状況を抱えたまま孤独に陥ることを防ぐことができます。
窓口は設置するだけでなく、各窓口からのエスカレーション先や報告体制などもしっかり定めておくと、窓口になる従業員の負担も軽くなります。
まとめ
テレワーク環境では、オフィス勤務の時には意識しなかった要因からストレスが生じることがあります。従業員の心身の健康を適切に管理するためにも、従業員と企業の双方に主体性のある対応が求められます。特にテレワークにおけるコミュニケーションの問題は従業員のストレスや業務効率に関わりますので、早めに対策に取り組みましょう。
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