ワークライフバランスとは?企業と労働者の双方のメリットを紹介!

投稿日:2019 - 9 - 4

時代とともに「ワークライフバランス」という言葉を聞く機会が増えたのではないでしょうか。ワークライフバランスは労働者が豊かな生活を送るために重要です。また、企業側にも求められる倫理性の一環として、担当者は押さえておくべきでしょう。この記事では、ワークライフバランスが企業と労働者にもたらすメリットを解説します。

そもそもワークライフバランスとは

ワークライフバランスとは、職業人が「仕事」と「それ以外の時間(プライベート)」を上手に調整して、バランスを整えようとする考え方です。人生は仕事ばかりではありません。それにもかかわらず、仕事だけに注力しているとプライベートが空虚なものになっていきます。ただ、プライベートを思いきり満喫するには仕事を順調にこなすことも必要です。つまり、ワークライフバランスが実現すると、職場での充実感が高まります。しかも、家庭や地域生活でもさまざまな経験ができるようになるのです。

ワークライフバランスは、仕事とプライベートのどちらか片方を適当にこなそうという意味ではありません。むしろ、両方でやりがいを見出せるよう、効率性を考えていくことが大切です。仕事とプライベートのバランスが取れれば、相乗効果によってますます2つの中身が濃くなっていきます。人生のやりがいを増やすために、ワークライフバランスは重要視するべき概念です。

ワークライフバランスが注目されているのはどうして?

昔からワークライフバランスという価値観自体は提唱されてきました。その重要度が高まってきたのは、長時間労働がさまざまな問題を引き起こすようになったからです。うつ病や過労死の増加が社会全体で取り沙汰され、ワークライフバランスを求める動きが活性化しました。また、政府が推し進める「働き方改革」の理念とワークライフバランスは合致します。働き方改革では仕事に人生を支配されないよう、多様性のある職場が奨励されています。

さらに、ワークライフバランスは企業側から新しい人材に向けてのPRになりえるポイントです。少子高齢化が進む社会では、若くて優秀な人材の確保は必須です。ワークライフバランスが実現すると、企業への注目度が上がって志望者が増えます。そのほか、女性の社会進出もワークライフバランスと関係があります。女性にとって家庭と仕事の両立は無視できないテーマです。家庭を大切にしながら働ける職場の必要性は年々高まっています。

企業のメリット1.優秀な人材を確保できる

ワークライフバランスを実現するメリットを把握することで、企業内への導入はスムーズになります。まず「人材確保」は大きなメリットと言えるでしょう。働く意欲があっても、企業側と希望が折り合わずに退職するしかなくなる労働者は少なくありません。たとえば、介護や出産、育児といった事情に対して企業のサポートがないと、勤続するのは難しいでしょう。しかし、ワークライフバランスが実現した職場であれば、自分に合った方法で籍を残すことも可能です。

また「残業がない」「休日出勤が少ない」といった労働条件は、就活中の若者にとって魅力的です。自然と興味を持つ人間が増え、新入社員を集めやすくなるでしょう。採用人数の増加だけでなく、離職率の抑止にもワークライフバランスは役立ちます。労働環境が整っている職場で「仕事を変えたい」と考える労働者は少数派です。その結果、離職率が減って優秀な人材の流出を防げます。

企業のメリット2.生産性がアップする

第2のメリットは「生産性の向上」です。ワークライフバランスが実現すると、労働者のプライベートは充実します。就業時間外や休日の予定が立てやすくなるので、さまざまなアクティビティに挑戦できます。プライベートで気分転換がなされるのでストレスが溜まりにくく、仕事の意欲も高まるでしょう。また、休日の予定を目標にして「そのために今の仕事をがんばろう」という考えが生まれます。労働者のメンタルが健全に保たれるので仕事へのモチベーションが強まり、企業の生産力も上がっていくのです。

さらに「業務効率」の面でもワークライフバランスは重要です。ワークライフバランスを整えるには、労働者が指定の就業時間内に仕事を終わらせなくてはなりません。そのため、個々人が業務を効率化する意識を持つようになり、作業のスピードや精度が向上します。そして、生産力も高まり、企業の利益へとつながっていくのです。

企業のメリット3. コストを削減できる

ワークライフバランスの実現した企業は離職率が低下します。つまり、人材不足に陥りにくくなることを意味します。その結果、人員募集を行う回数が少なくなるので採用にかかるコストを削減可能です。具体的には、メディアへの広告費やセミナーなどの準備期間を減らせます。次に、残業が少なくなるので光熱費を削減できます。余計な残業手当を支払わなくていいので、コストパフォーマンスも改善されるでしょう。そして「交通費削減」というメリットも生まれます。休日出勤が多いと、企業はそのぶんの交通費まで労働者に支給しなくてはいけません。電車代やガソリン代といった経費が減れば、利益率向上につながります。

企業のメリット4. 会社の成長につながる

ワークライフバランスは企業の「体質改善」にもつながります。日本の企業には、いまだ「長時間労働を美徳」とする価値観が根強く残っています。また、「男は家庭よりも仕事」といった偏った考え方も受け継がれており、仕事とプライベートを両立させようとする意識が社会全体で希薄でした。しかし、実際に過労死問題などのトラブルが相次ぐようになり、日本社会の意識改革が求められるように変わってきました。古い価値観を一掃し、社会からの批判をかわすためにはワークライフバランスを無視できません。

また、外資系企業の多くはワークライフバランスを当然の概念として取り入れています。グローバル化によって海外市場を開拓するにあたり、世界基準の働き方を目指すのは必須事項です。それに、ワークライフバランスが整っていると、企業イメージや信頼性が向上します。ユーザーからの印象がよくなるだけでなく、取引先からの評価も高まるでしょう。

労働者のメリット1.心身ともに健康に過ごせる

企業側だけでなく、労働者側にもワークライフバランスはメリットをもたらします。何よりも大きいのは「心身の健康」でしょう。残業が少なくなることで、労働者の体力が守られます。睡眠時間が削られたり、食事が不規則になったりする可能性が減り、健康的な生活を送れます。また、フラストレーションも少なくなるのでうつ病などの精神疾患を予防できます。それに、労働時間が少ないと休暇に集中しやすくなります。土日や祝日でも仕事のことを考えなくていいため、ストレスを減らせるでしょう。有給休暇の消化率も上がりやすくなります。

労働者の健康に企業が配慮しなくてはいけない理由は、最悪の場合、生命の危機につながるからです。過労によって病気になったり、自殺に追い込まれたりする事件は後を絶ちません。こうした事例では、過剰労働による健康への影響が指摘されてきたため、企業にとって労働時間の短縮や休暇の増加は向き合うべきテーマとなりました。

労働者のメリット2.キャリアを維持できる

「休職してもキャリアを維持できる」のも労働者側のメリットです。ワークライフバランスを企業が意識することにより、労働の多様性が認められるようになっていきます。決められたオフィスに出向かなくても、在宅ワークやコワーキングスペースでの作業が可能になるため、自分に合った環境で労働力を発揮できます。その結果、出産や育児、介護などで労働環境を限定される状況でも仕事を続けられます。必ずしも退職や休職という選択肢を取る必要がありません。

継続的に仕事を行えると、プライベートの事情がキャリアの妨げになりにくくなります。スキルや経験値が途切れずに積み重なっていくので、上昇志向の強い労働者でも安心です。人事からも評価され続けるので、将来的なキャリアアップに有利です。

労働者のメリット3.家庭や地域社会と関われる

プライベートを支える2つの基盤は「家庭」と「地域社会」です。本来なら、家庭のために労働を行っているわけで逆のパターンにはなりえません。また、地域社会はお互いを支え合って暮らしていくために不可欠なコミュニティです。ワークライフバランスが整っていると、家庭と地域社会との関わりを強く保ったまま、仕事にも励めます。労働時間が少なくなるぶん、家庭や地域社会のために時間を割けるでしょう。家族サービスや地域のイベントを行うことでプライベートが充実します。

さらに、家庭内でのコミュニケーションも増えていきます。配偶者と悩みを語り合う時間が確保できるので、育児や介護を分担しやすくなります。配偶者に「自分だけが家のことをやっている」と思わせずに済むでしょう。そして、家族との絆も深まっていきます。仕事だけに注力していると、幼い子どもがなついてくれないなどの問題が生まれてしまいます。ワークライフバランスの実現した会社で働くことにより、配偶者とも子どもとも良好な関係を保てるのです。

労働者のメリット4.自己啓発に時間を使える

「たっぷりと自己啓発の時間がとれる」のも、ワークライフバラウンスがもたらす労働者側のメリットです。人間の成長には自己啓発が大きな影響力を持っています。積極的に新しい経験をして学ぶ姿勢は、人としても社会人としても必要です。しかし、毎日に余裕がないと目の前の仕事をこなすだけで精一杯であり、自己啓発の時間がとれません。そんな日々が続くと、仕事以外の知識がないまま年齢を重ねてしまいます。

ワークライフバランスの整っている企業では、労働者が自由な時間を趣味や興味のあることのために使えます。たとえば、学習に時間を使うことも可能です。セミナーに通ったり、本を読んだりすれば仕事に使えるスキルを向上させられます。さらに、プライベートを利用して資格の勉強もできます。専門的な知識を身につければ職場でも重宝されますし、キャリウアップも見えてくるはずです。本人も今までできなかったことができるようになり大きなプロジェクトを任せられるので、ますますやりがいを持てるようになるでしょう。

ワークライフバランス実現のための施策1.テレワーク

ワークライフバランスを実現させるための施策として、まず「テレワーク」を導入することが挙げられます。テレワークとは、電話回線を用いて遠距離をつなぐことで、場所や時間にとらわれずに働くことができる形態のことを指します。場所や時間の拘束がなくなることによって、労働者は様々な働き方を柔軟に選ぶことが可能です。実際に、多くの職場でテレワークを実践されており、オフィスに出社せずに、自宅やサテライトオフィスなどで働いている労働者も多いのです。テレワークによって通勤にかかる時間を削減することで、労働者は時間を有効活用することができます。また、通勤する必要がないため、満員電車などによる通勤に対する精神的・身体的なストレスの軽減にもつながります。

ワークライフバランス実現のための施策2.フレックスタイム

「フレックスタイム制」も施策のうちの1つです。フレックスタイム制とは、労働者自らの意思で1日の労働時間や配分を決められる仕組みのことです。例えば、月曜日は8時間、火曜日は5時間、水曜日は6時間というように1日の労働時間を自由に決められます。育児や介護などの事情で長い時間働けない場合でも、フレックスタイム制を導入すれば、労働者は育児や介護の時間に合わせて勤務スケジュールを設定できます。また、始業時刻を少し遅らせることで、朝の通勤ラッシュを避けることも可能です。ほかにも、個人が適切に時間配分を行い効率よく仕事をすれば、残業の削減にもつながるでしょう。しかし、フレックスタイム制をスムーズに運用するには、労働者自身がしっかり自己管理をしなければいけません。労働者の意識低下を防止するためにも、管理者は適切にマネジメントをする必要があります。

ワークライフバランス実現のための施策3.育児休暇

ワークライフバランスの実現のためには、休暇制度の見直しも検討することが大切です。なぜなら、休暇制度を充実させることは、優秀な人材の流出防止につながるからです。実際に、育児期間中に優秀な人材が辞めてしまう事例も少なくありません。育児休暇においては、法律では子供が1歳になるまでは1年間の休暇を取得することができ、条件を満たせば1年6カ月まで延長することが可能です。企業側としては、従業員に対して積極的に育児休暇に関する情報を発信したり、企業独自の育児休暇制度を設けたりするなど、労働者が制度を利用しやすい環境を構築することが大切です。また、育児においては「イクメン」という言葉があるように、男性が育児に力を入れるケースも多いです。そのため、男女ともに育児休暇を取得できる制度を設ける必要があります。

ワークライフバランス実現のための施策4.短時間勤務制度

最後に、ワークライフバランス実現のための施策として「短時間勤務制度」があります。短時間勤務制度とは、育児や介護にたずさわる労働者の勤務時間を短縮する制度のことです。法律では、子供が3歳になるまでは1日6時間の短時間勤務を行うことができると決められています。短時間勤務制度をスムーズに運用するためには、職場全体のサポートが欠かせません。例えば、短時間勤務の労働者の業務の割り当てや情報共有を適切に行う必要があります。また、対象となる労働者全員が固定化した勤務時間を設定するのではなく、勤務時間の短縮のパターンをいくつか設けておくなど、柔軟に勤務時間を選択できるようにしておくことが大切です。このように、短時間勤務制度は育児休暇と同様に労働者が働きやすい環境づくりが必要になります。

個人でもできる!ワークライフバランス実現に向けて始めること

労働者側もワークライフバランスの実現に向け、個人で取り入れられることはあります。まず「仕事の効率化」です。不要な作業が多いと労働時間が長引き、残業や休日出勤につながります。作業内容を振り返ったうえで、いらない工程を省略して時間を短縮しましょう。また、デスクや引き出しを整理整とんする心がけを徹底すると、必要な書類や道具を探す時間が減るので作業はスムーズになります。

次に、会社との勤務形態や雇用形態を見直します。正社員や派遣社員のいずれが働きやすいのかなど、現状をよく考えることが肝心です。それに、フレックスタイム制、短時間勤務といった広い選択肢があることも忘れてはいけません。自分の生活に合った勤務形態を選べば、労働にまつわるストレスを解消できます。そして、テレワークを始めるのもひとつの方法です。仕事内容にマッチするようなら、テレワークに切り替えられないか上層部と相談しましょう。テレワークは通勤時間を省略させられるので、プライベートを充実させられます。育児や介護をしながらでも仕事を続けられる手段です。

テレワークならワークライフバランスを実現しやすい!

ワークライフバランスを実現させるための手段はさまざまです。なかでも、テレワークは大幅に通勤時間を削れるので、プライベートを充実させたい労働者にぴったりです。企業側はテレワークを積極的に導入してみましょう。テレワークを求める労働者側の声に応えることで離職率が下がるだけでなく、採用時の応募数が増加する可能性も出てきます。

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