ワーク・ライフ・バランスの実現方法は?今すぐ実践できる取り組みも紹介

投稿日:2019 - 8 - 13

これからの働き方を模索する中で、ワーク・ライフ・バランスを考えることはとても大切です。ワーク・ライフ・バランスは、仕事と生活を両方とも充実させるうえで、欠かすことのできない考え方だといえます。それは働く側のみならず、人材を雇う側にとっても無関係ではありません。
そこで今回は、ワーク・ライフ・バランスの基礎知識について解説し、今すぐ実践するための施策や取り組みについて紹介します。

1.ワーク・ライフ・バランスとは何か

現代社会では、働き過ぎが問題視されることが良くあります。仕事が充実すること自体は良いことですが、異常な働き過ぎは日常生活をも圧迫することになります。そうなれば、幸福度や生活の充実度は一気に悪化し、場合によっては心身の健康を害してしまうことも少なくありません。ワーク・ライフ・バランスとは、そうした働き過ぎや仕事一辺倒な生活様式を見直し、仕事と生活をバランスよく取り入れることを目指す考え方です。

ワーク・ライフ・バランスは、特に働き方改革の文脈の中で良く使われるようになった用語です。「仕事と生活の調和」とも訳されるこの言葉は、仕事だけではなく、仕事以外の部分にも着目するということに意義があります。ワークとライフの両方を充実させ、相互に影響を及ぼしながら相乗効果を生み出すことがワーク・ライフ・バランスの目指すべきところです。

2.ワーク・ライフ・バランスの実現の重要性

現代社会において、ワーク・ライフ・バランスの実現は重要な意味を持ちます。少子高齢化が進行し、労働人口が減少する日本では、働き手が不足して長時間労働が蔓延するという悪循環に陥っています。そんな中、子育てや親の介護を抱える人も少なくなく、仕事と生活の両立はますます難しい状況になっているのです。実際、仕事との両立が困難になり、働く人が精神を壊してしまうことも珍しくない状況です。このような状況にあるからこそ、ワーク・ライフ・バランスを実践し、働く人々が仕事と生活を両立できるような社会の実現が叫ばれています。

3.ワーク・ライフ・バランスが実現された社会とは

ワーク・ライフ・バランスが実現されれば、人々の労働環境や生活の充実度はもっと良くなるはずです。まず、若者は安定した仕事に就きやすくなり、経済的にも自立した生活を送れるため、結婚や子供にも関心を払うことができるようになります。また、仕事以外の側面も重視するワーク・ライフ・バランスでは、働き過ぎで健康を害するようなこともほとんどありません。豊かな生活のための時間が確保され、家族や友人との時間も大切にできます。さらには、多様な働き方、多様な生き方を選び、子育てや介護など、自分の置かれた状況に応じた人生を選択できるようになることも、ワーク・ライフ・バランスが実現された社会の特徴です。

4.ワーク・ライフ・バランスを実現するメリット

ワーク・ライフ・バランスを実現することのメリットは、何も働く人だけにあるのではありません。人を雇う立場の企業側にとっても、大きなメリットがあるといえます。ワーク・ライフ・バランスを実現するためには、まず双方にどんなメリットがあるのかを知ることが大切です。それでは、ワーク・ライフ・バランスを実現することによって、従業員と企業の双方にどのようなメリットがあるのか代表的なものを見ていきましょう。

4-1.従業員にとってのメリット

働く立場の従業員にとって、ワーク・ライフ・バランスは日常生活や心身の健康にさまざまなメリットがあります。たとえば、ワーク・ライフ・バランスが実現された世の中では、子育てや介護のために仕事をあきらめる必要はありません。仕事と生活の双方を大切にするワーク・ライフ・バランスは、子育てや介護をしながらでも仕事を続けられる働き方を実現できます。

また、仕事以外の時間を十分に使えるようになるので、自己啓発やスキルアップに費やす時間も確保可能です。それは同時に、健康づくりや休養のための時間を取れるということでもあり、心身の健康維持や健康促進にもつながります。生活全体が充実すれば、仕事にも良い影響を与えるため、意欲を持って仕事に取り組めるという点もワーク・ライフ・バランスの実現によるメリットです。

4-2.企業にとってのメリット

ワーク・ライフ・バランスによって従業員の働き方が改善されれば、企業が得られるメリットもひとつやふたつではありません。まず、長時間労働を削減することで、従業員には仕事以外のことをする時間の余裕が生まれます。そうすることで、従業員が自発的にスキルアップしたり、気分転換したりすることができるようになり、ひいては従業員自身の能力や意欲を飛躍させることにもつながります。また、ワーク・ライフ・バランスによって働きやすい環境が整っていれば、子育てや親の介護による優秀な人材の流出も防ぐことが可能です。

ワーク・ライフ・バランスを意識することは私生活を大切にすることと同義です。したがって、限られた時間の中で仕事を終わらせることが重要となります。そのためには、働き手は自主的に時間の無駄を省き、仕事の効率化を図ろうとするでしょう。とりわけ近年では、ワーク・ライフ・バランスを優先していること自体がそのまま宣伝にもなるので、企業のイメージ向上にも一役買ってくれるでしょう。企業イメージがアップすれば、優秀な人材を集めやすくなり、将来的な人材の確保にもつながります。

5.ワーク・ライフ・バランスの実現方法

ワーク・ライフ・バランスを実現するためには、まず企業が積極的に働き方に対する考え方を見直すことが大切です。働き方に対する従来の考え方が改まれば、自然とワーク・ライフ・バランスの実現へ向けて動けるようになります。そのうえで、企業が取り組むべきことは、まず勤務制度をしっかり整備することです。そして、制度以外にも、今すぐ企業が実践できる取り組みもあります。ここでは、整備したい勤務制度と企業が今すぐ実践すべき取り組みの2つを紹介します。

5-1.各種勤務制度の整備

ワーク・ライフ・バランスの実現のために、各種勤務制度を整備することは不可欠です。現行の制度のまま、従業員の努力に任せるだけでは、ワーク・ライフ・バランスを実現することはできません。特にさまざまな事情を抱えた人が働きやすくなるような勤務制度は積極的に取り入れていきたいところです。また、単に制度を導入するだけではなく、従業員にも新しく導入した制度について周知し、しっかりと理解してもらうことがワーク・ライフ・バランスの質を高めます。それを踏まえたうえで、どのような勤務制度があるのか見ていきましょう。

5-1-1.出産・育児・介護休暇制度

核家族化が進む中、出産や育児、介護が原因で離職せざるを得ない人は決して少なくありません。ワーク・ライフ・バランスを実現するには、そのような状況下にある人が無理なく働ける環境整備が大切です。そのため、出産・育児・介護休暇に関する制度は、積極的に取り入れていきたい制度のひとつです。出産・育児・介護休暇制度が整っていれば、そのようなやむを得ない事情が生じても、従業員は仕事を辞めなくても済みます。特に育児休暇に関しては、女性が取得する休暇制度という認識が大勢です。しかし、男性も育児休暇を取りやすい環境が整備されれば、男女を問わず子育てしながらでも働きやすい職場になります。

5-1-2.短時間勤務制度

短時間勤務制度も、ワーク・ライフ・バランスの実現に不可欠な制度のひとつです。短時間勤務制度とは、育児や介護などに従事している従業員を対象に、所定の勤務時間を短縮するという制度です。2~3時間ほど勤務時間を短くして、育児や介護に携わる従業員が仕事との両立をしやすくなるようにします。ただし、短縮する時間は従業員の生活や状況によって柔軟性を持たせる必要があります。

というのも、一律で2時間、3時間などと短縮してしまうと、従業員それぞれの事情と合わず、制度が活かしきれないことがあるからです。そのため、時間の短縮パターンはなるべく複数用意し、従業員がその中から選択するという形をとるのが基本となります。また、勤務が短時間になることで、仕事の割り振りが不公平にならないよう、公正な処遇を心がけることも大切です。

5-1-3.フレックスタイム制度

短時間勤務制度が勤務時間を短縮するものであるのに対して、フレックスタイム制度は労働時間に柔軟性を持たせる制度です。フレックスタイム制度は、1カ月の総労働時間はそのままに、従業員自ら始業時間と終業時間を決めることができるという制度です。労働時間自体は変わらないため、給与の調整や昇給・昇格なども考慮しやすく、従業員にも企業にもメリットの大きい制度だといえます。

ただ、従業員ごとの勤務時間にバラツキがあると、会議で人がそろわないなど、仕事に支障が出る場合もあります。そのため、「コアタイム」という1日のうちで必ず勤務する時間を作り、組織生産性を損なわないように対策する企業も少なくありません。一方、フルフレックスと呼ばれる、コアタイムを設けないフレックスタイム制度もあります。

5-1-4.テレワーク制度

テレワークは次世代の働き方として注目を集める制度です。主にインターネットを使って、会社以外の場所から仕事に参加するのがテレワークという働き方です。場所や時間にとらわれずに働くことができるので、さまざまな状況にある人でも柔軟に仕事をすることができます。また、企業にとっても、通勤・交通費の削減や障がい者雇用の促進など、テレワークを導入するメリットは小さくありません。テレワークの一種である在宅勤務やモバイルワーク、サテライトオフィス勤務を可能にすれば、移住などで通勤が困難になった従業員にも継続して働いてもらえます。そうすることで、優秀な人材の流出を防ぐことにもつながります。

5-2.内閣府が提唱する取り組みの実践

休暇制度やテレワークなど、勤務制度を整備するにはある程度の時間がかかります。新しい制度に従業員が慣れるのも一朝一夕とはいきません。しかし、ワーク・ライフ・バランスの実現のために、今すぐにでも取り入れられる対策もたくさんあります。次に、内閣府が提唱している10の取り組みを紹介します。積極的に取り入れて、ワーク・ライフ・バランスをいち早く実現できるように努めましょう。

5-2-1.会議のムダ取り

長時間労働に陥る原因のひとつに、会議のムダが多いという事情があります。そのため、会議のムダを洗い出し、それを省くことができれば、仕事の時間にも余裕が生まれるようになります。まず、会議の目的やゴールを明確にすることです。そうすれば、余計なことで時間を食わず、効率的に会議を進めることができます。また、やみくもに会議を開くのではなく、参加メンバーや開催時間などを見直すことも重要です。

さらには、資料の確認を会議前に済ませてしまえば、会議中は議題に集中することができ、短時間での進行も可能となります。会議をした結果、結論が出ないのでは意味がないので、必ず結論を出すようにすることもムダ取りのひとつです。終了時間を厳守し、終了後に決定事項を確認するようにすれば、会議の時間をより有意義なものにすることもできます。

5-2-2.社内資料の削減・書類の整理整頓

日本の企業習慣として、上司への報告を資料で行うようにしている会社も少なくありません。しかし、そうした社内向けの資料作成を無駄と考える人も多いです。実際、資料作成に時間を取られ、肝心の生産活動が遅れてしまうという場合もあります。そのため、まずは必要以上の資料作成は抑制し、資料を作るのに時間を取らせない仕組み作りが必要になります。社内資料の作成基準を明確にし、資料の書式や様式を統一しておけば、資料作成にかかる時間も削減可能です。

また、作成した資料の管理も徹底しなければなりません。キャビネットやデスクに書類が散乱していれば、目星の書類を探すのに時間がかかってしまいます。キャビネットやデスクの整理整頓を徹底すれば、各従業員が書類を探す時間を削減できるので、業務の効率化を促進することにつながります。

5-2-3.標準化・マニュアル化

ある仕事を一人の従業員が担当すると、その従業員が休んだり早退したりしたときに、業務が滞ってしまうことがあります。このような仕事の属人化は、ワーク・ライフ・バランスにとっては弊害です。そのため、可能な限り仕事を標準化・マニュアル化して、担当者が不在であっても業務が遅滞しないような仕組みを作っておくことが必要になります。もちろん、すべての業務を標準化・マニュアル化することは難しいため、対象となる業務は実情に合わせてしっかり検討することが肝心です。

5-2-4.業務分担の適正化・担当以外の業務の把握・スケジュールの共有

業務を進めるうえで、上司の承認が必要になる場合もあります。しかし、従業員自身の裁量で進められる業務にも、上司の承認が必要なのだとしたら、それは業務分担が適正化できていな証拠となります。まずは業務の流れを分析し、分析結果に基づいて誰がどの仕事を請け負っているのか明確にすることが大切です。また、自分の業務だけでなく、周りの人が担当している業務を知ることも必要です。担当以外の業務を把握していれば、別の担当者から仕事を引き継いだときでも慌てず対処できます。加えて、業務内容だけでなくスケジュールも共有しておけば、特定の従業員の業務負荷が高いときにも相互にフォローし合えるようになります。

5-2-5.「がんばるタイム」の設定

オフィスでの業務は、周囲の雑音に仕事を邪魔されることが多々あります。電話の取次ぎや上司との会話で業務がいちいち滞っていては、仕事の生産性にも悪影響を与えます。「がんばるタイム」とは、そうした周囲の雑音を遮断し、従業員が自分の業務や職場内での議論に集中できる時間を作ろうという取り組みです。
「がんばるタイム」の最中は、電話の取次ぎや上司からの声掛けなども全面的に禁止し、従業員がより業務に没頭できる環境を整えます。「がんばるタイム」は全社的に取り組む必要があるので、特定の曜日や時間帯に設定して、従業員にしっかり周知するように心がけましょう。

6.ワーク・ライフ・バランスの実現への課題

ワーク・ライフ・バランスの実現には課題もあります。まず、数ある制度の中で、どの制度を優先的に導入すべきかということです。制度の整備には時間も労力もかかるため、すべての制度を一気に導入することは現実的に不可能です。そのため、自社にとって本当に必要な制度を見極め、取捨選択してから取り入れていかなければなりません。ただ、従業員の中には、時短勤務を希望する人もいれば、テレワークの導入を求める人もいます。そのような従業員それぞれの事情をしっかり勘案し、企業にとって価値の高い制度から優先的に導入していくことが成功への近道となります。

また、制度を取り入れたうえで、評価や処遇をどのように設計するかということも課題のひとつです。中には、導入した制度を利用する必要がない従業員もいます。そのような従業員と、制度を実際に利用している従業員の間で不公平感が出てしまうと、かえってワーク・ライフ・バランスは崩れてしまいます。そうした事態に陥らないように、両者が相互に不満を感じないような評価制度を築くことが重要です。

ワーク・ライフ・バランスの実現でもっと快適な職場に

ワーク・ライフ・バランスの実現のために企業ができることはたくさんあります。その中には、今すぐ実践できることもあるので、まずはできることから始めてみることが大切です。また、各種制度に関しては、各企業の現状に合わせて優先的に導入すべきものを見極める必要があります。もっと快適な職場にするためにも、ワーク・ライフ・バランスを考えた取り組みを進めていきましょう。

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