ワークライフバランスのための取り組み!企業にとってのメリットは何?

投稿日:2019 - 9 - 17

政府が働き方改革を提唱する中、残業時間や休日出勤を減らすことは企業にとって大きなテーマとなってきました。その結果、ワークライフバランスを向上させるためのさまざまな取り組みが実施されています。この記事では、企業が社員のワークライフバランスを向上させることについて、どのようなメリットがあるのかを解説していきます。

ワークライフバランスとは何?

そもそも「ワークライフバランス」とは仕事とプライベートの調和がとれている状態を指す言葉です。人生は仕事ばかりしていても、趣味や家庭の時間が失われていきます。しかし、仕事をしなければ余暇を充実させられないのも事実です。そこで、ワークライフバランスという概念で、社員の生活を守ろうとする企業が増えてきました。ワークライフバランスは「経済的な自立が可能」という前提に立ちます。たとえば、プライベートの時間が長くても十分な収入がないのなら「バランスがとれている」とはいえません。つまり、企業は社員に対し、ライフスタイルを選べる程度の給料を与え続ける義務があります。

ワークライフバランスでは「時間的な余裕」がポイントです。いくらお金があっても、プライベートの時間がないと生き方を選択できません。また、ただ時間が与えられているだけでなく、心身ともに社員が健康で豊かな状態を保てなくてはいけないのです。仕事をしすぎず、休みが多すぎるわけでもなく、両者が絶妙に調和してこそ「ワークライフバランスが整った」と表現できます。そのためには、企業が社員それぞれの生活状況に興味を持ち、個性に合わせていく組織作りを進めていかなければならないでしょう。

ワークライフバランスをとることの意義

「家族関係の改善」は、ワークライフバランスをとることの重要な意義です。家庭を持っているにもかかわらず、仕事ばかりしていると家族と顔を合わせる時間が減っていきます。そうなれば、コミュニケーション不足は避けられません。配偶者からは「家のことを何も手伝ってくれない」と思われる可能性が高いでしょう。また、子どもも「かまってもらえない」との考えを強くしていきます。こうした関係のまま月日が流れると、家族の絆がもろくなってしまいかねません。ワークライフバランスを整え、家族のコミュニケーションを十分に行っていくことが大切です。

さらに、ワークライフバランスは仕事上のやりがいともつながっています。忙しさや過酷さに比べて、相応の報酬が与えられていない仕事では「なぜこんなにも頑張らなくてはいけないのか」との疑問が生まれてしまいます。そして、やりがいや充実感が失われ、転職を考えるようになる社会人は多いでしょう。ワークライフバランスは職場にやりがいをもたらすための施策でもあります。性別や年齢に関係なく、社会人が能力を発揮できる職場を用意するためにも、ワークライフバランスは無視できない概念です。会社から大切にされていると感じることで、社員のモチベーションアップにもなるでしょう。

なぜワークライフバランスの向上が叫ばれるのか

ワークライフバランスの向上が社会全体で議論されているのには理由があります。まず、時代とともに正社員の労働時間が増え、非正規雇用者の割合が大きくなってきた傾向が挙げられます。つまり、現代社会では「働き方が二極化」しており、時間的にも経済的にも社員の負担を大きくするような職場が見られるようになってきました。また、「共働き家庭の多さ」も理由のひとつです。女性の社会進出が活発になっているにもかかわらず、家庭や職場での役割意識に劇的な変革は起こっていません。さらに、働く女性への社会支援も体制が整っていないので、共働き家庭の悩みへとつながっています。

そのほか、仕事や生活面で問題を抱えている労働者が珍しくなくなってきたのも背景にあるでしょう。1つ目の問題は「非正規雇用者の経済的な自立の難しさ」です。2つ目は「長時間労働による家族との時間の不足」です。そして、3つ目の「心身の疲労」により、体調を悪くする労働者も少なくありません。うつ病などの精神疾患も社会問題となっています。4つ目は「子育てと仕事を両立できない」ことです。企業側のサポートが少なく、結婚や妊娠で離職するしかない女性がたくさんいます。

なお、「少子化対策」も見逃せないポイントでしょう。経済的な問題を残したままでは、子どもを産んで育てようとする人間が減っていくのは当然の流れです。ワークライフバランスの向上には、労働環境を整備することで少子化に歯止めをきかせようとする政府の意図も反映されています。

「フレックスタイム」による出退勤時間の調整

ワークライフバランスを向上させるための取り組みとして、「フレックスタイム」制があります。フレックスタイムでは一定の枠内で、社員が出退勤時間を自分の裁量で前後にずらせます。つまり、社員の生活リズムに合わせて働きやすいスケジュールを管理できるのです。たとえば、介護や育児などがあって朝早くから出勤しにくい社員も、時間をずらすことで楽になります。

また、フレックスタイムにより「ラッシュの時間を避ける」ことも可能です。日本の社会人にとって、早朝の通勤ラッシュは大きなストレスになりえます。満員電車で毎日通勤するだけで、心身ともに疲労はたまっていくでしょう。車内が空いている時間帯で通勤すれば体力を十分に温存できます。さらに、「仕事の生産性を上げる」ためにもフレックスタイムは効率的な手段です。フレックスタイムを続けていくには、限られた時間を有効活用しなくてはいけません。そのため、自分のタスクを見直し、優先順位をつけて働く習慣が身についていくのです。

企業側にとっても、フレックスタイムを導入するメリットはあります。事情があって外で働けなかった人も、出退勤時間をずらせば就職が可能となります。企業は人材の確保がしやすくなり、生産力を上げられるでしょう。

働く場所を選ばない「テレワーク」

本格的にワークライフバランスを意識するなら、「テレワーク」を導入するのも選択肢のひとつでしょう。テレワークとは、オフィスや就業時間にとらわれないワークスタイルです。電話回線を使ってオフィスから離れた場所で働く手段であり、働き方や生き方の多様性をサポートできます。テレワークでは在宅勤務が多い一方で、モバイルワークやサテライトオフィス勤務なども含まれます。

テレワークの特徴は、機器さえ用意すればどこでも業務を行えることです。必須アイテムとしては、パソコンやモバイルデバイスが挙げられます。そのほか、インターネット環境が整っていることも重要です。回線さえつながっているのであれば、カフェやファミレスなどで仕事をすることもできます。また、乗り物での移動中にもノートパソコンで作業を進められるでしょう。

テレワークが人気なのは住み慣れた環境で落ち着いて仕事をできるだけでなく、介護や育児などの用事と両立しやすいからです。そのため、家庭の事情によって本人の意思とは裏腹に退職するような事態を減らせます。時間が経ってからオフィス勤務に復帰するなどの選択もできるので、企業の離職率低下にも役立つでしょう。

人事評価のあり方を見直す時期

働き方についてさまざまな考えが生まれている以上、企業は人事評価についても見直す時期にさしかかっています。たとえば、日本では昔から「会社にいる時間が長いほどやる気があり、努力をしている」と評価する傾向が顕著でした。こうした風潮が過剰労働を生み、社員のワークライフバランスを崩していたといえます。実際には、効率が悪くて生産性が低いにもかかわらず、「労働時間が長い」というだけで評価されてきた社員も少なくなかったのです。しかも、不要な残業時間が増えると人件費も高くなるので、企業側のデメリットも大きくなっていきます。

人事評価の基準が古いままだと、能動的に働いて本当に会社へ貢献している社員が評価されません。その結果、優秀な人材の流出を招いていきます。企業に利益をもたらす働き方をしている社員を正しく評価するシステムは必須でしょう。それに、労働時間を主な基準としている人事評価では、フレックスタイムやテレワークで働いている社員を評価しにくくなります。働き方によって評価が差別化されてしまう企業だと、社員からの信用を失いかねません。ワークライフバランスの向上を目指す以上、人事評価のシステムを確立してすべての社員がわだかまりなく働ける環境を築きましょう。

業務のあり方そのものを見直すことも必要

意識はしているにもかかわらず、なかなかワークライフバランスが向上しない企業もあります。そのようなときは、非効率的な業務の進め方が日常化している可能性を疑いましょう。無駄な業務を整理したうえで、必要な業務だけを残していくことが大切です。まず、社員の能力と業務内容、仕事量が見合っているかをチェックします。経験不足の若手に難易度の高いタスクを任せても、すぐには処理できません。また、一部の社員に仕事力が偏っている企業でもワークライフバランスは崩れていきます。適切な仕事の振り分けをすることが、業務効率を改善させるコツです。確実にこなせる業務内容や仕事量になれば、作業の効率も精度も上がりやすくなるでしょう。

さらに、ITツールなどで業務の進捗を管理することもひとつの方法です。いわゆる「業務の見える化」により、第三者から担当者の状況が確認できるようになります。無駄な業務や時間がかかっている業務が明確化するので、改善策を考えやすいでしょう。これらの「見える化」はオフィス業務だけにあてはまることではありません。リモートワークや在宅ワークなどでも業務の進捗管理ができるツールを導入して、社員が健全に働けているのかを常時振り返られるようにします。

個人にとってのメリットは?

ワークライフバランスは企業側が向上の努力をするだけでなく、社員側も個人で取り組まなければいけません。個人にもたらされるメリットとしては、「仕事以外にできることが増える」点です。仕事に割かれていた時間がプライベートで利用できるようになるため、人生の選択肢が増えます。趣味や自己啓発などを満喫できるので、プライベートが充実するでしょう。そして、プライベートが楽しくなると仕事のモチベーションも上がります。仕事の後でやりたいことがあると、効率よく働くように意識し始めます。その結果、仕事に楽しさややりがいを感じられるという好循環が生まれるのです。

さらに、「健康的に働ける」のも見逃せません。テレワークや時差出勤といったストレスのかかりにくい働き方ができると、心身の健康を守れます。過労死や精神疾患による自殺を予防でき、心おきなく仕事に打ち込めるでしょう。そして、「家族との時間が増える」のもメリットです。ワークライフバランスが整えば、配偶者や子どもと過ごす時間が増えていきます。家族サービスの予定も立てやすく、子どもの大切な時期にもそばについていてあげられるでしょう。家族関係が良好になるので、自宅にいる時間でますます心身が癒されます。

企業にとってのメリットは?

理想的なワークライフバランスを実現するため、企業側が努力するメリットは「人材確保につながる」ことです。ワークライフバランスが整っているかどうかは、就活生や転職者が企業を選ぶ際の基準のひとつになりつつあります。仕事とプラーベートを両立できる企業風土を築いていけば、優秀な人材が志望してくれやすくなるでしょう。また、社内から社外への人材流出も防げます。働きやすい環境のある会社には、安定して人が集まってくるので人材不足の悩みも解消されます。

次に、「生産性の向上」です。社員全員がワークライフバランスを意識すると、効率的な働き方が習慣化していきます。作業から無駄がなくなり、余計な経費や人件費も減っていきます。その結果、利益率も高くなるでしょう。そのほか、「コスト削減」も重要なメリットです。社員が不要な残業や休日出勤をしなくなれば、光熱費も下がります。社用車を使う機会も減るので、ガソリンも節約可能です。収益が変わらないとしても、コストが下がれば利益は向上します。黒字決算に近づくためにも、ワークライフバランスを意識することには利点があるのです。

ワークライフバランス向上の取り組みを始めよう

個人の生活を守るために、ワークライフバランス向上の取り組みは重要です。そして、社員だけでなく会社の利益を増やしていくためにもワークライフバランスは役立ちます。まだ実現できていない企業は、社員の仕事と生活を真剣に考えてみましょう。テレワークなどの方法を導入すれば、ワークライフバランスを整えやすくなります。

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