テレワークが普及しないのはどうして?理由と解決策を知っておこう

投稿日:2019 - 8 - 29

新しい働き方として注目を集めた「テレワーク」ですが、残念ながら日本ではあまり普及しているとは言えません。企業にも従業員にもさまざまなメリットが期待される制度であるにもかかわらず、なぜ普及しないのでしょうか。
今回は、テレワークが日本において普及しにくい理由をはじめ、効果的な解決策などについて解説していきます。

テレワークの関心は高いものの導入企業は少ない

テレワークは、働き方改革の一環として政府が推進する制度です。オフィス以外でも仕事が行える環境を整えることで、従業員のモチベーションアップや生産性の向上、優秀な人材の確保などさまざまなメリットが期待できます。従来とは比べものにならないほど柔軟な働き方が可能になるため、テレワークに関心を持っている人や企業は少なくありません。日本テレワーク協会が、20~69歳の就業者を対象として2015年に行った調査によると、在宅勤務をしたいと回答した人の割合は59.1%にも上りました。いかに多くの人がテレワークに興味を持ち、働き方の多様性を求めているかがわかるでしょう。

ところが、これだけ多くの関心を集めていながら、実際にテレワークの導入へ踏み切った企業はあまり多くありません。IT専門調査会社であるIDC Japanが行った2017年時点の国内のテレワーク導入率調査では、従業員500人以上の大企業でも23.6%にとどまっていました。従業員500人未満の中小企業ではわずか4.7%という導入率であり、まだまだ普及が進んでいるとは言えません。ワークライフバランスを実現しやすいテレワークへの関心は高いものの、実際に導入している企業は少ないのが現状です。

理由1.セキュリティの問題がある

テレワークの普及があまり進まない背景には、セキュリティの問題が大きく影響しています。テレワークでは、従業員の自宅やカフェなどのオープンスペース、サテライトオフィスなどで仕事をします。オフィスと同じように仕事ができるよう、専用の端末を準備したり、セキュリティシステムを整えたりしなければなりません。企業のオフィスであれば、設備も人材も充実しているため、セキュリティ面もしっかりと整備されています。その環境でなら、端末を使って社内システムにアクセスしても大きな問題はありません。

しかし、ポツンと離れた場所や毎回異なる場所からネットワークをつなぎ、社内システムにアクセスされるのは大きなリスクを伴います。オフィスと比べてセキュリティ面の整備が万全ではないため、情報漏えいやウィルス感染などの危険性があるためです。企業にとって、セキュリティの脆弱さは損失や社会的信用の失墜にもつながりかねない深刻な問題です。少しでもリスクを避けるため、テレワークの導入に慎重になるのも無理はありません。

理由2.コミュニケーション不足が懸念される

テレワークを導入すると、従業員がそれぞれの自宅や好みの場所などで仕事をすることになります。社内のほとんどの人がテレワークを選択すれば、必然的に上司や同僚と顔を合わせる機会も少なくなるでしょう。これでは、お互いにコミュニケーション不足に陥って仲間意識や協調性などが低くなるだけでなく、うまく連携が取れずに業務効率や生産性が落ちてしまう恐れもあります。意見の相違や行き違いなどが生まれ、ミスが生じてしまう可能性もあるでしょう。このような事態を防ぐために、テレワークが敬遠されることも珍しくありません。

理由3.労務管理しにくい

テレワークが普及しない理由のひとつに、労務管理の問題も挙げられます。一般的な働き方では、毎日決まった時間にオフィスに出勤したり退勤したりします。休日もきちんと決まっており、基本的には自由に働く時間を決めることはできません。これに対し、テレワークはオフィスに出向く必要がないため、その人が実際に何時から何時まで働いているのか、きちんと休日を取っているのかが把握しにくいのです。自宅で働いているとプライベートと仕事との切り替えもしにくいため、法律で定められた時間を超えて残業をしているかもしれません。

また、時間だけでなく、仕事にどのように取り組んでいるかという様子も見えにくくなります。周囲の目があれば真面目に働かざるを得ませんが、上司も同僚もいない自宅では怠けていても誰にも知られません。まじめに働かなくても給与がもらえると高をくくり、仕事をきちんと行わない従業員が出てくる可能性もあります。

理由4.評価制度の見直しが必要になる

企業では、定期的に従業員の働きぶりをチェックし、その評価内容に応じて昇進や昇給などを決めることが多いです。企業のためにも従業員のためにも、働きぶりにふさわしい正当な評価を行うことが欠かせません。そのためには、上司が部下の様子を直接確認しなければなりませんが、自宅などで仕事をするテレワークではそれが難しくなります。働きぶりを逐一チェックできないので、評価がしにくくなるのです。数字や商品など目に見える形で成果が見えない業務内容だと、特に正しく評価するのは難しいでしょう。

このため、テレワークを導入する部署の業務内容によっては、従来とは違った評価制度の整備が必要になります。制度の見直しをしたり従業員へ浸透させたりするには多くの時間と労力がかかるため、なかなか導入に踏み切れない企業も多いのです。

理由5.導入コストがかかる

企業が新しい制度を導入する場合、少なからずコストがかかります。テレワークも例外ではなく、情報漏えいやウィルス感染を防ぐためのセキュリティ強化や労働環境の整備などにコストが必要です。正しい評価を下すための制度や労務管理のためのシステム構築、従業員同士の顔が見えないことをカバーするためのコミュニケーションツールの利用など、さまざまな点にもコストがかかる場合があります。すべてのコストを合わせると導入時の初期費用がかなり高くなることもあるため、資金的に大きな余裕がある企業以外は積極的に導入しにくいのです。

理由6.日本型の働き方から抜け出せない

日本では、古くから生活のさまざまなポイントについて「協調性」や「和」が重視される傾向があります。仕事においても例外ではなく、それぞれに分担された業務を黙々とこなすだけでなく、垣根を越えてお互いに助け合いながら働くことが多かったのです。働くうえで従業員同士の深いコミュニケーションがベースとなっており、そのためには従業員が全員で同時に働き、休みも同時に取るという働き方が必要でした。このような日本企業独特の背景があるため、それぞれが各自のタイミングで、別の場所で仕事をするという考え方に多くの人が慣れていないのです。

これは従業員だけでなく、日本型の働き方で長くやってきた経営陣にも言えることです。テレワークのような新しい働き方に無意識のうちに抵抗感を抱き、導入を決断できないケースも少なくありません。

理由7.業務がテレワークに適していない

テレワークはさまざまなメリットのある柔軟な働き方ですが、どのような業務にも適しているわけではありません。たとえば、何かを作る業務など物理的な作業が必要になる場合、設備が整った場所でないと働けないこともあります。自宅に設備を整えたり材料を運搬したりするのは、コストや手間の面で考えても現実的ではありません。業務の規模によってはできないこともありませんが、テレワークに向いていないものも多いでしょう。また、介護や保育、工場での作業などは、テレワークではまかないきれません。

このような業務を行っている企業の場合、テレワークには適していないので導入のしようがないのです。たとえ、ほかにテレワークに適した業務を行う部署があったとしても、従業員の不平等感や部署別に対応しなければならない煩雑さなどが足を引っ張り、導入に至らないケースも多いです。

理由8.プライベートとの切り替えが難しい

従業員にとって、自宅で仕事ができるのは非常に便利ですが、一方でプライベートと仕事との切り替えが難しいという問題もあります。いつでも仕事ができる環境にあるため、つい気軽に仕事をしてしまいやすいのです。労働時間の短縮を目指しても、結局ダラダラと長時間勤務してしまい、残業代の増加につながる可能性もあります。好きな時間に働けることで生活リズムが乱れ、健康を損なってしまう人もいるかもしれません。結果的に生産性が悪化する恐れもあり、テレワーク導入に慎重になる企業が多くても無理はないでしょう。

解決策1.テレワークに対する理解を深める

普及が進まないとはいえ、柔軟な働き方が可能になるテレワークは、政府が主導する働き方改革において重要な役割を果たします。企業側にも従業員側にもメリットがあるため、コストやセキュリティ面の不安だけで導入を諦めるのはもったいないと言えるでしょう。まずは、テレワークとは何なのか、どのようなメリットがあるのかについて正しく理解することが大切です。テレワークを実際に導入した企業の実例を調べ、効果や問題点などを参考にするのも良いでしょう。テレワークについての知識を深めることが、導入への意欲向上につながります。

特に、部下の指導や管理を行う管理職の意識改革は欠かせません。上司の考えが改まれば部下もそれについてきやすいため、まずは全従業員ではなく管理職に絞ってテレワークに関する知識を周知徹底させましょう。

解決策2.テレワークに適した労働環境を整備する

テレワークを実際に導入するには、労働環境の整備が必要不可欠です。いくら自宅で仕事をしても良いとは言っても、何の設備も整っていない場所ですぐに仕事を始められるわけではありません。不十分な環境下で仕事をして、万が一にも情報漏えいなどが起きれば大問題になります。まずは、テレワークに適した労働環境を整えることから始めましょう。具体的には、オフィスと同じように働くために、自宅や端末などに万全のセキュリティ対策を施します。ノートパソコンの貸し出しや通信環境など、快適に仕事ができるようにインフラも整備しましょう。

場所によっては、サテライトオフィスを構えるのもおすすめです。支部や支社を出すほどではない地域にも進出の足掛かりを築けますし、自宅で働くのが難しい人や本来のオフィスから離れた場所に住んでいる人なども、わざわざオフィスに出勤せずに働けます。

解決策3.評価制度を見直す

実際にテレワークを導入する場合、上司にとっても部下にとっても心配になるのが評価制度です。上司は直接確認ができない部下の働きぶりをどう評価すれば良いのか悩み、部下は「真面目に働いてもわかってもらえないのでは」と不安になりがちです。このような問題を避けるために、テレワークに適した評価制度への見直しも進めましょう。たとえば、コミュニケーションツールを活用すれば離れていてもお互いに意思疎通しやすくなりますし、こまめに業務の進捗状況を把握することもできます。テレワークと同様に労務管理システムを導入し、オフィス外での勤怠を正確に把握できるようにすることも欠かせません。

また、評価基準を数値化するなどして自宅で働いていても評価しやすい制度に変えたり、テレワークに適した評価ツールを導入したりするのも良いでしょう。上司と部下がお互いに不満や不安を抱かず、納得できる評価制度を構築することが大切です。

テレワークの導入には大きなメリットがある!

普及が進まないテレワークですが、実際に導入するとさまざまなメリットが期待できます。たとえば、オフィスに出勤する必要がないため通勤時間を節約でき、従業員はその分早く仕事を終わらせたり趣味の時間に充てたりすることも可能です。長時間労働や残業が減り、ワークライフバランスが実現します。移動時間や会議の時間を短縮することで、生産性の向上も期待できます。企業にとっても、通勤にかかる交通費の支給が不要になったり、出勤する従業員が減ることで広いオフィススペースが不要になったりしてコスト削減に役立つでしょう。

また、育児や介護などで自宅から離れられない従業員が離職するのを防げるだけでなく、オフィスに出勤できないような遠方に住む優秀な人材を雇用することもできます。働き方改革に積極的な企業だと社会的なイメージアップにつながるほか、労働環境の改善によって高いモチベーションで働ける従業員も増えるでしょう。このように、テレワークには従来の働き方では実現できない多くの魅力があるのです。たしかに初期の導入コストはかかりますが、それを補って余りあるメリットにも注目する価値はあるでしょう。

便利なツールを活用してテレワークを実現させよう!

テレワークはまだまだ導入している企業が多いとは言えず、実現のためには課題も多いです。しかし、従来の働き方にはない魅力も数多くあるので、最初から導入を諦めるのはもったいないと言えます。テレワークの導入に活用できる便利な機能を備えた「moconavi」なら、より効率良くテレワークを導入できるでしょう。1カ月間の無料体験もできるので、導入に悩んでいる企業は「moconavi」を試してみることをおすすめします。

前の記事:テレワークの課題を解決する!マネジメントの必要性とその方法
次の記事:テレワークとは?導入のメリットと課題から考える社内整備のヒント